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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第35話 第二章 赤い守り (3/6)

「200m先です」


 エランドは腕につけたアクセサリーにキスする。


「行くよ父さん。人助けだ」


 交通事故と違い、火事はマザーの発生予測がかなり難しく、現在でも発生とほぼ同時での探知程度にならざるを得なかった。


 現場に辿り着くと、マンションの高層階から火が出ているところが視認できた。エランドは飛び上がると一気に火元の部屋へ窓から入って行く。中には父、母、小さい子供の三人家族が、煙を吸って動けない様子だった。


「大丈夫。すぐ助ける」


 そう目の前の子供に言うと、エランドはストッパーを使って三人を空中に出すと、近くにいる救急隊のもとに届ける。近くにいた消防隊からエランドに通信が入る。


「レッド、すまないが、消火も頼めるか? 今から上層階にアプローチするには時間がかかる」


 エランドは了承すると、再度マンションの上に戻る。


 色付きのガーディアン達はそれぞれ得意分野を持っている。中でも、レッドはその名の通り火事に対応しやすい作りにスーツや装備が適応されていた。


 上層階まで行き、大きめの火元を見つけると、そこに手をかざす。するとバルーンが手から出てきて、火を包み込んでいく。バルーンに包まれた火は即座に消えて行く。


「ここが多分一番大きいか? 一応スキャンするから、すぐ結果を返してくれ」


 腕時計をマンションにかざすと、緑のレーザーがマンションを透過するように放たれる。その情報が、シトラス・カンパニーのモニタールームに連携されすぐさまスタンバイしている分析員達が解析を始める。


 マンション全体をスキャンして、火元を調べながら、同じ要領で、火元を見つけてはバルーンで囲み、空気を抜いて、鎮火させていく。手慣れた作業だが、エランドは丁寧に作業を繰り返す。


「ヘリが来ました。トリアージがレッドの要救助者はヘリでも行けます」


 エランドは『了解』というと、再度スキャンを始める。


「消防隊。聞こえるか? だいたいの火は抑えた。俺は救助に戻る」


「了解。助かった」


 火元の位置情報を消防隊に送ると、エランドはスキャン情報から、破片の下敷きになっている、子供を見つけた。


「バイタルがまずい。ヘリ、聞こえるか? 要救助者一名だ」


 エランドはゆっくりとその男の子を破片から出す。


「お父さんが……」


 エランドは一瞬その表情が自分の過去の記憶とだぶつく。


「大丈夫だ。お父さんは必ず助けるよ」


 基本的に、こういう場での約束はNG事項だったが、エランドの思考は昔の記憶に引きづられて鈍っていた。


――近くに生体反応は無い。ごめんな。


 一通り救助と鎮火を終えると、エランドは消防隊と引継ぎを行う。


「ここからはすまないが任せていいかな?」


 消防隊は全員、感謝と敬意をもって敬礼する。その後エランドは自動運転で近くまで来させていた自分の車に乗り込んだ。


「救助者の容体は?」


 車のAIに尋ねるとAIが無機質なトーンで答える。


「レッドが到着後に搬送した人については今の所まだ死者はでていません」


 エランドはスーツの換装を頭だけ解くとホッと一息ついた。


「少し眠る。家に着くか、別の要請があったら起こしてくれ」


「かしこまりました」


 エランドを乗せた車は、火災の現場を去ると、再度ハイウェイに乗りなおした。


 眠りながら、エランドは夢を見ていた。夢の中ではまだ父と母がいて、エランドは二人に婚約者を紹介していた。


 普通の仕事をして、周りからも愛される穏やかな日々の映像が脳内に流れる。しかし、その映像は突然車が止まった衝撃でストップした。


 エランドは目を開けると、車に尋ねる。


「どうした? 何が起き……」


 エランドの目の前には、ハイウェイのど真ん中で車を両手で止めている大男がいた。


「なんだ……。こいつ」


「後方より車両接近」


 エランドはすぐ後方を見て、突っ込んでくる車に気づくと、ドアを開けて飛び出す。そしてそのまま横の車線にいる車の上に飛び乗った。


「なんだあのバケモンは……」


 飛び乗られた車の乗客はパニックに陥っていた。それをエランドは冷静にジェスチャーで宥めながら、少し走ったところで飛び降りると、一気にガーディアンへと換装する。


「一旦、離脱するか……多分殺し屋の類いだろう」


 そう言って飛ぼうとした矢先、エランドの足を矢がかすめた。


「これは矢……?」


 ハイウェイから300m程離れたビルの上からステンレス製の黒い翼をつけた男が矢の照準をハイウェイに合わせていた。


「だいたいここら辺だなあ……おいフラン! とっとと追いつけよ」


 男の半身は顔の片側まで継ぎ接ぎの機械で片目が赤く光っていた。フランと呼ばれた大男はハイウェイの中心で周りの車からクラクションを鳴らされ続けている。


「追いつく……」


 フランはそう呟くと近くの車を手で掴む。そして力をいれると、フランの手がまるで溶けたように液体状になり、車とつながって行く。中にいた運転手は叫び声をあげた。


 完全に繋がったところで、フランは更に力を入れた。すると車のタイヤや各パーツが、繋がっている腕を伝ってフランの体に移動していく。


 最初にタイヤが手足に、そして現代の車にはエンジンの代わりに標準装備されているエネルギーコアが腹の部分に移動した。パーツを取られた車はそこで壊れ、仲から人が必死に飛び出した。


 フランが四つん這いになると、そこでエネルギーコアが光り出す。すると、タイヤが回転し始め、四つん這いのフランは車のように移動し始めた。


 そのままフランはエランドのところに突撃していく。エランドは咄嗟に避けたが、フランは再度切り返して突っ込んでいく。、エランドは空中に飛び上がった。そこで腕時計から通信が入る。


「レッド。大丈夫か?」


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