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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第5話 第一章(1/3) エースの転落

遺伝子操作によって生まれた完全な人間――エース。

その能力は、あまりにも人間離れしていた。


それでも彼は、妹とともに“普通の高校生活”を望んでいた。

友人に囲まれ、笑い合う日々。


だが――その平穏は、たった一度の悲劇で崩壊する。

全てを奪われたとき、彼は“人間”でいられるのか。


登場人物

エヴァン・クリスティアン・アトラス:『As(エース)

ブルーの:エヴァンの親友

ミア:エヴァンの彼女

マリー:エヴァンの妹

ミキ・竜宮:エヴァンの同級生

アカリ・竜胆:エヴァンの同級生


 グラハムが殺された事件のおよそ半年ほど前、とある高校で、身体能力測定が行われていた。


 参加していたのはちょうど3年生になった直後の代で、およそ300名程度が参加していた。


 校庭の各スポットで走力などいろいろな測定が行われていたが、その様子を女性の校長と記者が見ていた。


「今年も測定の季節ですね」


 記者の質問に校長が返事をする。


「そうですね。例年、この時期は少し緊張します」


「実際の測定を行わなくても、アビリティメーターさえあれば、一定の能力は測れるのでは?」


「いえ、それはよくある勘違いなのですが、アビリティの測定は素質だけを図るものであり、実際の能力そのものが測定できるわけではありません。例えば特定のスポーツでアビリティジャッジがAであっても、普段の練習を怠っている者はそのアビリティに相当する結果を得られないことも当然あります。能力測定はそのズレを測定するいい機会なのですよ」


 記者はうなずいた。


「なるほど……。ちなみに校長は今回の測定で注目されている生徒さんはおられるんですか? 世間では、『エース』の進路も報道されたりしていますが」


 校長は苦笑いを浮かべる。


「私共は特定の生徒に注目や肩入れはしません。どの生徒であっても自分の適性があるアビリティをのばせるよう最善を尽くすのみです」


 記者は当たり障りのない回答に残念そうな顔を浮かべる。

 

 しかしそう言いながらも校長の目線は校庭で測定を実施している一人の生徒、エヴァン・クリスティアン・アトラス、通称『エース』に注がれていた。


 エヴァンは100m走が終わったあたりでクラスメイトのブルーノに話しかけられる。


「相変わらず、すごいな。9秒台出てるぞ。本息で鍛えれば世界記録も狙える」


 エヴァンは苦笑いする。


「デザイン・チルドレンはそれ用の公式記録になるからな。あまり意味はないよ」


 ブルーノは肩をすくめる。


「何がいけない? きっちり住み分けされていいじゃないか」


「そうだな……。ないものねだりだ」


 ブルーノはエヴァンの言う意味が分からず、顔をしかめるとその場を後にした。


 校庭の測定の様子を見ていたのは校長だけではない。この高校は中高一貫となっていて、併設されている中学の生徒も見物に来ている。一人の女子生徒が友達の女の子に喋りかけられる。


「ねえマリー、あそこで走ってたのあれお兄さんよね?」


 マリーはうなずく。


「やっぱりすごいね。お兄さん。スポーツの分野でも結果残せそうじゃない?」


「そうだね……」


 マリーは少しこのやり取りにうんざりしていたが、悟られないように笑顔を取り繕う。


「マリーも運動系のアビリティあるんだし、運動部入ってみたら?」


 マリーは首を横に振る。


「いいよ。私は……」


 友達の女生徒はもったいないと言わんばかりの表情を浮かべるが、それ以上は何も言わなかった。


 マリー達が通った廊下に設置されているモニターには高校の宣伝動画が流れている。


『わが校、エデンタール・アカデミアは、アビリティ教育の先駆けとして、各生徒のポテンシャル・スキルごとにカリキュラムを設定し、生徒が効率よく自身の能力を最大限伸ばすことができるような教育を目指し……』


 廊下に歩いている生徒たちは皆、専用の電子パッドを持ち歩いており、そこには自分の各能力値が互角系のパラメータになって表示されていた。


 そしてその右下には総合評価値としてアルファベットが割り振られている。大概の生徒はDやEが割り振られていた。


 しかしマリーのパッドにはBが表示されている。マリーはそれをなぜか悲しそうに見つめた。


 測定が終わって、教室に帰ろうとしたエヴァンに一人の女生徒が近づくと、後ろから肩を叩いた。


「ミアか……。女子の方も終わったのか?」


 名前を当てられてミアは驚いた。


「どうしてわかるの?」


「手の……いや勘かな」


 ミアは察した。エヴァンは記憶能力と、知覚能力が他の人間に比べて突出している。それゆえ、以前触れたミアの手の感触を覚えているのだ。


「測定はどうだった?」


「うん、特に問題なかったよ」


「運動系の能力も、全部Aだったもんね」


 エヴァンは笑ったがそこにはどこか悲しみが感じられた。ミアはエヴァンのパッドがチラッと視界に入る。その総合判定欄にはしっかりと『A』の文字が出力されていた。


 デザイン・チルドレンはおよそ20年前程から実施されている、遺伝子操作によって生まれて来る際に高い能力値を付与された子供たちの総称である。


 そしてその発展に強く寄与したのが、この高校でも採用されているアビリティメーターだった。


 アビリティメーターはその人間の素質、通称ポテンシャル・スキルを数値化して記録する。


 これを生まれたときに使い、どうすればより良い値がでるのかを研究することで技術を相互に発展させあっていた。


 そしてその時代において実験的に生まれたのがエヴァンである。エヴァンの数値は驚異的で、メーターで計測できる全ての項目がAを記録していた。


 総合指標が唯一のAを記録する彼を皆は『As(エース)』と呼ぶ。

 

 ミアにはエヴァンに聞きたいことがあった。


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