第2話 不治の病?俺の解毒で一瞬なんだけど。
ギルドを追い出されて王都の外に出た俺。 なんか知らんけど、俺の【毒生成】スキルが【神毒生成】に進化、【万象解毒・概念猛毒】とかいうヤバい力になった。 空間すら腐らせるとか、もうこれ半分無敵だろ。
「まあ、あいつらの奴隷は辞めたし、これからはのんびり生きるかー。」
一文無しだけど、このチート能力があれば野垂れ死ぬことはない。 そんなことを考えながら森を歩いていると――。
「いやあああああ! 来ないでぇ!」
奥の方から、めちゃくちゃ可愛い女の子の悲鳴が聞こえてきた。
行ってみると、そこには信じられないくらいの美少女がいた。 金髪ロング、超絶スタイル、そして尖った耳。 絵に描いたような最高級のエルフの美少女だ。
そんなエルフちゃんが、服をボロボロにされながら、いかついオーク3匹に襲われていた。
「ブモオオオ!」
「くっ……! 体が、動かない……!」
エルフちゃんは地面にへたり込んでいる。 よく見ると、彼女の肌にはどす黒い紋様が浮かび上がっていた。
(あれ、あの黒いもやもや……『呪毒』じゃん。かなりエグい呪いの毒だな。あんなの喰らったら、並の魔術師じゃ一瞬で肉体が溶けるぞ…)
どうやら彼女は、強い毒のせいで魔法も使えず、オークに追い詰められているらしい。
「仕方ない、助けてやるか。」
俺はオークたちの前に躍り出た。
「ブモ!?」
「ちょっと! あなた誰よ!? 逃げて、こいつらは強いし、私ももう呪いで死ぬわ!」
エルフちゃんが叫ぶ。 心配してくれて優しい。可愛い。合格。
「大丈夫。俺、一応【毒使い】だからさ。」
俺は右手をゆるく構え、さっき覚醒した【概念猛毒】をちょっとだけ意識してみる。 狙うのは、オークたちの足元の【空間】だ。
「消えろ」
シュパァン! と、指先から黒い霧が飛び散る。
次の瞬間、オークたちがいた場所の空間が、ドロドロの液体みたいにドロリと溶けた。
「ブモッ!?!?!?」
オークたちは悲鳴をあげる暇すらなかった。 空間ごと『毒殺』されて、一瞬で消滅。チリ一つ残っていない。
「……え?」
エルフちゃんが、お口をぽかんと開けて固まっている。 そりゃそうだ。災害級のオークが、指先一つで消えたんだから。
「あ、あれ? 私、幻覚を見てるの……?」
「幻覚じゃないよ。それより、君のその毒、今すぐ消してあげるね。」
俺はエルフちゃんに近づき、その細い肩に手を触れた。 使うのは【万象解毒】。
「ふぁっ!? な、何をするの……ゃ、あ、熱いっ……!?」
エルフちゃんの体がビクッと跳ねる。 俺の解毒パワーが強すぎて、彼女の中にあった『不治の病』レベルの呪毒が、一瞬で蒸発していく。
ついでに解毒の衝撃でエルフちゃんの服がさらにちょっと破けて、白い肌がチラリと見えた。ラッキースケベごちそうさまです。
「ぷはっ……! はぁ、はぁ……。う、嘘……身体が、軽い……? 聖教会の高名な神官様ですら治せなかった【奈落の呪毒】が、消えてる……!?」
エルフちゃんは自分の手を何度も握り締め、信じられないといった様子で俺を見上げた。
「君の名前は?」
「あ、私はセレフィナ……エルフの国の、王女です……」
王女様だった。ご都合主義すぎて最高である。
「俺はトウマ。しがない元・ゴミ処理係だよ。」
「そんなわけありません! 空間を消滅させ、不治の呪いを一瞬で解くなんて……あなた、神様か何かなのですか!?」
王女の目が、キラキラとした崇拝の光に変わる。 さっきまでの警戒心はゼロ。
「トウマ様! お願いです、私をあなたの従者……いえ、お嫁さんにしてください! あなたのような素晴らしいお方に、一生ついていきたいのです!」
「え、お嫁さん? いや、出会って数分なんだけど……」
「時間なんて関係ありません! あなたは私の命を救ってくれました。心も…全てを奪われたのです…!」
セレフィナは俺の腕に抱きつき、豊かな胸をこれでもかと押し付けてくる。柔らかい。(ま、いっか。可愛い女の子に好かれて困ることもないしな)
こうして俺は、ギルドを追放されたその日に、超絶美少女なエルフの王女様をゲットしたのだった。
一方その頃、元ギルド『聖なる光』では…
「おい! なんでポーションの在庫が切れてるんだ!」
「トウマがいないから、誰も調合できないんです!」
「あいつが処理してた瘴気のせいで、ダンジョンに入れないぞ!」
なんか元ギルドが大変なことになってるらしいけど、エルフの王女様に「あーん」で木の実を食べさせてもらっている俺には、まーったく関係のない話だった。




