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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第49話 第三章 The Show must go on (3/3)

 イージスは動けるようになり、逆に動けなくなったクロスハイドにしゃべりかける。


「婚約者のこと……すまなかった」 


 クロスハイドは歯軋りする。


「知ったような口を!」


 停止させられているはずの身体が徐々に動き出そうとする。


「すごいな……」


 リバル博士は映像を見ながら感嘆する。


「おおかた、多少生身の部分があるサイボーグだろうが……それでも見ている感じ上半身のほとんどが機械だ。気合いでどうこうなれるもんじゃないぞ。停止結界は」


 イージスは今にも崩れ落ちそうなクロスハイドに掌を向ける。


「いずれ僕もそちらに行く。そしたらきちんと罪を償わせてくれ」


 イージスの掌から放たれた光はクロスハイドの脳天を貫いた。



 イージスの停止結界が出た時、その範囲は広域にわたり、ドームを少しオーバーしたところまで広がっていた。その結果、停止の影響は、イルザとアカリにも及ぶことになる。


「何だ? 今の」


 アカリの剣とイルザの爪がぶつかりあっているところだったが、アカリは一度それを蹴って距離をとった。


 イルザは急に野性化した状態から意識を取り戻して、相手を見る。


「黒髪?」


 アカリは思わず、顔を押さえてしまう。


「ミキ?」


 しかし、ミキから応答はない。


――顔がバレてる……


 アカリは咄嗟に顔を左手で隠しながら、ドームの端にあるボートに向かって走り出す。


「待ちなさい!」


 しかしイルザはその場で膝から崩れ落ちてしまう。


『使った後は反動がある。自分の身体能力の限界値を引き出し続けるからね』


 イルザはポルクに言われたことを思い出した。


「せめて、映像だけでも」


 イルザは身体中の痛みに耐えながら目に手を当てて、身体デバイスの録画ボタンをONにする。停止結界を超えると、アカリはミキに再度通信を試みた。


「どうした! 急に何も見えなくなったぞ」


「顔を見られた。スキンが停止してる」


 ミキは急いで…スキンの設定を始める。


「プリズムロック……。イージスの運用保守担当、リバル・バイパー博士かな。実用段階に入っていたとはね」


 ミキはため息をつく。


「何にせよ、後処理をやるハメになりそうだな。高くつくぞ。エヴァン」


 イルザは、アカリが移動するとすぐ、情報を連携した。


「鬼人ですが、逃しました。ただ映像が取れたので今後の捜査には役立つと思います」


 部長が返す。


「こっちも何とかイージスがやってくれた。目標はダウンしてる。やはりラビド・ミスルだったようだ。皇女だが、予断を許さん。とりあえず病院へ搬送中だ。護衛を複数つけた」


 イルザはほっと一息つく。


「他の参加者に被害は?」


 言いながらイルザにはアカリの行動がよぎる。


――最初に鬼人はエルピナスのボートに乗ろうとしていた。


「一応安否確認だけして後は返したぞ。国賓が今は最重要だ」


 イルザは焦る。


「エルピナス社長だけ護衛をつけたいです。鬼人の標的だった可能性がある……。至急安否を確認してください!」


 部長は地上部隊にコールを繋いだ。


「そちらにエルピナスはいるか?」


「先ほど返した所です。一応リスト対象者なので、護衛を1人つけました」


「早く連絡して追いつけ! 狙われてる可能性がある。護衛も追加しろ。」


 部隊は一斉に車を出し始める。



 エルピナスは車の中で、パッドを開き状況を確認していた。


「ふん。結局イージスには勝てないか……。わかっていたことだろうに、ラビド・ミスルはやはり能無しだ……」


「皇族の1人……。イメルダさんが撃たれただけでインパクトとしては十分なのでは?」


 コーカスの反論に、エルピナスは笑う。


「それでこそだ。犯罪予測のAIが導入されれば、奴等などひとたまりもないぞ。今回のことはただそれに拍車をかけただけだ。それに彼女には元から王位継承権もない。なぜ彼女を最初に狙ったか、理解に苦しむな」


 運転席でにいる護衛の男がつぶやく。


「おそらくですが、はなから皇族は次いでだったのでしょう。本命はイージス。結果として彼女のみがダメージを受けたことにより、イージスは皇室が生きている状態での戦闘を余儀なくされています。そのことが狙い……。もし全員殺す気なら最初の黒い雨をもっと広域に降らせるきでしょう」


 エルピナスが笑う。


「イージスを? それでこそ大馬鹿だ。相手は国宝だぞ、そこら辺のチンピラを集めただけのラビド・ミスルが叶うはずもない……。そこまで愚かじゃないだろう……」


「バルキリー・ドッグの裏切りを全く意識できていなかった警察はほぼ全てで後手に回っている。彼らが要人に狙いを絞っていれば、死んでいた人はもっと多かったはずです」


  エルピナスは少し考えて黙った。


「まあ、どちらにしろ君ら警察の責任問題は免れん。このまま皇女イメルダ様が死ぬことがあれば、警察は相当なバッシングを受けるだろうな」


「あなたも、同様ですね。発端になってしまったわけですから」


 コーカスが怒る。


「あなた! さっきから無礼でしょう」


 エルピナスは運転席の男の様子がおかしいことに気づく。


「コーカス!」


 次の瞬間、コーカスは運転席の男にスタンガンを喰らわされ、失神していた。


エルピナスが恐怖に満ちた目で見つめる中、男はつぶやく。


「さて、少しドライブしましょう。」


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