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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第33話 第二章 赤い守り (1/6)

 その日、ガーディアン・ブルーのミハイル・ロッドはシトラス・カンパニー本部に呼び出されていた。私服のままシトラス・タワーの最上階に向かうと、中央に黒くて丸いテーブルがある広めの部屋に通される。


 ミハイル以外はまだ誰も来ていなかった。席についてしばらくすると、金髪ロングの女性が入って来る。女性はミハイルを見るなり、猫なで声をだす。


「あーミハイル君だー」


 女性は席に座らずミハイルの周りをうろちょろする。ミハイルは対応に困りながら挨拶をする。


「リリー先輩お疲れ様です」


「も―リリーでいいってー」


 ミハイルはガーディアン・ピンクことリリー・バルアムの圧倒的な馴れ馴れしさが苦手だった。リリーと話していると、体格の良い日焼けした男が入って来る。そして二人を見るなり大声で呼びかける。


「おう! なんだお前ら早えな」


 ガーディアン・イエロー、ゴルツ・ワイアットだ。


「ゴルツ君! 集合はもっと早いんだよー。私たちが遅刻〜」


 ゴルツの体は鍛えているミハイルと比べてもおよそ三周り程大きく、さらにそれらすべてが筋肉のため、近くで見ると迫力満点だった。


「あと来ていないのはエランドさんと……ブラックでしょうか……」


 ミハイルが呟く。ガーディアン・ブラックだけは誰も名前を知らないため、ミハイルも個人名に言及が出来ない。


「エランドはまだしも、ブラックは来ねえだろう。色付きの集まりでも見たことはない」


 ゴルツが当然と言わんばかりに言う。


 『色付き』……数いるガーディアンの中でも、色のついたスーツを着ている五人は総称として色付きと呼ばれる。元々技術発展によりガーディアン自体がかなり増えた昨今、その中でもさらに能力が優れたものにさらに技術付与と、他のガーディアンとの差別化を与えたのがこの仕組みだ。


 通常のガーディアンはグレーのスーツのため、国民も区別しやすく色付きの人気と社会的地位は年々上昇ししていた。


「なんだ。まだ生きてたのか」


 後ろから声がして振り返ると、ガーディアン・レッドことエランド・ノートンがサングラスをかけてそこにいた。


「あーもうエラくーん」


  リリーの媚は才能に敏感だ。エランドはミハイルより少し身長が大きかったが、幅は同じくらい。リリーと同じ色の金髪でこちらは短髪だった。


「うるせえよ。まとわりつくなリリー」


 エランドはリリーを跳ね除けると、中央の席にどっかりと座り机の上に足を投げ出した。


「ん? なんか、ここにイチャいけねえゴミが混じってるようだが」


 エランドの視線は明確に端にいるミハイルを指していた。


「人一人守れねえクズがなぜここにいる?」


 エランドは辛辣だった。ミハイルは謝るしかできない。


「すいません。俺も呼ばれただけなので」


 エランドは言う。


「とっととその色辞退して他に譲れよ。てめえのせいで俺たちの格が下がる」


  リリーがうわっつらのフォローをする。


「エラ君ひどーい」


「お前が、あの場にいたら救えたのか? エランド」


 ゴルツの冷静な声が響く。


「当たり前だ。ミハイルてめえ。あの時周りの確認を怠ったろう。ホッとして視線が要人に集中してた。家に帰るまでが遠足って習わなかったか?」


 エランドは口が悪い。しかし、誰もが彼の優秀さを認める。いわゆる自分にも他人にも厳しいタイプなので、なお性質が悪かった。その言い方をゴルツが咎める。


「そこが大事だろう。始めからその指摘だけでいい。色付きを返すかどうかは本社とミハイルの問題だ」


 エランドは舌打ちした。


「けっ、その正論吐き気がするね。俺はそれを学ばねえといけねえ奴がこの場にいるってのが許せねえだけだ。てめえが学ぶ間に一人死ぬんだぞ」


 色付きの中でもブルーは交代が早い歴史がある。それはひとえにエランドの厳しさに耐えられないというのがよく噂で流れていた。


「熱心で何よりだな。エランド」


 後ろからホログラム投影で、男が現れる。


「デューパス。何の用だよ! 俺ら全員わざわざ集めるなんて」


 男はスーツ姿で眼鏡をかけていた。


「お前らは、ガーディアン狩りを知っているか?」


「ガーディアン狩り?」


 デューパスがニュース映像を映す。アナウンサーが鬼気迫った表情でしゃべっていた。


「またガーディアン狩りです。最近事故現場で対応にあたっているガーディアンをその場で襲撃する。と言う事件が多発しています。そしてついに今回は死亡者が出てしまいました」


 映像では、ハイウェイで、ガーディアンが救助対応にあたっていた。対応が終わったあたりで、近くの車から覆面の男が出てきて、銃を乱射する。デューパスはここで映像を止めた。


「この男はすぐ逮捕されたが、このような動きが拡大している」


 ゴルツが首をひねる。


「なんでガーディアンを敵視する? ラビド・ミスルか?」


 デューパスは笑う。


「悪くない推理だが、調査班の見解は別にある」


 そういうと別の会社のロゴが現れる。


「これは……。キュービック社?」


 キュービック社は兵器を主に製造するメーカーだった。イルザの使用していた銃等、この国の捜査官が使用する武器はキュービック社製が多い。


「なぜ最大手の軍事会社がうちを敵視する?」


 デューパスはエランドたちの腕のエンブレムを指さす。


「当然お前らの存在だよ。うちは元は兵器会社じゃなかったが、ガーディアンのおかげで国とかなり密接な関わりが出来た。それを恐れているのさ」


 エランドが足を机の上で組む。


「俺らを殺したところで、その流れは変わらんだろう」


 デューパスは悲しく微笑む。


「残念なことにそんなことは無い。君らガーディアンは国民の守護者として、少しずつ信頼を得て来た。それが、よくわからない犯罪者に無残に殺されれば、いやでも疑問がわく」


 ゴルツが言う。


「俺たちは犯罪者から国民を守るんじゃなく、事故から救うだけだろう」


「そこだよ。まさにね。今後、我々シトラス・カンパニーは犯罪者の対策へも、国と協力して対処していこうと考えている。これはその良いきっかけになる」


 デューパスはそう言うと、指を鳴らす。するとホログラムが書き換わりいくつかの兵器のラインナップが表示される。


「今後間違いなく、犯行はエスカレートして君たちに及ぶ。その時に備えて今日はいくつか新しいアイテムを君たちに授けようと思う」


 リリーが飛び跳ねる。


「すごーい。これを私たちに?」


 ミハイルはリリーが実は武器マニアなのを知っていた。猫なで声でうまく隠しているが元軍人の彼女の本質的な関心は戦闘と兵器にしかない。


「全員分ある。一応適性を考えてそれぞれに違う武器を用意はしているが、他のメンバーの武器が気に

なればそちらをつかってもかまわないさ」


 エランドは冷静だった。


「ありがたいが、使用許可が下りてんのか?」


 デューパスはうなずく。


「問題ない。元々進めていた計画だ。国に認可は取った。」


 エランド達はうなずくと各々武器の選定を始める。


 アジトでエヴァンたちはブリーフィングを始めた。


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