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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第40話 第三章 犬狩りの宴(2/5)

 画像に移っていた男は、花屋で花を選んでいた。


「どんなお花をお探しなんですか?」


 女の店員に話しかけられる。


「そうだね。綺麗なピンク色のものがいいかな。彼女が好きなんだ」


 女の店員は微笑むと、奥から花を持ってくる。


「ありがとう。それの花束をくれるかい?」 


 男は店員から花束を受け取ると、礼をいって店を出た。去り際男は会釈して、それ女性店員は微笑みながら手を振った。


「取り込み中か?」


 男は振り返る、微笑む女性店員の映像は消え、あたりは科学省のバッカスにある内部施設に変わっていく。


「イージス。また記憶を見ていたのかい?」


 イージスは頷いた。


「ああ、また依頼かな?」


 そう言うとイージスは声のする方向に歩き出した。


 Dr.竜宮は言う。


「科学省が技術を結集して作り上げた、SSランクロボット、通称『イージス』 旧イージス艦一隻と同程度の殺傷能力があることから冠された名だ。先の大戦にも投入され、他のSSランク同様にかなりの戦果を残している」


 Dr.竜宮は険しい顔で言う。


「いくら君といえど、彼にあたればひとたまりもない」


「彼と直接やり合う必要はありません。彼は国内の要人……皇室の警護をメインで担当するはず、エルピナスは他が担当するでしょう」


 Dr.竜宮は苦笑いする。

「どのみち、警戒度は今までと比べ物にならない。ドラグーンのレーザーも対策を取られるだろう。桁違いの難度だよ」


 しかしエヴァンは引かなかった。


「それでもやらなくてはいけない。娘さんたちの協力が得られないなら、一人でもやります」



 

 重大犯罪捜査本部でイルザは自分のチーム向けにブリーフィングを開始する。


「ウルフ社の講演の護衛に、うちと組織犯罪対策本部も護衛に加わることになった。今回の護衛対象は、会場の人間全員になる。特に、皇室の警護に対しては細心の注意を払ってほしい。一応、イージスが配備されるということだけど、そもそも戦闘に巻き込まれては意味がない」


 アレックスが言う。


「すなわち、誘導が僕らの役目と」


 イルザは頷いた。


「戦闘が起こらない可能性は限りなく低い。要人もかなりの数がいる。少なくとも鬼人は現れると思う。だからこそ私達に警護依頼がかかっている」


 ナターシャはラップトップをいじりながら言う。


「ラビド・ミスルも出て来る可能性は高いでしょうね」


 イルザはうなずいた。


「僕らだけで警護が足りますかね」


 アレックスの疑問にイルザが答える


「部長からは色付きのガーディアンを二人つけていいと言われてる。誰に申請を出すかが悩みどころだけどね……」


 全員が候補を考え始める。


「会場は海の上のドームでしょう?なんだっけ、『オーシャン・ドーム』でしたっけ……。であるならブルーは呼ばなくては……」


「レッドは先日の件があって療養中です。となると次点は……」



 ブルーことミハイル・ロッドはシトラスカンパニーの地下にある、トレーニングルームに来ていた。


 いつものように走りのトレーニングから始める。お気に入りの音楽をかけて集中を深めながら、徐々にペースを上げていくのが彼のやり方だった。


 十キロほどのメニューを終えて、近くにあるドリンクルームに入ると、中には筋骨隆々のゴルツが座って休憩していた。


「ゴルツさん。お疲れ様です」


「ミハイルか? ちょうど良かった」


 ゴルツはミハイルに飲み物を手渡す。


「何がですか?」


「俺とお前、エルピナスの講演の護衛に任命されるそうだ。正式依頼はまだだが、さっきデューパスに口頭で依頼があった」


 ミハイルは飲み物を飲みながら返す。


「二人ですか……。随分と念をいれてますね」


「皇室がいるからな。失敗は許されないってことだ。まあイージスもいるそうだから俺らの出番はない気もするがな」


 ミハイルは顔を歪める。


「すまん、お前の故郷はニパドの近くだったな」


  先の大戦で、イージスたちの集中砲火を受けた国の中に、ミハイルの出身国は名を連ねていた。


「いえ、大丈夫です。僕が生まれる前のことですし……。武器携帯の許可は?」


 ゴルツはパッドを取り出す。


「この通りだ。今回は事前に許可が降りてる。いざとなったらぶちかますさ」


 そう言うと、ゴルツはポンポンと肩を叩いて出て行こうとする。しかし、彼は途中で立ち止まった。


「忘れていた。今回はバルキリー・ドッグも観れるらしい。個人的にはそっちの方が楽しみだな」




「そんな……上は戦争でもおっ始めようってんですか?」


 アレックスが声を張り上げた。


「私も一応懸念は伝えた。バルキリー達はおよそ制御できない獣だ。皇室に近づけるべきではないとね」


「それに、部長はなんて?」


「毒を持って、毒を制すつもりらしい。何より、この前のフォグバーンの一件でかなりの死者が出て、組織対策本部は人手不足だ」


 アレックスは唇を噛んだ。ヒュベルクは先日のフォグバーンの件の責任を取らされて組織犯罪対策本部の部長を降ろされていた。


「そうは言ったって……あんな奴ら制御できないですよ……。何しでかすか……」




 組織犯罪対策本部の部署に、スーツを着た十人ほどの集団が現れる。着ていると言っても完全に着崩しており、ガラの悪い目つきを周囲に向けていた。


「バルキリー・ドッグだ……」


 と職員の誰かが小声でつぶやいた。


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