2章6話 先祖返り
再び、目の前に現れた紅の悪魔。全員状況の理解ができていない。
「お前、まさか、『鳳凰』なのか……?」
沈黙を破ったのは先生だった。
だが、その刹那。
先生は気絶し、地面に倒れ込む。
そして、ゆっくりと雨野くんに近づくと、首を絞め持ち上げる。
「あがっ!?」
まったく状況についていけない。
確かにこの目で見て理解したはずなのに、起きた事象に全く体が動かなかった。
「え、先生?」
ようやく遅れて先生が倒れたことに反応する。
「貴様ら、頭が高い。まずは平伏してこの俺を敬え。この俺を視界に入れることを許可してやると言っているのだ。」
紅の悪魔はそう言い放つと、次の瞬間には全員膝を着く。
全く動けない。
「どう……いう、こと。な、なんで大鳳さんがこんなことを!」
「ククッ、安心しろ。この俺と宝の意識は別のものだ。我が宝は今この俺の依代にしかすぎぬ。して、この俺の行動原理だったか。無知蒙昧な貴様らには理解できぬだろう。本来なら、この俺に言葉を投げかけることなど許されぬこと。だが、我が宝を癒した褒美だ。貴様は見逃してやろう。そしてこの俺が直々に教鞭を取ろうではないか。」
気がつくと目の前には紅の悪魔が立っており、私の身体は宙に浮く。
まったく抵抗できずに顎を持ち上げられる。
「うむ。いい魂を持っているな。我が宝に近い輝きを秘めている。貴様が望むのなら寵愛をくれてやる。」
「なんの……こと……」
「なんだ貴様もか。その血に刻まれた理を忘れているのか。……まあ良い。今の俺は機嫌がいい。」
「なんで…先生を……」
「おっと。そうであったな。その話だ。そこに寝ている男は優れた血と魂を持っている。何より我が宝が惚れた男だ。繁栄を愛でる俺にとっては宝に等しいとも言えるだろう。なにより今この場において厄介だったというのもあるな。それにこの俺を一目見ただけで存在を理解して見せた。これは素晴らしいことだ。」
少しずつ理解が進んでいく。
この紅の悪魔にとっては、何故か大鳳さんが守るべき宝物ということ。
そして先生は危害を加える理由がなかった。
そして、先生が口走った『鳳凰』という神獣。それこそが紅の悪魔の正体。
「……なら、なんで……今現れたの?」
「知れたこと。我が獲物を横取りしようとしたからだ。」
「で、でも……雨野くんは今まさに捕まったんだよ……?」
「理を違えるな。裁きを下すのはこの俺だ。断じて有象無象ではない。」
「おいおい、裁きだって?この僕が何を裁かれるって言うんだよ?言ってみろよ!?生徒会長さんよぉ!お前ごときが紅の悪魔の正体だったとはなぁ!程度が知れるよなぁ!?」
刹那。雨野くんの姿は消える。
跡形もなく存在そのものが消えたのだ。
「え……?」
だが、次の瞬間肩で息をしながら、地面に倒れ込む雨野くんがいた。
「どうだ?あらゆる拷問を受けた気分は?」
「なにを……なにをした!?」
「ほんの一瞬、貴様の魂を地獄に落としてやったのだ。味わったか?苦痛を。」
怯え苦しむ雨野くん。一体何をされたのだろう。
想像することすらも恐ろしい。
「だが、この通りだ。貴様の魂も血も穢れたままだ。」
「なにが、何を言いたい!!」
「分からぬか?貴様の魂はどんな裁きを受けても変わらないということだ。汚物は何をしても汚物だということだ。変わることはなく、貴様はただただ醜い。この俺がその程度の裁きで悦に浸れると思うか?否、貴様はこの俺の宝を傷つけた。命のひとつでは足りぬわ!!!!」
その瞬間全身が震え上がる。
鳳凰から発せられたその言葉だけで、とんでもない霊力が乗っていた。
「ならさっさとやれよ。お前の言う浄化ってやつをさぁ。そうすれば、僕は永遠に裁かれることはない!誰も僕を裁けない!僕は正しい!いずれ世界は理解するだろう!僕こそが正しかったと!あっはははははははははは!!!!!」
醜く笑い続ける雨野くん。
本当に鳳凰の言う通りかもしれない。
この男にはどんな裁きも通じない。
魂が傷つけられても、なお、狂気に身を任せている。
自分の行いが正しいと思い込んでいる。
「あれえ?やらねえのか?なら、僕がお前を裁いてやるよ!ホウオウだが、なんだか、知らないけど、炎を操る妖怪が僕にかなうわけねえんだよ!!!僕は雨師の先祖返りなんだからなあ!」
振りかざされる拳。
確かに雨野くんはこの状況で動いて見せた。
本当に異形化せずに、先祖返りを果たしているなら、負けないのかもしれない。
でもそんなこと起きるわけはない。
どうからどう見ても、雨野くんの霊力は鳳凰に負けている。
先程まで強大だと感じていた雨野くんが、ただの蟻にしか見えない。
目の前にいるのは恐竜だ。
