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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第8話 第一章 堕ちたエースの戦い (1/4)

事故に遭い、目覚めたエースを待っていたのは――想像を絶する悲劇だった。

 

奪われたものは、あまりにも大きい。

 

それでも、立ち止まることはできない。

エースは運命に抗うため、静かに動き始める。


登場人物

エヴァン・クリスティアン・アトラス:『Asエース』

ブルーノ:エヴァンの親友

ミア:エヴァンの彼女、知能評価はA

マリー:エヴァンの妹

ミキ・竜宮:エヴァンの同級生

アカリ・竜胆:エヴァンの同級生

ディラン:エヴァンの同級生。彼をライバル視している。


 テレビ画面ではコメンテータ―達が先の交通事故について話し合っていた。


「結局あの事故の原因は、今発表された、『ラビド・ミスル』のハッキングによるシステムダウンと言うことでいいのかな?」


 ニュース番組の司会者が周りを見渡す。


「ええ、連中は常に、システム化に反対する自然原理主義のテロリスト集団ですからね……。その活動の一環が最悪の形で実を結んでしまったということでしょう」


 システム構築の専門家と紹介欄に書かれた男が同意する。


「にしても現場はすごい、この地区で死亡者が出る事故があったの自体、実に5年ぶりだというのに、それがまさかこんなことになるとはね」


「我々の世界にシステムは必要だということをむしろ間接的にラビド・ミスルは証明してしまったような気がしますね……」

 

 番組の司会者が意見を巻き取る。

 

「うん……。彼らの行動原理はいつ見てもわからない。彼は自分たちの否定する科学技術を駆使して破壊活動を行うが、結果としてそれはシステムの成果を浮き彫りにしてしまう」


「まあ活動家のやることですからね……。にしても驚くべきはやはりガーディアンの網を潜り抜けた事でしょうね。ひいてはマザーの目を盗んだとでも言いましょうか」

 

 今度は女のコメンテーターがしゃべりだした。


「たしかにその点においてはシステムの脆弱性は露わになったわね。マザーは通常の事故による危険探知はできても、悪意を持った行動……犯罪を予測するにはまだ至っていない」


「やはり、マザーには犯罪予測を組み込むときが来たのでは?」


 システムの専門家は姿勢を正して神妙な面持ちになる。


「そういう時期に来ているのでしょうね……ただ、現マザーにそれをアップデートさせるのは負荷が大きいでしょう。おそらく犯罪を予測するためだけのAIを別建てするような形式の方が、早期実装には現実的です」


「にしても、とんだことをやってくれたもんだよ……。死者20人とはね」


「そうですね。お悔やみを申し上げるしかない……。けが人を合わせると50名近くになるという話もあります」


 ここで司会者は回されてきた資料に目を通した。


「そういえば報道されていましたが、被害者には『エース』もいたとか……」


 全員の興味がそこに注がれる。


「そうですね。なんでも妹さんと一緒に車で返っている所を巻き込まれたとか」


「まだその後の発表が無いのが気になりますね。命に別状はないという話ですが……。『エース』の損失は国家的にもかなり打撃のはずです」


「試行錯誤の上ようやく生まれた、遺伝子技術の結晶ですからな……。彼の後まだ『エース』は出てきていないことからもその希少性はすごいものがある」


「早く元気になって欲しいものですね……」


 番組はそこでCMに入った。



――お兄ちゃん。お兄ちゃん。


 マリーに呼びかけられたような気がして、エヴァンははっと目を覚ます。


 そこは病院だった。近くには父と母がおり、エヴァンの目覚めに気づくと父は大慌てで医者を呼びに行った。


「ここは?」


 母が涙をこぼしながら答える。


「病院よ。3日間寝込んだままだったの……」


 エヴァンはしかし体の違和感に気づく。


「体に力が入らない……」


 それを聞くと、母は耐えきれないようにさらに涙を流した。


 ちょうどそこで父が医師を連れて入ってくる。


「よかった。目覚めたのですね。どうですか? ご気分がすぐれないなどはありますか?」


 言いながら医師は布団をめくって、体を触ったりしていく。


「体が動かせないんです……。それに何の感触もない……」


 医師は厳しい表情を浮かべた。そして父親の方を見つめるとうなずく。


「やはり……。大変申し訳にくいのですが、エヴァンさんあなたは事故で頸髄をだいぶ損傷しています……。おそらく……今後も首から下は動かせることはないでしょう……」


 この絶望的な知らせに流石のエヴァンも固まった。


「そんな……一生ですか?」

 

 医師はうなずく。


「現代医療ではどうしようもありません……」


 父と母は抱き合って泣いていた。


 エヴァンは務めて冷静になろうとする。ふと妹の姿が見えないことに気づいた。


「マリーは……。マリーはどこにいる? 父さん! マリーは」


 父は答えられない。代わりに医師が答える。


「マリーさんは昏睡状態です。脳派などは現状安定していますが、いつ目覚めるかは定かではありません」


「そんな……シートガードを起動させたはずだ!」


 医師はうなずく。


「シートガードがあったので死なずにすんだ。というのが正直なところです。警察からの話だと、1回めのトラックとの激突の衝撃で、シートガードの一枚目はほぼ、壊滅的な状態になりました。しかし後続の車の衝突までは…… あの周辺の車は10台近くありましたが、あそこまでトラックに近いところで生き残ったのはおよそ奇跡と呼べるでしょう」


 エヴァンは自分のことよりマリーの状況に完全に動揺していた。


「どうしてこんな……」


 医師は頷いた。


「ラビド・ミスルの仕業だと報道されていますね……彼らが大規模ハッキングを行ったそうです」


「大規模ハッキング……」


「そうです。そのせいであのハイウェイの全ての自動運転システムが制御不能になったそうです」


「ガーディアンは?」


「ガーディアンは予測ができませんでした。意図的なシステムハックを予測できない仕様だったそうです」


 エヴァンはそこで自分の記憶の最後を辿った。


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