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第14話 概念猛毒にあてられた美女5人を相手にしていたら朝になった。

 高級なシルクのシーツが擦れる微かな音。昨夜の濃厚な余韻を残すような、どこか甘く切ない香りが漂っていた。


 静かに上体を起こす。疲労は微塵もなく、むしろみなぎるような活力が満ち溢れている。ベッドの隣を見やればセレフィナちゃんが、ふわりとした美しい金髪を乱したまま、まだシーツの海に埋もれている。


「……トウマ様……強すぎ、ます……っ。エルフの精力を持ってしても……腰が砕けてベッドから起き上がれません……」


 セレフィナちゃんはシーツを胸元まで引き上げ、潤んだ瞳で見上げる。その白い肌はほんのりと桜色に火照っており、指先一つ動かすのも億劫といった様子で、心地よさそうなため息を漏らした。


 彼女のそんな姿は、普段の王女としての気品を知る者が見れば、誰もが息を呑むほどに艶っぽい。


「無理しなくていい。セレフィナちゃんは、今日は一日ベッドでゆっくり休んでいてくれ。」


 優しくキスをすると、セレフィナちゃんは嬉々として目を細め、再びシーツに顔を埋めた。


 ベッドの反対側では、スタイル抜群の聖騎士団長であるヴィオレが、鍛え上げられたしなやかな肢体を丸めるようにして眠っている。俺が近づくと薄く目を開けた。


「トウマ、殿……昨日の夜は、騎士であることを忘れてしまいました。でも、最高に幸せです……っ。」


「俺も幸せだったよ。」


 ヴィオレにもキスをしたら、その頬は真っ赤に染まった。ヴィオレは布団の端をぎゅっと握りしめ、幸福感に身を委ねていた。


 軽い足取りで部屋を出る。廊下を進み、リビングへと向かう途中、隣の客室の扉が静かに開いた。


 そこから現れたのはエルフ王妃――セレフィナちゃんの母親でもあるイザベラさんだった。


 長い髪をゆるくまとめ、大人の色香が漂う薄手のネグリジェを身にまとった彼女は、妖艶な微笑みを浮かべて歩み寄ってきた。その足取りはどこか名残惜しそうにほんの少しもたついているが、大人の女性としての余裕を崩さない。


「おはようございます、トウマさん。ふふ、昨夜は本当に……素晴らしい時間でしたわ。愛してくれた跡がまだ残ってる…。セレフィナたちには少し刺激が強すぎたかしら?」


 イザベラさんは俺を抱きしめると、耳元で悪戯っぽく囁いてキスをした。柔らかい胸の主張が激しい。


「俺と一緒にいたら、昨日の刺激じゃ足りなくてなってくるかもよ?」


「まぁ…。トウマさんったら。あの…よろしかったら…今晩も…刻んでください…。」


「ああ、もちろん。イザベラさんが望むなら、いつでも相手をするよ。」


 そう言って今度は俺からキスをした。


 しばらくすると犬耳をパタパタと揺らしながらミィナが顔を出した。まだ眠気が残っているようで、トコトコと俺に歩み寄ると服をつまんだ。


「おにいちゃん……ミィナ、まだぽかぽかする。」


 ミィナは俺の身体に顔をすり寄せ、嬉そうに尻尾を左右に振っている。ミィナの頭を優しく撫でながらキスする。


 さらに部屋の隅では、召喚術師のエレノアがぼんやりと椅子に座っていた。特徴的なゴールドのツインテールは(ほど)かれ、長く美しい髪は乱れたままだ。俺と目が合うと、大慌てで顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。


「昨日のアレ…何よ?トウマくんのにおいが全然とれないんだけど…?」


「…もっと嗅ぎたいの?さすが召喚術師様、好きものだなぁ。」


「うっっっさい!!またあんなことしてみなさい?ケルベロスに喰わすからね!!」


「はいはい、わかったから。」


 そう言ってキスすると、どうしていいかわからない様子で、指で俺をツンツンと突ついた。


 祝勝会明けの朝の風景。それは結成したギルド『万象の毒』の平和で贅沢な日常のひとコマだった。


 先の戦いで、魔王軍の「進軍の因果」を消滅させ、獰猛な獣戦士たちを一瞬にして動物園へと変えてみせた。その後、グランゼリア王国が用意してくれた貸し切り宿で行われた祝勝会では夜が更けることはなかった。


 穏やかな朝、宿屋の呼び鈴が静かに鳴り響く。


「…こんな朝早くに誰だろう?」


 扉を開けると、仕立ての良い衣服を着た、いかにも王宮の使者といった風貌の役人が、書類を持って立っていた。


「朝早くに失礼します。ギルド『万象の毒』のマスター、トウマ様……でしょうか?」


「はい、そうですけど…何かご用ですか?」


「国からの公式な『依頼書』をお持ちいたしました。」


 男が差し出してきた高級な羊皮紙の書状は少し震えていた。よほど丁重にこちらを扱うよう厳命されているらしい。


 受け取った依頼書に目を落とす。


『隣国との国境付近にある旧鉱山地帯に現れた魔獣の生態調査、および周辺の安全確保』


 国からの公式依頼という名目だが、提示されている報酬額は新設ギルドの規模を遥かに超えている。国としても、国としても機嫌よくいてもらいたいらしい。


「なるほどね……。わかりました。」


 部屋に戻ると、ヴィオレがあくびをしながら着替えていた。寝不足に加え、体力を消耗した状態でも動ける精神力はさすが騎士だ。


「トウマ殿、仕事ですか? ギルドの依頼となれば、いつでも動けますが……。」


 ヴィオレがキリッとした表情で胸を張るが、少し力なく、まだ腰が引けているのが微笑ましい。


「うん、国境の方でちょっとした魔獣の調査だって。報酬も良いし、これ受けちゃおうか。」


「はい…っ!」


「ヴィオレ、眠れていないのはわかるけど、今日はちょっと頑張って2人で行こう。」


「……はいっ…♥」


 ヴィオレは一気に眠気が覚めた様子で、満面の笑みで静かに応えた。


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