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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第48話 第三章 The Show must go on (2/3)

 だが弾はイージスにたどり着く前に、現れたシールドに防がれてしまう。


「一撃あればいい。それで十分だ」



 クロスハイドは、ここに来る一週間ほど前、イージスの製作者グースベルヌを拷問にかけていた。


「奴を破壊するにはどうすればいい?」


「知らない……。あいつはもう開発後のあいつではない。どれだけのバージョンアップがされていると思っているんだ」


 クロスハイドは笑う。


「当時の仕様でお前が把握している限りの弱点でいい」


 グースベルヌの目の前には縛られた娘がいた。


「燃やされたいか? 俺の故郷にはこいつほどの子供が何万人もお前の作ったロボットに燃やされている」


 クロスハイドの脅しにグースベルヌは屈した。


「奴はシールドもゲートで出せるが、逆にいうとそれさえ突っ切れて仕舞えば本体はそこまで固い作りになっていない。攻撃特化で一瞬でもシールドを突破できれば、破壊は容易だ」


 クロスハイドは笑う。


「嘘を言うな。であればなぜあれが大国の兵器に勝てる。」


「大国の兵器は分散していたんだ。攻撃をかなり集中化……。例えば全て一枚のシールドに集中さえすれば突破できた可能性は高い」


そのアドバイスに則り、クロスハイドはこっそり、シールドの一枚をマーキングしていた。


「通常消耗したシールドはゲート対象武器の優先度が下がる仕組みになっている……。だが、奴の他のシールドを使わせた状態で、不意をつければ。そのシールドが出てこざるを得ない」


 ドッグ達の攻撃でシールドを使わせたその裏でデイルが、レーザーブレードで、イージスの背後から切り掛かった。イージスは予期していたのか、振り返ってブレードを手で抑える。瞬間デイルとイージスの目が合う。


「これは意思のない。操り人形か……」


 イージスは抑えながら手をかざした。


 グースベルヌの声がよみがえってくる。


『手出し武器……。イージスがゲートではなく、直接装備している武器がある。奴の防御が脆い理由の一つだが……。それらの攻撃力は桁違いだ』


 イージスがかざした手のひらに丸く穴が開く。


「眠ってくれ」


『その一つ、イービルレイは、手のひらから直接放たれる光線だが、貫かないものはない。正直ゲートがなくても旧世代コンバット・シリーズの一個師団くらいは難なく潰せるだろう』


 光線がデイルの体を貫く。後には下半身の部分しか残らなかった。


「よくやった」


 クロスハイドはデイルの方を向いている、イージスに対し、後ろからレーザーソードで、飛び上がりながら突きを放つ。2人の間には距離があったが、突きから放たれた高エネルギーの斬撃がイージスの元に届く。


 イージスの自動防御が作動し、多数のシールドが並んで迫りくる斬撃の前に立ちはだかる。高濃縮されたエネルギーの斬撃はシールドを次々に破ってイージスに迫るが、最後の一つの前で止まった。


 イージスが何とか防いだと思った瞬間、クロスハイドはその最後のシールドに剣そのものを突き立てる。


「まさか」


 最後のシールドは脆く砕け散り、クロスハイドはついにイージスに触れるところまで来た。


「イージス!」


クロスハイドは剣で空中のイージスに切り掛かって行く。イージスはそれを手で受けざるを得なかった。しかし、クロスハイドの本命は剣を持たない左手の方だった。イージスの体を掴むと、赤いランプが点灯する。


「沈め!」


 イージスの体が完全に止まった。


 

 グースベルヌからひと通り情報を聞き出すと、クロスハイドは告げる。


「よくわかった。これで何とかなるだろう」


 グースベルヌは言う。


「奴の保守担当のリバル博士にも話を聞いた方がいい。もし本当に奴を消すつもりならな」


「別に消されてもいいのか」


「あいつの本質はゲートによる転送技術だった。それを今の兵器にしたのは軍の連中だ。」


「そうか」


 そう言うと、クロスハイドはグースベルヌを銃で打った。


「お前の娘を目の前で殺してやろうと思ったが気が変わった」


 娘は目の前で父が打たれた恐怖で泣き叫んだ。クロスハイドは泣き叫ぶ娘の髪の毛を掴んで顔を挙げる。


「恨め、俺が相手になる。復讐しに来い」


 クロスハイドはそう言うと家を出た。



 イージスはクロスハイドに触られた瞬間、彼の記憶データの流入を感じた。


「エリー、どうして……」


 エリーという女の遺体を抱えた時の負の感情。


 絶望していた時に見た、戦争の記事。


『大戦を終わらせたアンドロイド』


 その記事に載るイージスを見た時の煮えたぎる怒り。


 全ての感情が一度に流れ込んできた。


「怒り、悲しみ。全てがここにある」


 ロブ部長がいるモニター室にはイージスの状態が表示されていた。


「イージスがシステムダウンしました!」


 部長が叫ぶ。


「そんなバカな! 保守担当を……。リバル博士にコールを繋いでくれ」


 すぐさま部下がコールをつなぐ。だが聞こえてきたのは寝ぼけた声だった。


「あらロブ部長。何です? こんな時間に」


「まだお昼前だ。それよりお前、何してる。イージスが落ちたぞ」


 リバルは笑う。


「あら、そうなんですか? そりゃまた大変だ」


 部長はイラついた。


「大変だじゃない!! 早く何とかしろ」


「落ち着いてください。今見てみますんで……。なるほど……やっぱり強制タイプのシステムダウナーか……。ラビド・ミスルっぽい武器ですねぇ」


「流暢なこと言ってる場合か! 敵は目の前だぞ」


「それはいい。面白いもんが見れますよ」


 イージスにトドメを刺そうとクロスハイドが近付いたその時、イージスの体が光り、一気にレーザーの結界が広がった。


「これは……」


 クロスハイドは体を動かそうとしても動かなかった。イージスの閉じられた目が開く。


「レーザーによる区域内のシステム停止結界……通称プリズムロック・ナルネット。からの本体強制リブート……。ラビド・ミスルのような相手を想定して搭載された機能です。彼がやられるとしたらダウナータイプの武器でしたからね。それを逆にお返してあげるってのも乙なもんでしょう」


 イージスは結界の中で、動けないクロスハイドに近づく。


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