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第44話 敵の本拠地も、俺のリゾートでしかない

「トウマ様、ご覧ください。『帝国の暗部』の本拠地――『虚無の孤島』を包む、あの禍々しい結界を。」


 別荘の特注飛空艇の甲板。風に白銀の髪をなびかせながら、ダークエルフのフィオナが指をさす。


 眼下に広がるのは、あらゆる生命の存在を拒絶する「死の海」。その中央に浮かぶ孤島は、始祖の呪毒を濃縮した黒紫色の極大結界に覆われていた。普通ならば近づくことすら叶わず、触れた瞬間に魂ごと肉体が蒸発する絶対の禁域。


「ふふ、ルシアン大公の失敗に懲りて、今度は引きこもる作戦に出たようですわね」


 イザベラさんが俺の腕に豊満な胸を押し付け、くすくすと妖艶に微笑む。


「トウマくん、空間魔術で直接潜入する?」


 ツインテールを揺らすエレノアが意気揚々と尋ねてくるが、俺は静かに首を振った。


「いや、その必要はない。――正面から堂々と破り捨てる。」


 俺は甲板の端へと歩み寄り、黒紫色の極大結界を見下ろす。


『帝国の暗部』の連中は、この結界の中で「毒の始祖」の残りの封印を解き、世界を崩壊させようと焦っているらしい。だが、逃げ場を失って閉じこもったネズミが、頑丈な籠の中にいると錯覚しているのは、実に哀れで惨めだ。


「始祖の呪毒、そして世界の悪意か。――俺の【神毒】の餌食になるために集まってくれたようなものだな。」


 俺は右手を開き、空中に向けてそっと掲げる。


――【万象解毒『界放』】


 パシィィィン……!!!


 指を鳴らして澄んだ音が、空間の歪みを通じて世界中に轟く。


 直後、孤島を覆っていた黒紫色の絶望の結界が、ドロドロとした『完熟ピーチフレーバーの極上スパ空間』へと塗り替えられた。


「な……!? 結界が……我らの誇る絶対死域の呪毒が……甘い香りの漂う桃色の温泉へと書き換えられた……!?」


 島の中から、仮面をつけた暗部の幹部たちの悲鳴と絶叫が響き渡る。


 侵食したのは「領域」という概念そのもの。どれほど禍々しい呪毒であろうと、俺の【神毒】が触れれば、「極上リラクゼーション施設」へと書き換えられるだけだ。


「あぁ……っ! 結界の毒に触れた暗殺者たちが……全員『トウマ様への絶対服従』の愛に目覚めてへたり込んでいく……ッ!?」


「バカな! 始祖の封印を解くための魔力炉が、逆にトウマの魔力補給タンクとして強奪されているぞーーーッ!?」


 島全体から巻き起こるパニックと絶望の嵐。 俺たちを拒絶するための最強の砦は、俺が指を鳴らしたたった一秒で、完全なる「ざまぁ」の舞台へと早変わりした。


「さあ、みんな。清々しいスパの散歩といくか。」


 俺は口元を吊り上げ、パニックに陥る敵の本拠地へと足を踏み出すのだった。

 第44話を読んでいただき、ありがとうございました!

 

 逃げ込んで引きこもった『帝国の暗部』の本拠地も、トウマの指パッチン一発で「極上スパ空間」へと書き換えられました。


「指パッチンスパ化ワロタ」「追いつめられた敵のリアクション最高!」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆(ポイント評価)】での応援をよろしくお願いいたします!


 明日も21:00に更新します!


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