表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/31

第4話 序章(4/4) 鬼人四十面相と女刑事

高層ホテル最上階。


当選を祝うパーティーの最中、一人の殺し屋が姿を現す。

――鬼人四十面相。

標的は政治家グラハム。

現場に居合わせた女刑事イルザは、“剣聖”ヴエロと共に暗殺阻止へと動く。


登場人物


イルザ:女刑事

アレックス:イルザの後輩

グラハム:政治家

鬼人四十面相:殺し屋

ヴエロ:剣聖

ガーディアン・ブルー:特殊部隊『ガーディアン』の一員

アカリ:??

ミキ:??

 今回の事件が起きる二ヵ月前、グラハムの婚約者リヒナ・アーガスタインは車で自宅に帰る途中だった。

 道中おもむろにリヒナは運転手に指示を出す。


「そこで止めて頂戴」


 運転手はうなずくと、ちょうど地下鉄の入り口近くの交差点でリヒナを降ろした。


 リヒナはそのまま階段を下りて地下室のホームに向かうとちょうど来た電車に飛び乗る。


 リヒナは少し周りを確認しながら、九号車まで移動した。そしてガラガラの席の真ん中に腰かける。


 すると次の駅で、一人のフードをかぶった男が入って来る。


 男はリヒナの正面に座ると相手の目をゆっくりと見た。


「リヒナ・アーガスタイン……本人に会えるとは思いませんでしたよ」


 リヒナは尋ねる。


「どうして地下鉄なんですか?」


「あれですよ」


 男は電車内の監視カメラを指さす。


「町のどの場所も、『Vision』に見られています。正直地下鉄も例外ではないですが、地下鉄はそもそもハードのレベルが低いから、ハッキングしやすい」


「ハッキングしているのですか?」


 男はうなずく。


「そうです。あなたはここに一人でいるだけですよ。履歴には残らない」


 リヒナはうなずいたのを見て男は続ける。


「あまり時間がありません。依頼を伺いましょう」


「私の夫、グラハム・ベルリッドを殺していただきたいのです」


「なるほど……。期限は?」


「彼が貴族院で最初の投票をする前です」


「一応、理由を聞いておきましょうか……」


「彼はオックスコムのいいなりです。このままいけば、デルタ地区の改革案、地区特権の剥奪が可決されてしまう……」


「デルタ地区……。ですか。ですがあなたはここの出身でしょう? 実害はないはず」


 リヒナはここで黙った。そして決意したのか、ゆっくりと喋り始める。


「私の父方の先祖はそうです。しかし母のメヒナ・アーガスタインは元はデルタ地区の出身です……。あそこには私の親戚や友人達がたくさん住んでいる」


「グラハムさんはそのことを知らないのですか?」


「知っています。しかし、あくまで特権を剥奪するだけと言ってききません……。」


「それは事実では?」


「地区特権がなければ、常駐している軍は撤退を余儀なくされます。軍がいなければあそこはテロリスト達に占拠されてしまう。オックスコム達は費用を削減したいのです」


「彼一人を殺しても同じか、むしろ逆効果では?」


 ここでリヒナは明確に首を振った。


「彼はデルタ地区改革法案の広告塔です。その彼が、テロリストに殺されたとあれば、世論は対テロリストに対する軍備拡張に傾きます」


「まあ効果は定かではありませんが、内容としては分かりました」


 リヒナは恐る恐る尋ねる。


「引き受けていただけますか?」


「わかりました」


 男とリヒナは握手を交わした。


 時を戻して、グラハムが死亡してから、およそ30分後、リヒナが乗っていたのと同じ路線の地下鉄に一人の男がフードをかぶったまま乗り込んできた。


 席に座ると男は周りに客がいないのを確認して、顔を二度触る。すると、男の顔は眼帯をした女の顔になった。女は肩を抑えるとふーっと息を吐く。通信デバイスから女の声がする。


「アカリ! 聞こえる? 傷は?」


 アカリは言われるがまま傷を見る。


「痛むけど……。問題ない」


「よかった。 応急キットがあって助かったね。 早く戻ってこい」 


「グラハムは?」


「死んだよ……。 奴がやった」


 アカリの表情が一瞬固まった。


「そう……。ついに……だね。」


 相手も一瞬黙ったが、また話し始める。


「とにかく早くかえって来な。一応こっちでも見ている感じバイタルは安定してるし、問題ないと思うけど、何かあると面倒だ」


「わかったよ。ミキ」


 そう言うと、アカリは通信を切る。ミキは、10個ほどのモニターが並ぶ部屋に一人でいた。一度眼鏡を取って汗をぬぐうと、その部屋を出て地下室に向かう。


 地下室には一人の男が近くの装置にケーブルでつながれた状態で寝ていた。ミキは男に呼びかける。


「おい。 聞こえるか?」


 男は目を開けた。


「ああ」


「グラハムは死んだ。あんたの手柄だ」 


「そうか……」


「報酬は約束通り三分の一だ。いいね?」


「問題ない。ありがとう」


 ミキは部屋から出ようとすると、男に呼びかけられる。


「君らもこんな気持ちになったのか?」


 ミキは振り返った。


「初めての時?」


「そうだ」


 ミキは苦い顔をした。


「それはアカリに聞いた方がいい。あたしじゃそれに答える資格がない」


 ミキはそれだけ言って部屋を出ようとするが直前で止まる。そして、


「今日は助かった。ありがとう」


 とそう言って部屋を出て行った。


 男は体を動かせないのか、起き上がらずに天井を見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