いや、それすらも滅ぼす巨大隕石。
スケールが違いすぎる。
雨野くんの拳は簡単に受け止められ、鳳凰から炎が溢れていく。
溢れた炎は雨野くんの体に燃え移り、雨野くんは泣き叫ぶ。
「ぁあああああああああっ!!!」
痛がり、転がり、醜く惨めに泣き叫ぶ。
「貴様ごときが先祖の寵愛を得られるわけなかろう。その血を穢した貴様などに。……貴様の仲間はそれぞれに正しさを持っていた。殺戮もこの俺の趣味ではない。だからこそ、分不相応な力と記憶を取り上げてやったのだ。だが、どうやら貴様にはそれではいかぬらしい。」
不敵に微笑む鳳凰。
炎が消えると、雨野くんは絶望した表情を浮かべる。
「血の……繋がりが……感じられない!?」
「貴様から雨師の血を綺麗に抜いてやった。」
「え……」
「貴様は自らが憎む人間と同じになったのだ。」
「あぁあああああ!!!」
雨野くんは発狂し、屋上から飛び降りる。
衝撃的な出来事。
彼にとってその血は何よりも大切なもの。他の被害者とは異なり記憶を持ったまま力を失ったのだろう。
もう見ていられない。哀れな末路だった。
だが、すぐに炎が燃え上がりその場に雨野くんが無傷で現れる。
何が起きたの?
「なん……で……」
雨野くんも同様に困惑した表情を浮かべる。
「ああ。喜べ。貴様にはもうひとつ贈り物があるのだ。この俺の寿命の一部を分けた。人間では一生使いきれぬ程の寿命だ。嬉しかろう?」
「そん…な……」
「貴様の提案。受けることにした。」
「な……に」
「この世界全ての人間を殺してやろう。それが世界にとって、正しいことなのだろう?貴様には歴史の観測者になってもらおう。貴様はその寿命が続く限りこの世界を観測しろ。それが貴様の役割だ。」
「嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!戻せ!戻せよ!殺せよ!殺してくれよ!!!!」
瞳に大粒の涙を溜めて泣き喚く。そして疲れたように眠る。
もう彼の精神は壊れてしまったかもしれない。
「クククッ、そんなに喜んで貰えるとはな。授けた甲斐がある。」
正直、もう雨野くんのことなんて構っていられない。
さっき、なんて言った?
人間を殺す?
今目の前でそんなことが決まったの?
「さて。今この場にいる有象無象からだ。天下泰平のため、世界の救済を始めよう。悪いな、小僧貴様からだ。」
「海道くん!!!!」
動けない海道くんの元に現れる鳳凰。容赦なくその手を翳す。
刹那。鳳凰を殴りつける犬飼。先程同様、犬のようなオーラを身に纏う。
だが、全く効き目があるようには見えなかった。
「残念だが小娘。その妖の力は俺には届かぬ。その力は主を悪から守った霊犬の力だ。悪とは、この俺には縁遠いものだ。順番で殺してやるから、待っていろ。」
「ぐっ!!!!がぁあああああ!!」
色んな方向から殴り掛かる犬飼。何度吹き飛ばされても海道くんを守りながら立ち向かう。
「さ、つき……」
海道くんはその様子を悔しそうに見つめる。
私もどうにかしたいけど、全く体が動かない。
「お兄から離れろ!!!お兄に近づくなぁあああああああ!!!」
「素晴らしい魂だ。主を守るために約束を守り続けるか。だが、お前の血は薄すぎる。」
「があああああああ!!!!」
猛獣のような考え無しのがむしゃらな攻撃。
腕を掴まれ、地面に投げつけられ意識を失う。
「皐月!!!!」
刹那。風が吹き荒れ、海道くんの目の前に猿飛が現れる。
「それ以上、近づくならこの俺が相手だ。」
「猿飛!!!!」
瞬時に鳳凰の背後に回り込み小刀で斬り掛かる猿飛。
だが、鳳凰に届くことはなく刃は折れていく。
「くっ!ならば鎌鼬!!」
体勢を立て直し繰り出される風の刃。
だが、全ての刃は炎に包まれ、むしろ鳳凰の纏う炎を強くしていく。
「ほう?中々良い風だ。もっと俺を気持ち良くしてみよ。」
「くっそぉおおおおおお!!!」
「貴様も後で殺してやる。安心しろ。」
腹部に強烈な一撃を叩き込まれる猿飛。
「……また、俺は守れないのか」
そんなことを呟き気絶する。
「さて。邪魔者は消えた。黙って最初の礎となってもらおう。」
「待って!!!!待ってよ!!!やめて!!!!」
動いて。
動いて。
動いて、私の体。
今何とかしないと、海道くんが、海道くんが殺されちゃう。
「お願い、お願い、助けて───────アキラ!!!!」
私は全身全霊でその名前を呼ぶ。
アキラなら、きっと、何とかしてくれるはず。
「フッ、この状況下で他人頼みか。見損なったぞ。」
「え……?」
目の前に現れた鳳凰。
酷く冷たく私を見下ろす。
そんな、嘘。
私、何か間違えたの?
