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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第9話 第一章 堕ちたエースの戦い(2/4)

事故に遭い、目覚めたエースを待っていたのは――想像を絶する悲劇だった。


奪われたものは、あまりにも大きい。


それでも、立ち止まることはできない。


エースは運命に抗うため、静かに動き始める。


登場人物

エヴァン・クリスティアン・アトラス:『Asエース』

ブルーノ:エヴァンの親友

ミア:エヴァンの彼女、知能評価はA

マリー:エヴァンの妹

ミキ・竜宮:エヴァンの同級生

アカリ・竜胆:エヴァンの同級生

ディラン:エヴァンの同級生。彼をライバル視している。

ミハエル・ロッド:ガーディアン・ブルー


「一人いたはずです。ガーディアン・ブルーが。俺は彼に、ストッパーを使われた……」


 これに医者と両親も顔を見合わせた。


「それは、あり得ないです……。現場には誰もガーディアンが間に合わなかったと……」


「嘘です。ガーディアン・ブルーがいたはずだ……。現場の動画があるはずです」


 エヴァンは初めて自分の感情が怒りに震えていることに気づいた。それは今まで生きてきた中でも感じたらことのない激しい感情だった。


 父が様子を見かねて会話を引き取る。


「弁護士に掛け合ってみよう。現場の動画の開示がどこまでできるかわからないが、被害者への情報開示義務がある」


「ありがとう父さん……それと……」


「何だ? 何でも言ってくれ」


「マリーに会いに行きたいんだ……連れて行ってくれないか?」


 医師が言う。


「当分安静が必要ですが、容体が落ち着いた夕方ごろに手配しましょう」


「ありがとうございます。先生」


 そう言うと、エヴァンは目を閉じた。



 シトラス・タワーはおよそ、千三百メートルにもなる高さを誇っていた。ここは警察にガーディアンシステムを提案したシトラス・カンパニーの本社でもある。


 その最上階にある一室には、大勢の幹部が集結していた。一人の男が部屋の扉の前にたつ。そこで立ち止まっていると、床のシステムが男をスキャンする。


「入りたまえ」


「入ります」


「来たな。ガーディアン・ブルー」


 入り口近くに座っていた小太りの男が、囃し立てる。


 部屋の中には幹部達が四角い長方形のテーブルを囲んでいた。上座に座る男が話し始める。


「今日呼ばれた意味はわかっているかね。ガーディアン・ブルー。いやミハエル・ロッド君」


 ミハエルは頷いた。


「先日のハイウェイでの事故の件ですね」


「そうだ。そこで君は報告書にこう書いたそうだね。ストッパーが誤作動した。と」


 ミハエル少し震えながらうなずく。


「そうです。あの時私はエースに迫る車を動かす気だった。しかしストッパーは車ではなく、エースの動きを止めた」


 周りの幹部達はざわつく。


「どう言うことだ」


 ミハエルは自分の予測を口にした。


「あの時、現場はシステムが動作しない状態でしたが、ストッパーは問題なく動作していたように見えました。しかし、なぜか、ストッパーは自動でエースを選択していました」


「君の選択ミスだった。と言う可能性は?」


「当時のログを見てもらいましたが、ストッパーは明確に途中で選択を変えていました。私がトリガーを押す0.1秒前にです。ご存知かと思いますが、標的をロックした後は人為的にそれを変えられはしません。しかし、今回はそれが起きていました。」


 幹部たちがざわつく中、上座の男が口を開く。


「このことを誰に言った?」


「ログの解析を依頼した技術者と、上司のデューパス・レンドルフに」


「それ以外は漏らしていないな?」


 ミハイルはうなずく。


「よかろう、であれば我が社の方針は、君は現場に遅れて到着した。だ。理解したかね?」


 ミハイルは驚く。


「なぜです? 正直私は今まで、なぜ現場にガーディアンがいた報道がないのか気になっていましたが、報道規制でもかけているのですか?」


「口を慎みたまえ! 誰に向かってものを言っているのかわかっているのか?」


 小太りの男の怒りを上座の男が止める。


「君はそれで、自分の立場が危うくなることはわかっているのかい? いやひいてはガーディアン全体の信用問題に関わることも」


「隠しておいて後でバレる方が問題です。現場にはエースがいた……。目覚めて私がいたことを証言されたらどうするおつもりなんですか?」


「たとえそうなっても、エースは幻覚を見ていたことにされる」


「幻覚? 証言を否定する気ですか? そんなことをしてもカメラに映像があるはずです……」


「それはあり得ない。全ての映像は世に出る前に我々が加工済みだ。事故発生直後の映像から君は消えている」


「そんな……」


「この問題は残念なことに君だけの問題ではなくなっているのだよ。今日呼んだのも君の意見を尊重したいからではない。君は社の方針に従うしかないことをわかってもらうためだ」


 ミハイルは言葉を失った。


「君には今まで通り働いてもらう。わかったね?」


 ミハイルはその後自分がどうやって帰ったか覚えていなかった。


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