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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第47話 第三章 The Show must go on (1/3)


 イージスに対し、クロスハイドとドッグは連携してクロスファイヤを狙っていた。シールド越しとはいえ、客が避難できずに残っているのも優位に働き、イージスは攻撃よりも防御一辺倒にならざるを得ない。


「誰か聞こえるか」


 イージスは無線で全体に呼びかける。それにイルザが反応した。


「どうしたの?」


 イージスは表情を変えずに無線でいう。


「武器の使用レベルAを解禁してくれ。ここを抑えるにはそれしかない」


 イルザは部長に繋ぐ。


「部長。お願いします。イージスが倒れればどのみち皆殺しです」


 ロブは一瞬迷ったが、すぐに決断を下した。


「レベルAを解禁する。奴らを殺せ」


 イージスはうなずく。


 クロスハイドが、ゾクと銃撃をしようとしたその時、彼らの真上にゲートが多数現れた。


「まずい」


 ゲートの後ろにはレーザー・ガトリングが数台バルキリー・ドッグとクロスハイドに照準を合わせている。避けようと走りだしたクロスハイド達にレーザーの雨が降り注ぐ。


 クロスハイドは右腕のブラック・シールドを拡大して防いだがゾクはガトリングをまとめてくらって倒れる。


「全員集合だ。武器のレベルが上がった」


 そうクロスハイドから指示を受けると、海にいた残りの3人のドッグ達は一斉にドーム内に突入していく。入れ替わりでイルザは残りの客を全員ドームから出した。


――船以外にもボートがある!


「みなさんはボートを使ってください!」


 エルピナスは壇上にいたため、避難が他より少し遅れていた。


「全く、警備はどうなってるんだ」


 彼はコーカスを連れて、行きに使ったボートに乗ろうとしていた。


「社長、こちらです」


 コーカスはエルピナスをエンジンボートに乗せた。ちょうどその時、最初にイージスにネクタイを直していた女性が、彼らの前に現れる。


「どうしたコーカス」


 女性は怪我をしているようで、足を庇いながらボートを探していた。


「大丈夫ですか?」


  正義感の強いコーカスは思わず声をかける。


「すいません。職員は皆んな専用の船で来ていたので私は乗り遅れてしまい……」


 エルピナスが言う。


「おい……そんな奴葉ほっておいて、早くしないか」


 コーカスは正義感の強い男だった。


「乗ってください。空きはあります」


 しかしその時、彼女の後ろから声がした。


「動かないで」


  後ろにはイルザが銃を構えていた。


「何ですか! 一体」


 コーカスは大声を出す。


「早くボートを出してください! この人は偽物です。鬼人が化けている」


「馬鹿をいわないで! 私は怪我しているのよ」


 イルザはそれをみると、躊躇なく銃の引き金を引く。しかし女には当たらなかった。彼女はギリギリで転げて身をかわしており、ゆっくりと立ち上がった。


「いきなり撃つとはね」


 イルザは続けざまに銃を撃ちこむ。女は剣を取り出すとその弾を全て弾いて見せる。


 銃が弾切れになったところで女はイルザに問いかける。


「どうしてわかった?」


 イルザは微笑む。


「襲撃が始まる前一度トイレに行ったでしょう? そこから歩き方が変わっていたわ」


 女の見た目は黒人に変わった。そして持っている剣に手をかけた。


「そんなところで……。やっぱりあいつと同じで勘がいいんだね」


 イルザは叫ぶ。


「急いで! 早くここから離れて!」


 コーカスは慌ててエルピナスを乗せるとボートを出した。


 イルザはアカリと向き合う。


「今までとは違うの」


 イルザはお守りを押す。


「遅い」


 アカリは一気に踏み込んだ。だがアカリの剣は金属音と共に弾かれる。アカリは何とか、剣を落とさずにいたが、驚きの表情で振り返った。


「実際見ると、怖いねそれ」


 イルザは換装し、その青い目はしっかりとアカリを捉えていた。


「ここで終わらせる」


 イルザはそのままアカリに襲いかかった。



 3人のドッグを加えて、4体1になったドーム内では、クロスハイドがラビドにもらった剣を抜いていた。


 ドッグ達は、周りを囲うように陣取りそれぞれが銃を放っていく。


「それでは届かない」


 イージスはそれぞれのドッグの正面にゲートを開けてバルカン砲を放つ。


 イージスの武器解禁段階はいくつかあるが、レベルAは二段回目に高いもので、ゲートの数、武器の質が上がるものだった。


 ドッグ達はまるで予期していたように、バルカン砲を避けた。


「どの道、長期戦では勝てないことはわかっている」


 クロスハイドは剣横のスイッチを押す。すると剣の鍔部分が回転を始め、高エネルギーの放出を始める。


「俺には風がついている」


 そういうと、クロスハイドはドッグ達と一斉にイージスへ攻撃を始めた。


 ドッグ達の頭にはそれぞれ、チップの埋め込みと、耳にピアスが付けられている。


 これがクロスハイドの脳とリンクして、攻撃を指示できるようになっていた。

 


 昨日、バルキリー・ドッグを倒したレストランで、ラビドはクロスハイドとカウンターで酒を飲んでいた。


「あれが『傀儡師』か。大した技術だ。あれだけやったのにもう傷が見えない。」


 後ろには、黒い服を着た男が数人、バルキリー・ドッグたちの亡骸に処置を施していた。


 ラビドは頷いた。


「あとは奴らの体をコーティングするだけだ。1日程度なら腐敗せずに持たせることができるだろう。そのあとはお前の操り人形だ」


 クロスハイドはウイスキーを飲みながら一つ尋ねる。


「最後だから聞いておきたい。お前はなぜ、科学を無くそうとする? 科学技術の発展は不可逆であることくらい歴史を見ればわかるだろう」


 ラビドはクロスハイドの目を見る。


「そうだな。科学はなくならない、俺はただ歩みを止めたいだけだ」


「歩みを?」


「科学とは人類のためのもの、しかし人間はいつも本末転倒になるもの。いずれ人間は科学の奴隷になる。いやすでになっていると言ってもいい。だが今なら歩みを止められる」


「仮に止めても動き出す。人間とはそういう生き物だろう?」


 ラビドは笑う。


「そうだな。だから俺の夢は更地にすることだ。一度な。科学の全てを更地にしてリセットさせれば、奴らは同じ道を歩き直す必要がある。そうやって未来への時間稼ぎをするのさ」


「そこには風が吹いているのか?」


 ラビドは、酒を飲み干す。


「俺自身が風なのだ。その行き着く先をお前に見せたかった」



 ドッグの2人、ギリアムとパーマーが、回り込んでイージスに銃撃をくらわせる。


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