ここで───────死ぬの?
「ふざけんなよ、クソ野郎。次から次へと僕の大切な人を傷つけやがって!!!!」
刹那。槍を構えた海道くんが私の前に現れる。
「クククッ、そうだ。そう来なくては面白くない。少しは楽しませてもらおうか!!!」
飛び上がり火球を投げつけてくる鳳凰。
全ての火球を槍で切り裂き、鳳凰へと近づいていく。
「だぁあああああああ!!」
「ならば、これならどうだ!!!」
さらに上空に飛び上がる鳳凰。
纏った炎を両手に集め、巨大な火球を生成する。
そのまま解き放つとゆっくりこちらに向かってくる。
「僕は、お前にだけは、負けない!!!!」
海道くんも対抗するように水の塊を形成し解き放つ。
「はぁああああああああ!!」
凄い。海道くん。あの鳳凰とやり合っている。
「流石にやるなあ。日本神話の化け物よ!!!」
「ここで倒す!!!!お前は許しておけない!!」
衝突する水と炎。
融合し、爆発する。
だが、構うことなく飛び上がる海道くん。
水色のオーラが激しく燃え上がり、霊力が高まっているのがわかった。
勝てる。
これなら、勝てる。
「クククッ、だが、残念だ。それが貴様の限界だ。」
「なにっ!?」
「己を見失った罪を嘆くが良い。」
鳳凰に槍が突き刺さった刹那、槍は真っ二つに分かれ、海道くんは落下する。
「所詮は妖の類い。神に届かぬ存在。終わりだ。小僧。」
「誰も……殺させない。もう誰も失う訳には……いかない。」
膝をつきながらゆっくり体を起こす海道くん。
先程とは異なり、紫のオーラが迸る。
そして瞳の色は青から赤く染まる。
何故だろうか。
こんな絶望的な状況なのに、その顔に懐かしさを覚えた。
───────誰かに似ている。
鳳凰は見下しながら降り立ち、掌を海道くんに向ける。
「貴様、まだ力を隠しているな?この俺相手に舐めた真似を。出し惜しみせず全霊で葬り去ろう。どうやら、表面の妖怪に惑わされたらしい。貴様のその血、堕神の類か。」
「知らないよ。……こっちは記憶失っているんでね。言っておくけど、まだ、負けたわけじゃないよ。天空さんだけは守り抜く。」
何故だろうか。海道くんの様子がいつもと違って見える。
それと同時に鼓動が高なった。焦燥感が走ったからだ。
このままだと、海道カイトは消える。
なぜだか、そんな気がしてならない。
止めないといけない気がした。
そして、頭で答えだけが駆け巡った。
なんの根拠もない自信。
───────多分、私なら、止められる。鳳凰も海道くんも。
思考が突然、加速していく。目の前の事象はとてもゆっくり流れ始めていく。
わたしが腐らせてしまっているこの力を解放すれば、全て解決する。
絶対そうだ。
分からない。分からないけど、体の奥底から何かが燃え上がる。
犬飼も、猿飛も、海道くんも大切な家族。
この学校も両親も、壊させはしない。
誰かに頼るな。
アキラにばかり頼るな。
私が何とかするんだ。
だって、そうでしょう?
