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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第45話 第三章 舞台の始まり (2/3)

「ありがとう。あとは時間が来るまで待とう」


 バルキリー・ドッグの一人にそう言うと、クロスハイドはパッドで場内の映像を見始めた。


 エルピナスは、スタッフに通され壇上に上がる。彼が登場すると、場内の皆が拍手を送る。


「始まった」


 イルザはイヤホンを耳に当てながら、警戒を強める。


――レーザー用のバリヤーも張られてる。狙撃は問題ないはず。


 イルザの考え通り、ドーム天井はガラス張りだったがそのさらに外の空中にはレーザー対策のバリアが張られていた。


「皆さん。本日はウルフ社の新商品発表の場にお集まりいただき誠にありがとうございます!」


 エルピナスが指を鳴らすと、例によって二つのパッケージの写真が現れる。


「これが今日みなさんにご紹介する商品です。これにより多くの皆さんの願いである。子供の幸せを実現できること、大変光栄に思います」


 イメルダはエルピナスの話を退屈そうに聞いていた。その時、天井に音がした。イメルダがよく見るとそこにはヒビが入っている。


「あれ?」


 イルザは走り出した。場内からは悲鳴が上がる。


――どうして皆んな騒いでいるの?


 母のアリルはイメルダを見て悲鳴をあげている。


「母さん?」


 ふと自分の体を見ると、ドレスの胸の部分が真っ赤になっているのがわかった。


「何……これ」


 言いながらイメルダはその場に倒れこんだ。クロスハイドがつぶやく。


「さあ、始めよう」



「こちらイルザ、警護対象、皇女イメルダが負傷しました」


 イルザは観客や周りでパニックになっている皇室の面々を押しのけると倒れたイメルダに簡易キットによる処置を始めた。ロブは机を叩く。


「狙撃だと! レーザーは対策していたんじゃないのか?」


 イルザは必死に処置をしながら記憶を頼りに答える。


「おそらくレーザーじゃありません。一瞬でしたが、黒い液状化物質のようなものが見えました」


 映像班のナターシャが裏で映像解析を始めていた。


「黒い雨、これですね。リビエル王国の殲滅戦の際に、リビエル側が使った兵器です。液状化の黒い弾丸に当たると、あたった瞬間、弾丸から酸性の物質が出て対象を溶かして行く。シールドも貫通する性能があるので、採用されたそうです」


 イルザは上を見た。


「聞いたことがある……。人を溶かす黒い雨……。でも確か……」


 ナターシャが先を続ける。


「ええ、黒い雨を降らすには黒い雲が必要です」


 イルザは叫んだ。


「イージス!」


 イージスはすでに、ドームの天井を突き破って、空中に飛び出していた。


「懐かしい雲だ。血の匂いがする雲…」


 イージスは空中に不自然に浮かぶ黒い雲に向かって手を構える。すると空中に丸い次元のゲートが開き、バルカン砲が四台、雲に狙いを定めた。


「消えてもらう」


 クロスハイドは空中の光景を見て呟く。


「出てきたな」


 バルカン砲が放たれた瞬間、イージスに向けて、ドームの周りをまわっているボートから多数の銃弾が放たれた。


「なるほど……狙いはこちらか」


 イージスの周りにまたゲートが現れて、そこからシールドが顔を出す。四方八方から放たれた銃弾は全てそのシールドに防がれた。


「どうして、ボートから銃が打たれる! バルキリー・ドッグ達は何をしてる!」


  ロブが叫んだ。


「撃ってるのはそのバルキリー・ドッグ達です」


 アレックスの報告にロブは青ざめた。


「部長! どうやらバルキリー達は昨日襲撃を受けている可能性が高いです」


 ナターシャが焦りながら言う。


「どういうことだ」


「彼らが行った酒場にいた客の証言ですが、ドッグ達が酒場で乱暴な振る舞いをして、客を皆追い出したそうです。先ほど店員が出勤したところ、店の中はボロボロで、店員は全員死んでいたと……」


 ロブはあまりの事に狼狽していた。


「奴らがそう簡単にやられるとは……」


 イルザは思考を止めているロブに向かって叫ぶ。


「部長! 攻撃許可を!」


 ロブははっとして反応する。


「ドッグ達に攻撃しろ」


「アレックス!」


 アレックスは無線用デバイスを掴む。


「各船に指令を出す。ドッグ達のボートを狙え」


 戦艦からドッグの乗るボート達にガトリング砲での銃撃が始まる。しかしボートは小回りを聞かせてそれを避ける。


「当たらない……。機動力が違いすぎる」


 さらにボート達は、オーシャン・ドームに近づこうとしていた。


「まずい、ドームに寄られると、もう打てなくなるぞ」


 ドッグ達は、イージスに向かって打ち続けながらドームへと近づく。


 すると、そのボートの一隻が撃墜される。クロスハイドはその様子をスコープで確認した。


「陸側にいるな。厄介なのが」


クロスハイドは陸側でなくドームより海側のボートにいたが、その逆、陸側では背中に二つのタンクと両手に銃の装備を持ったガーディアン・ブルーが、海上を高速で飛び回りながら、ボートを銃で撃っていた。


「一騎落とした。このまま陸側のボートを狙います」


 ブルーが持っていたのは、通常の銃ではなく、先のレッド同様専用に用意された武器だった。その外装はレーザーライフルに近いが出ている弾はレーザーではなく高水圧の水だった。


「すごい……。思ったより威力が出ますね」


 ブルーはデューパスに使用感を伝えながら戦っていた。


「普通はその弾を使うには弾数制限があるが、ここは地の利がある。思いっきりいけ」


 銃からは海に管が伸びており、常時の装填を可能にしていた。


 ロブはほっとして一息つく。


「助かった。ガーディアンの配備は正解だったな。だが海側が……」


 海側のドッグ達は三人がドームにたどり着いていた。そのまま中に突入しようとドームの扉を開けると、中からガーディアン・イエローの屈強な体が顔を出した。



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