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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第39話 第三章 犬狩りの宴(1/5)

 黒い海が広がる水面に、一人の男が浮かび上がる。


「相変わらず、趣味の悪い空間だ」


 その言葉に反応するように、何人かが、男の後ろに同じように浮かび上がってくる。


「いい趣向じゃないか、我らは異体同心、それを表すと海になる」


 男に喋りかけて来たのは長髪の男だった。


「フォグバーンが、死んだようだな……」


 男が言うと、長髪の男はうなずく。


「警察の小娘にやられた。だが、彼女は目覚めたようだ。時期に道を外れ同士となるだろう」


 今度は女が絡みつくように男に話しかける。


「幹部一人と、一人の目覚め、損はしていないって言いたいのよ」


 大柄な男が浮かび上がる。


「今日集まったのはその件じゃない。そうだろう。クロスハイド」


 最初に浮かび上がった男……。クロスハイドは頷いた。


「そうだ。今日は悲願のためにきた。ラビド。見ているんだろう」


 水面に椅子が浮かび上がる。気づくとそこに一人の男が座っていた。男はクロスハイドを見ず、座ったまま、腕を組んで下を見つめている。


「どうしてもやりたいのか?」


 クロスハイドはうなずく。


「そうだ。奴を消す。そのために俺は今日まで生きてきた」


 クロスハイドの目が赤く光る。『ラビド・ミスル』首領はその目を見つめ返す。


「俺はまだ時を動かすべきではないと思っている」


 ラビドの視線の先には、刃に模様が刻まれた剣が水面に浮かんでいた。


「はなから、協力を得ようとは思っていない。ここには、筋を通すためにきただけだ」


 周りがはやしたてる。


「いいなぁ。それでこそだ」


 大柄な男がラビドに尋ねる。


「執着、復讐……。たまらないね。なあラビド、俺たちも混ざるわけにはいかないのか?」


 ラビドは止める。


「この件……他の奴が混ざることは許さん。やるならクロスハイド。お前だけでやれ」


 クロスハイドは頷いた。


「だが……。俺も筋を通さなければならない。お前から受けた恩を忘れることは無い」


 そう言うと、ラビドは剣を拾いクロスハイドの前に投げた


「それを持っていくといい。ないよりはマシだ」


クロスハイドはそれを受け取った。


「それがあれば、100対0の試合が99対1くらいにはなるだろう……。それともう一つ」


「なんだ?」


「別の『風』が吹くはずだ。それが、お前には追い風になる。うまく流れに乗ることだ」


 空間は途切れ、クロスハイドはゆっくりと起き上がった。彼の横には、ラビドが持っていた剣が置かれている。クロスハイドはそれを持つと


「相変わらず趣味が悪い」


 と剣を眺めながらつぶやいた 


 

 ウルフ社社長のエルピナスは壇上で、スピーチを行っていた。彼がジェスチャーをするたび高級なブラウンのスーツがなびく。


「デザイン・チルドレンの技術は近年かなりの発展を遂げました。そのおかげで、能力値の平均もこの通り飛躍的に上昇し続けています」


 エルピナスの指し示す先には、アビリティ・パラメータで測定されたデータの1年前との比較が表示されている。


「我々は今日、みなさんに二つのパッケージの紹介をしにやってきました」


 二つのパッケージタイトルが現れる。


「一つがオールラウンドパッケージ。あらゆる方面の能力を一定以上に秀でた状態にするパッケージです。そしてもう一つが、ユニークパッケージ。特定の能力値を極端に伸ばすものになります。どちらもかなり高確率で望んだ能力値が実現できるようになってきています」


 会場内から拍手が湧き上がった。


「我々は常に人類の向上と、幸せを願っています。子に優秀な能力を受け継がせたい。皆さんの願いに協力できれば幸いです」


 ミキはニュースを消した。


「奴さんは先に進む気らしいね。」


 エヴァンは車いすに座ったまま言う。


「次の殺し、俺は君たちに依頼をしたい」


 アカリがこちらを向いた。


「ウルフ社社長。エルピナス・ハワードを殺す。その手伝いをしてほしい」


 普段はあまり会話に入ってこないDr.竜宮が振り返って入って来る。


「エルピナスか、いきなりは早くないかな? 彼の警護は国家級だ。いくら君たちといえどそう簡単にはいかないだろう」


  エヴァンは首を振る。


「むしろ、だからこそです。彼の講演はこの後、クラム地区で予定されている。ここには、著名人や国家の重要人物がかなり集まる。であれば、警護対象が分散されるはずです」


 Dr.竜宮は考え込む。


「標的の分散で、狙いがエルピナスだとバレないようにすると? 仮にそれがうまく行ったとして、要人がいると言うことは会場には相応の護衛がいると言うことが抜けてはいないかい」


 Dr.竜宮が指を鳴らして画像を見せる。そこには金髪の華奢な青年が映っていた。



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