ー光回想ー 贖罪
幼い頃の記憶。
姉とよく本家の花畑で遊んだ記憶がある。
修行に明け暮れる毎日だったけど、姉さんとの時間は楽しかった。
姉さんは強かった。
なにより、優しかった。
姉さんはよく水色の着物を着てたっけ。美しい桃色の髪とよく合っていた。
いつも俺が落ち込んでいると、強引に外に連れ出してくれたっけ。
眩しい太陽みたいな人。一緒にいるだけで頑張れる。
姉さんとの時間だけが、唯一気が抜ける時間。
だからこそ。
───────あの日、俺は油断していたんだろう。
姉さんなら、何とかしてくれる。
そんな、怠惰な思想。
───────甘ったれでどうしようもなく情けない俺のせいで、姉さんは死んだ。
俺は姉さんを助けることができなかった。
異形から姉さんを救えなかった。
俺が弱いから。
『大丈夫だよ。アキラ。大丈夫だから。あなたは私より強いから。それにね、私の大好きな人が、虹花がそばにいてくれるから。……あなたは間違ってない。私は大丈夫だから。……えへへ。大好きだよ、アキラ。』
記憶に残るその人の最期は、憎らしいほど幻想的で美しかった。
大好きな花畑で、血を吐き出して、血塗られたその手で、俺の頬に触れる。
苦しいはずなのに、いつもと変わらない笑顔で、無能な弟に笑いかける。
絶対にこの記憶だけは忘れてはならない。
俺の罪の記憶だ。
この記憶を忘れずに、この刀を振るい続けること。
それだけが俺に許された贖罪だ。