私はあの日、アキラから光を貰ったんだから。
誰かを救うための光を。
誰かを助けられる人に、希望となる人になりたかったんだから。
『その言葉に嘘はないんだね。苦しいよ、きっと。』
そんな声がどこからか、聞こえた気がした。子供のような無邪気な声。
確かにそうだ。
きっともう、戻れないと思う。
今までずっと、怖がって見ないようにしてきたから。
『あんたさ、ただ人間でいたいだけっしょ。』
また声が聞こえた。今度は女の子の声。
そう。きっと、そうだ。
わたしは知らないうちに逃げていたんだ。
自分の血から。
『大丈夫だよ。きっと正解とかなくて。幸せになるために頑張ることが大切なんだよ。』
『忘れるな。お前はお前だ。その力を使っても、自分を見失うな。』
また声が消えた。
その言葉は暖かく私の背中を押してくれたような気がした。
胸が熱くなる。
家族を守るために、酔いも悪いもない。
私は天空鈴華。
『大切な家族を守るために、この力を解放する!』
その刹那。枷となっていた鎖から解き放たれ己の血が覚醒する。
目の前には強大な敵。
家族を傷つける凶悪な存在。
迷いは無い。
「天空……さん?」
海道くんが目を丸くして驚いている。瞳の色は青く戻っていた。
良かった。
間に合ったみたい。
不思議だ。体が軽い。
なんでも壊せる。
負ける気がしない。
「九本の尻尾、この俺と似た気配。神獣か。どうやら、九尾として先祖返りしたようだ。異形化することなく。」
「私の目的はただ一つ。あなたを倒す。」
「この俺を倒す?四霊であるこの俺を?たかが先祖返りした程度で思い上がるなよ!?この俺は本来の鳳凰であるぞ?人と交わった貴様に負けるわけなかろう!?」
解き放たれる炎。
だが、まるで熱くない。
そのまま炎の中を歩き進める。
「ぐっ……」
「はっ!」
私は気合いを込め、霊力を解き放つ。
背中から紅蓮に燃える尻尾が長く伸び、鳳凰を貫き拘束する。
「がはっ!?」
そのまま私は体を引き寄せ、鳳凰の顔面に拳をめり込ませる。
「がっ!?」
送れて炎が燃え上がり、鳳凰の身体を炎が包む。
「ククッ、どうやら依代では限界か。此度はこれまでとしよう。これ以上は我が宝を傷つける。」
刹那。燃え盛る炎は消え去り、姿を戻した大鳳さんが倒れ込む。
「や、やったの?」
海道くんは私に視線を向ける。
まだだ。
ここで終わらせる訳にはいかない。
私は倒れた大鳳さんに拳を振りかざす。
「まさか、制御できていないの!?落ち着いて、落ち着いてくれ!!もう戦いは終わったんだ!」
終わった?何を言っているんだ。
「たわけたことを申すな。カイト。此奴は生かしてはならぬ。この器がある限り、人類に救いは無い。ワシの家族はいつまで経っても平穏に暮らせぬではないか。」
「だめだ、完全に意識を九尾に飲み込まれている!ダメだ!それをしたら、君は一生後悔する!何故か僕にはわかるんだ!君はそんな想いをしてはいけない!」
頑張って何かを抗議するカイト。
全く。そんなに焦らなくても、すぐにこの女を殺してあげるよ。
そしたら、みんなで楽しく───────
「───────そこまでですわ。」
「なっ……」
刹那。視界が青い炎に包まれる。
気がつくと私は地面に膝をつき、夕暮れに染まる空を見つめていた。
「あ、れ……?」
辺りを見渡すと全員倒れており、海道くんだけが傷だらけで私の横にいた。
何が起きたんだっけ?
「大丈夫ですわ。全て解決しておりますの。」
目の前には見知らぬ女性が微笑みながら、手を差し伸べてくれる。
私は訳もわからずにその手を取る。
立ち上がり、海道くんに目線を送ると海道くんは説明してくれる。
「紅の悪魔、鳳凰は君が先祖返りして倒してくれた。」
「私が先祖返り……?」
「そしてそこの人が暴走した君を止めてくれた。」
海道くんが指さしたのは目の前の女性だった。
暴走?記憶がまだ定まらない。何が起きたの?
金髪の女性はニコッと微笑んでいる。
赤いドレスに美しい見た目。少し幼く見えるが、お嬢様のような気品がある。
何より黄金のオーラを身にまとっていた。
「助けて貰ってありがとうございます。あ、あの、ところであなたは……?」
「私は『リアラ』。リアラ・K・フラワーガーデン。貴方と同じ御三家ですわ。」
私が御三家?
どういうこと?
「お迎えに上がりましたの。私の妹として一緒に暮らしましょう?」
「え?ええええええええっ!?」
「と、いう具合にびっくりされると思っていましたの。だから、再度お伺いしてもよろしいかしら?その時にお返事を貰いますわ。」
「いやいや、え?」
私の頭はぼーっとしていて上手くまとまらない。
今何が起きているの?
