↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/57

第41話 死のダンジョンから愚か者どもの断末魔が聞こえてきた

「……おにいちゃん。ここが『死のダンジョン』の最深部……?」


 別荘の地下ワインセラーの奥にある隠し扉を抜け、わずか数十歩。犬耳をパタパタと動かすミィナが、目を丸くして周囲を見回した。


 そこは、何百年も人の立ち入りを拒んできたはずの古代遺跡の最深部――『死の王の宝物庫』だった。


 室内には、一国の国家予算を軽く上回る山のような金銀財宝と、眩い光を放つ伝説級の武具がうずたかく積まれている。


 だが、本来ならそこに行き着くまでに、無数の凶悪なトラップと、魂すら腐死させる古代の猛毒が張り巡らされているはずだった。


「ああ。空間の因果を【万象解毒】で少し書き換えて、別荘の地下室と直結させたからな。正面から入る必要なんてどこにもない。」


「やっぱりトウマ様の『神毒』は規格外ですわ……! 迷宮の『進入不可』という概念そのものを毒で溶かしてしまうなんて……っ」


 元刺客のレイラが、感極まった表情で俺の手をぎゅっと握りしめてくる。俺は宝物庫の片隅に置かれていた熟成された年代物のヴィンテージワインを手に取り、コルクを抜いた。


「ふむ、いい香りだ。さて……正面玄関の様子でも鑑賞するか。」


 俺が指をパッチンと鳴らすと、空間の一角が水面のように揺らぎ、ダンジョン入口付近の映像がリアルタイムで投影された。


「ゴホッ! ゲホッ……! な、なんだこの毒ガスはぁッ!?」


「ひ、ヒィィィッ! ポーションが効かない! 高価な対毒ポーションなのに、一瞬で瓶ごと腐食して……ギャァァァッ!?」


 鏡の中に映っていたのは、悲惨という言葉すら生ぬるい地獄絵図だった。


 一獲千金を狙って『死のダンジョン』に乗り込んだ、元Sランクギルド『聖なる光』の残党たち。 彼らは入口からわずか十メートル進んだところで、古代の猛毒トラップの洗礼を受け、吐血しながらのたうち回っていた。


「バ、バカな……! なぜだ! かつて俺たちがSランクとしてダンジョンを攻略していた時は、こんな毒など微風同然だったはずだぞ!?」


 血反吐をぶちまけながら、ギルマスのガルガが狂ったように叫ぶ。


 愚かすぎる。 かつて奴らが無傷でいられたのは、襲い来るあらゆる毒や呪いを、メンバーだった俺がうち消していたからだ。


 俺という「絶対的な安全装置」を無能だと決めつけて投げ捨てたゴミ虫どもが、自力でこの死地に挑めばどうなるか、小学生でもわかる道理だった。


「ひ、助けて……トウマ……! お前がいなきゃ、俺たちは……ッ!」


「ガルガの旦那! もうダメだ、肌が溶けて……うわああぁぁぁッ!」


 仲間たちが次々と泡を吹いて倒れていく中、ガルガはボロボロの身体を引きずり、ダンジョンの奥へと這いつくばる。


「宝だ……最深部の宝さえ手に入れば、俺は復活できる……! トウマなんかに、負けるわけが……ッ!」


 執念だけで最深部の大門を叩き割り、転がり込んでくるガルガ。だが、彼が血走った目で見上げた先で待っていたのは――。


 最高級のソファーに深く腰掛け、黄金のグラスでワインを嗜む俺と、俺の身体にこれでもかと身を寄せ合い、甘い声を上げる美女・美少女ハーレムの姿だった。


「……え?」


 ガルガの動きがピタリと止まる。


「やあ、ガルガ。随分と遅かったな。待ちくたびれたぞ。」


 俺はグラスを傾け、冷徹な視線でゴミ虫に見下ろした。


「な……ななな、なんでお前がここにいるんだァァァッ!? ここは未踏破の死のダンジョンだぞ!? なぜ傷一つ負わず、女どもと酒を飲んでいるんだァッ!?」


 泡を吹きながら絶叫するガルガ。その横で、膝の上に座っていた始祖の王女アバちゃんが、心底蔑むような冷たい目をガルガに向けた。


「不快な羽虫ですわね。トウマ様の甘美な『神毒』の空間を汚さないでくださる?」


「トウマ様、あんなゴミ虫放置して、私にもっと『解毒』の続きをしてくださいまし……っ」


 イザベラさんが妖艶に俺の首に腕を巻きつけ、キスをねだるように唇を寄せてくる。


「ひっ……あ、あああ……っ!」


 自分たちが命を賭して、死ぬ思いで挑んだ絶対不可避の絶望。 それを、俺はただの「散歩コース」として軽々と踏み越え、極上のハーレム日常を楽しんでいる。


 その圧倒的すぎる「格の差」と絶望的な現実に、ガルガの精神はついに限界を迎えた。


「俺が……俺たちが無能だったというのか……! トウマぁぁぁッ!!」


 最後の大絶叫とともに、ガルガは頭の血管をぶち切れさせ、白目を剥いてその場に卒倒した。 かつて俺を追放した元Sランクギルド『聖なる光』は、こうして誰の手も汚されることなく、自らの愚かさによって完全なる自滅と崩壊を迎えたのだった。


「ふぅ……騒々しいゴミが消えて、せいせいしたな。


 俺はグラスを置いて女の子たちに言った。


 さて、害虫駆除も終わったことだし――今夜はみんなで、この宝物庫の秘宝を肴に、朝までたっぷりと『解毒パーティー』でもするか。」


「「「キャーッ! トウマ様大好きですわーっ!!!」」」


 ハーレムメンバーたちの歓声が、ダンジョンの最深部に甘く響き渡るのだった。


 第41話を読んでいただき、ありがとうございました!


 ついに長きにわたる因縁の相手・元ギルマスのガルガ達が、トウマの圧倒的な無双と「裏口攻略」の前に完全自滅&ざまぁ完了となりました!


「ガルガの自滅ざまぁ最高!」「裏口ワイン鑑賞ワロタ」と思ってくださった方は、ぜひ【ブックマーク】と【☆☆☆☆☆(ポイント評価)】での応援をよろしくお願いいたします!


明日21:00の更新をお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。