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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第50話 第三章 Finale

 車の中は緊張感に包まれていた。


「お前は何者だ」


「何者かは言えないです。そうですね。あなたの選択の結果といえばわかりやすいでしょうか」


「選択の結果? 何をしたいか知らないが、よした方がいい。こういうことをしてもろくなことにならない」


 男は笑う。


「ろくなことにはならない……。そうですね。悪いことをすれば、その後には結果がついて回る。そう言うあなたはどうでしょう。あなたの選択でこうなっているとは考えませんか?」


 男は振り返って微笑む。


「選択? 私が何の選択をしたと?」


「楽をしようとしたでしょう」


「楽?」


「ある人が僕にいうんです。あのハイウェイでの事件。あれはラビド・ミスルだけの仕業ではなく、他に協力した人がいるはずだと」


「何を馬鹿な……奴らはただのテロリストだ。そことうちは何の関係もない」


 男は微笑むと、パッドを取り出す。


 すると空中に各銀行のロゴと、口座明細のようなものが表示される。それをみて、エルピナスは絶句した。


「何かはわかるようですね。色々調べました。証拠なく疑うのは申し訳なかったので。ラビド・ミスルはテロリスト集団ですが当然活動には金がかかる。彼らの兵器はかなり費用がかかっています。ではそれを一体誰が補填しているのか? そこが重要でした。調べてわかったのですが、彼らは企業から金をもらい、ライバル企業を潰す。企業傭兵のようなことをやってたんです」


 エルピナスは俯いて応えない。


「その場合、どうしても金の受け渡しが必要になります。いくつか口座を分散させて、最終的にはラビド・ミスルが管理するペーパーカンパニーに振り込ませる。かなり入り組んだやり口です。一つ一つの振込がそこまで多くないので、金融庁もまだ気づけていないようですね。いや、気づいているが無視している可能性もある」


 エルピナスは恐怖に満ちた目で男を見つめる。


「これらが全てが、あなたが社長になった後少ししてから行われている。誰の指示かは明白ですね。ここまでのことは社長に知らせずには実施できない」


「何が目的だ」


「ご説明します。これ聞こえますか?」


 パッドのスイッチを男が押すと、画面が切り替わり女の子の鳴き声が聞こえてくる。


「これは?」


「あなたのお孫さん……。ちょうど9歳になる頃でしたか……。可愛らしいですね」


 エルピナスの表情が変わる。


「お前、リリアに何をした。」


「ゲームをしましょう。これからあなたは私が渡すこのパッドを死守してください。これが壊れてしまうとゲームオーバーです」


「ゲームオーバーになったらリリアはどうなる」


「あのハイウェイの死者達と同じようになります」


「何がしたいんだ……お前は……」


「僕はあなたが、自分のしたことに対して責任を取れる人なのか見たいだけです。選択には常に結果が伴う……。あなたの選択を僕に見せてください」


 そう言うと男は車のドアを開け、エルピナスを車から、蹴り飛ばした。


 エルピナスは転がりながら渡されたパッドを必死で握りしめた。


「どんどん車が来ますよ」


 パッドから男の声がする。エルピナスは何とか足を引きずりながら、立ちあがろうとする。


「おい。頼む! 止まってくれ」


 しかし車はまるで、エルピナスに気づいていないかのように突っ込んでくる。


「やめ……」


 エルピナスの体に車がぶつかる。エルピナスは飛び上がってその場に崩れ落ちた。


 その後もエルピナスの体に何台もの車が突っ込んでくる。


 少ししてから男はつぶやく。


「頑張りましたね。パッドの損傷は60パーセントと言った所でしょうか」


 しかし、この声はもうエルピナスには届いていなかった。


 彼は血溜まりの中で事切れていた。


「エヴァン。終わったの?」


 ミキの声だった、エヴァンはすでに並走していた別の車に乗り換えていた。


「ああ、報酬は振り込んでおく。イルザに顔を見られた件は別で対応を練ろう。元々俺の案だ。責任は取る」


 ミキは返事をしないが、そこには何か言いたげな間があった。


「これでよかったの? 私がいえたことじゃないが、あんたの気質には合わないやり方だ」


 エヴァンはどこか清々しい表情をしていた。


「そうだな……。俺はしりたかったのかもしれない、相手が同じ状況に置かれた時に何が出来るのかを……。いまだに考えるんだ。あの時どの選択肢を選べばマリーを救えたのかと……。その解答を俺以外の人間なら出せたのか……。それが見たかった」


 ミキは舌打ちした。


「あんた以上に上手くやれるやつなんかいないよ。普通なら即死だ両方。そんなわかりきった事を知りたかったのか?」


 エヴァンは笑った。


「ありがとう……。そうだな。詭弁だなこれは。俺と同じ痛みを与えられて無様に這いつくばる様が見れてよかった。これでいいんだ」


 そう言うと、エヴァンはそれを見つめる。


「あと二人、ラビド・ミスルの現首領とシトラス社の社長……。この二人を俺は潰す。そこまでまた迷惑をかける」


 ミキは言う。


「勘違いすんなよ。あたしらは仕事だから受けた。それだけだ。復讐に付き合ってるわけじゃないからね」


 エヴァンは微笑む。


「二人仲良くなったね」


 通信機からアカリの小馬鹿にした声が聞こえてくる。


「んだとてめえ! さっさと戻ってこい」


 ミキがおこりだした。

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