「お嬢様。そろそろお時間です。」
どこからともなくリアラさんの背後に現れた女性。
こことは違う制服を着ている。他校の生徒だろうか。
黒髪をお下げに結っており、パッツンな前髪が特徴的だ。
リアラさんの使用人だろうか。
「あら、シロいましたの。」
「ずっといました。神威美琴さんは無事なようです。首藤チグサさんがそのままついております。」
「それは良かったですわ。」
「え、え?神威さん?」
「ええ。あの方突然私を見るなり異形化してしまって。大変でしたわ。黒天使のことをこの学校の風紀委員に聞いただけですのに。」
「黒天使……?あ、アキラのこと、なにか知っているんですか!?」
「ええ。御三家ですからね。まあ、今はそんなものよりあなたに興味がありますの。お返事考えておいてくださいまし。」
「では、失礼致します。」
リアラさんとシロと呼ばれた人は、光に包まれると姿を消す。
いったいなんだったんだ、あの人たち。
「なにか海道くんは知ってる?」
「……有名なエクソシストってことしか知らないよ。」
「エクソシストって……」
本当に、次から次へと。
分からない事ばかりだ。
「ひとまず、予定通り雨野くんを霊能協会に引き渡そうか。」
「うん。そうだね」
私は突然先祖返りしちゃうし、御三家だって言われるし、なんなのよ。
神威さんもまた異形化したらしいし。
問題は山積みだ。
でも考えるのは、先生が起きてからにしよう。
大鳳さんのことも心配だ。
みんなのことも心配だ。
全員無事で生きているだけでも幸運だな。
今回はもう、それでいいことにした。
夕暮れに染まる空の元、私たちは後処理に追われた。
何がどうなっているのか分からないが、ひとまず紅の悪魔事件については解決だろう。
本当に今回は色んな人の価値観にぶつかった気がする。
リアラさん。彼女は何者で、私の何を知っているのだろうか。
そして、今回アキラは一度も現れることはなかった。
第2章を最後までご愛読頂きありがとうございます。このお話にて、第2章は終了となります。次からは第3章となります。お楽しみに。
また、よろしければ、ブックマークや評価、感想など頂けると嬉しいです。
ここから先は2章についてのちょっとした小話をできたらと思っています。興味のある方のみお読みください。
第2章いかがでしたか。個人的には、かなりミステリー色の強い展開にできたと思っています。
私の好みの話なのですが、大きな事件の中に色んな事件が絡んでいくみたいな展開が好きで、このようなお話になっています。
大きくは鳳凰の事件なのですが、その中にアキラのことや海道くんの事や先生のこと、みんなのことが絡んでくるというお話でした。
今回のお話で意識した部分は絶対的な敵『鳳凰』、どうしようもなく悪い存在『雨野』です。
強くて高貴な鳳凰をどう敵対させるか、どう倒すかということにどれだけ説得力を持たせられるかを意識しました。
事前に決めていたのは鈴華の覚醒でしたので、そこに持っていくために敵として鳳凰を選びました。私的には上手く行ったかなと思います。
名前のくだりは、特にこの物語をより深く謎を増やせたかなと思っています。
ですが、元々は想定していなかった設定だったりします。
最近の手法として、友人に読んでもらって感想貰って、そこから修正したり付け足したりしているのですが、『猿飛だけ名前が変じゃない?』と言われ、思いついた展開です。
結果、海道くんの謎が深まって良かったですね。
ちなみに鈴華もいっていましたが、2章4話でこの作品の謎は大体わかるように作っています。沢山考察してみてください。
犬飼の力の解説としては、元ネタは『しっぺい太郎』という霊犬です。
イメージ的には生贄にされる予定だった娘を守るために、怪物を倒し、その娘と結ばられた、という解釈で、犬飼はその一族という設定です。
悪にはとにかく強い設定にしたので、善悪の概念にとらわれない『鳳凰』には力が通じませんでした。
だからといって雨師が悪だった訳ではなく、子孫である『雨野』がとにかく自分勝手な奴なので、力が通じています。
鳳凰的にも『雨野はその血を穢している』という認識です。
『しっぺい太郎』については、もし良かったら、調べてみてください。面白い伝説が沢山あるかっこいい霊犬様です。
次は今回の章タイトルについてです。
またまたcollectですが、今回は集めるという意味で採用しています。
色んな情報を集める、色んな人との価値観に触れ合っていく、そんな章だからです。
小話としては、こんなところでしょうか。
3章からは大きく話が動くので、お楽しみに。
今回は以上となります。いつも応援ご愛読感謝しております。第3章もよろしくお願い致します。




