第4話 エルフの王様からお礼に国宝級の別荘をもらった話
ポンコツ女騎士のヴィオレを仲間に加えた俺たちは、エルフの王女・セレフィナちゃんの案内で、彼女の故郷である『エルフの国』に向かっていた。
「ちょっとヴィオレ! さっきからトウマ様の右腕に胸を押し付けすぎです!」
「なっ、セ、セレフィナ殿こそ、左腕をずっと抱きしめているではないか! ず、ずるいぞ!」
道中、二人の美少女が俺の腕を左右からギュムギュムと奪い合っている。 右からはヴィオレの規格外の巨乳、左からはセレフィナちゃんの程よい弾力が伝わってきて、歩くだけで天国だった。追放されてまだ数日だけど、本当に良かったと思う。
そんなこんなで、普通の人間は見つけられないという幻の結界をあっさり抜けて、俺たちはエルフの国へと到着した。 緑あふれる超キレイな街並みの奥、一番デカいお城みたいな建物に通される。
そこに座っていたのは、いかにも偉そうなエルフのおっさん――セレフィナちゃんの父親であり、この国のトップであるエルフ国王だった。
「セレフィナ! 無事だったか! ……ん? なぜ人間の男などを連れてきている。おい人間、我が娘に気安く近づくな。今すぐそこから離れなければ、国家反逆罪で処刑するぞ。」
王様は冷たい目で俺を睨みつけてきた。めちゃくちゃ威圧感を出している。
「お父様、やめてください!」
セレフィナちゃんが俺の前に立ち、両手を広げて怒った。
「トウマ様は私の命の恩人です! 聖教会のジジイ……コホン、高名な神官様たちが束になっても治せなかった【奈落の呪毒】を、指先一つで一瞬で治してくださったのですよ!」
「な、なんだとぉーーーーー!?」
次の瞬間、王様は玉座から転げ落ちんばかりの勢いで立ち上がった。 さっきまでの威厳はどこへ行ったのか、目玉が飛び出そうな顔をしている。
「あ、あの不治の病の呪いを一瞬で!? 馬鹿な、そんなことが出来るのは神か!?しかし……」
「本当です。トウマ殿はキラービーの猛毒すら、さらに強い毒で『毒殺』して私を救ってくれたのです。トウマ殿は本物の天才にございます。」
ヴィオレもドヤ顔で太鼓判を押す。身内の俺よりドヤるのが上手い。
「おお……おおお! なんということだ!」
王様はすさまじいスピードで階段を駆け下りてくると、俺の両手をガシッと握りしめた。その目は涙でボロボロである。ガバガバすぎる手のひら返しで草。
「トウマ殿! 娘を救ってくれて本当にありがとう! エルフの国を挙げて歓迎する! まず娘を妻に迎えてはくれないか!他には、金か? 権力か? それとも美味い飯か!?」
「いや、嫁はとりあえず置いといて……。実は俺、ギルドを追放されて一文無しなんで、住む場所がないんですよねー。テキトーな物置小屋でも貸してくれません?」
俺がのんきに言うと、王様は「物置小屋などとんでもない!」と大慌てで首を振った。
「一文無し!? そんな天才を追い出すなど、人間のギルドは脳みそが腐っているのか!? よし、トウマ殿には我が国の一等地にある【世界樹の別荘】を差し上げよう!」
「せかいじゅのべっそう?」
王様がパンと手を叩くと、部下がめちゃくちゃ豪華な鍵を持ってきた。
「そうだ! 世界樹の幹を丸ごとくり抜いて作った、国宝級の大邸宅だ! 中にいるだけで魔力が自動で全回復するし、お風呂は天然の高級温泉! もちろん維持費も税金も、ぜーんぶ我が国が永久に負担する!」
家賃タダ、税金ゼロ、魔力無限回復の国宝ハウス。 ご都合主義が限界突破していて笑えてくるが、貰えるものは貰っておこう。
「あ、じゃあそれで。あざっす。」
「うむ! 今日からそこは君の家だ! 好きに使いなさい!」
こうして、俺はエルフの国の一等地にある、超豪華なマイホームをタダでゲットしてしまった。
さっそく3人で新居に移動する。 めちゃくちゃ広いリビングに、ふかふかの高級ベッドが並ぶ寝室。ベランダからはエルフの絶景が一望できた。
「すごーい! トウマ様、今日からここで一緒に暮らせるんですね!」
「トウマ殿、寝室のベッドは一つだが……我々3人で一緒に寝るということで良いのだな?」
セレフィナちゃんとヴィオレが顔を真っ赤にしてソワソワしている。お前ら距離感バグりすぎだろ。
「まあまあ、それは後のお楽しみ。部屋は広いしテキトウにやろう。……よし、とりあえず庭に畑でも作るか。」
俺は暇つぶしに、新居の庭の土に向かって、指先からモワモワと黒い霧を出してみた。 進化スキル【万象解毒・概念猛毒】をちょっと応用して、植物の成長を邪魔する悪い菌を全部『毒殺』し、ついでに「なんか栄養になる毒」を撒いてみたのだ。
すると――。
ズゴゴゴゴゴ!!!
「うわっ!?」
庭の土から、一瞬で見たこともないデカさのハーブや、ピカピカに輝く果物が大爆発みたいに実りまくった。
「な、何ですかこれ!? 市場で金貨10枚はする伝説の『世界樹の果実』が、雑草並みのスピードで生えてきましたよ!?」
「トウマ殿の『毒』は、植物の成長スピードすら狂わせるというのか……。恐ろしすぎる……!」
女の子2人がまた俺を拝んでいる。 いや、俺もちょっと栄養をあげたつもりだったんだけどな。これ、毎日テキトーに霧を撒くだけで、一生遊んで暮らせる大富豪になれるじゃん。
「あいつらの奴隷辞めて、マジで大正解だったわ。」
こうして、俺のウハウハなスローライフが本格的に始まったのだった。
一方その頃、元ギルド『聖なる光』では…
「おいボザス! 武器の『腐食毒』を中和してないから、俺の大剣がボロボロに溶けて折れたぞ!」
「ガ、ガルガさん! ダンジョンの瘴気の解毒できないせいで、メンバー全員が謎のブツブツに侵されて動けません!」
「クソッ、トウマが作ったポーションのストックも全部切れた! 誰かあいつを連れ戻してこい!!!」
なんか元ギルドがガチで自己破産しかけてるらしいけど、可愛い女の子2人に囲まれて、高級フルーツを食べさせてもらっている俺には、まーーーーったく関係のない話だった。




