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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第28話 第二章 野生のイルザ (2/6)

 女刑事イルザは、部下とともにホテル・エアリアの事件を調査していた。


 並行して行われるテロ組織『ラビド・ミスル』の一斉摘発。


 エースの従姉妹であるイルザに課される試練とは?


登場人物


■刑事

イルザ:女刑事

アレックス:イルザの後輩

ラルフ:重大犯罪捜査課 本部長


■チーム:マッド・ドラゴン

エヴァン・アトラス:主人公 通称『As エース』 

Dr.竜宮:科学庁のお荷物

ミキ・竜宮:エヴァンのクラスメイト

アカリ・竜胆:エヴァンのクラスメイト


■その他

アルバート・スミス:管理官

 『管理局』はキール地区の中央にビルを構える政府直轄のインフラ管理組織である。


 技術発展が進んだ現在は大半のインフラが機械制御されている、基本的にその制御自体もAIが行なっているが、管理局はいわばその結果を分析および管理しているのだ。


 AIが実施した制御結果を分析することでAIの暴走を止めるのとさらなる最適化の二つの役割を管理局は担っている。


 アレックスが車を管理局の前に止める。


「すんなり情報くれますかね」


  イルザは唇を噛んだ。


「くれなかったら、くれるように仕向けるだけ」


 イルザはそう言うと車を降りて、管理局の黒いビルの中に入っていく。


 中でセキュリティロボにイルザ達は止められる。


「警察局、捜査員No.24568 イルザ・アトラス。およびNo.36957アレックス・トーマス。確認しました。 あなた達は管理局にアポイントメントがおありですか?」


 イルザが答える。


「いえ。ありません。しかし優先度A案件の捜査ですので、管理官と話がしたいです」


 セキュリティロボは無機質に応える。


「残念ですが、アポイントがない場合は管理官は会うことができません」


 イルザは舌打ちした。


「捜査局の捜査に管理局は協力義務があるはずよ」


 セキュリティロボは言う。


「正式な依頼がなければその義務は法的拘束力を持ち得ません」


 アレックスは笑う。


「めんどくさいロボだ……。上手く躾けられてますね」


 イルザの脳裏には本部長の声がよぎる。

――どんな手を使ってでも……。か。


「今協力しないのなら、捜査局の業務妨害とみなします。捜査局、対外安全保持部の権限で、業務権限の剥奪まであり得ますが、構いませんか?」


 アレックスは思わず、イルザを見た。


「今のくだりをそっくりそのまま上に伝えなさい。管理局、中央部管理官、アルバート・スミスにね」


 ロボが何やら通信を始める中、アレックスはイルザに尊敬の眼差しを向ける。


「人覚え、久々に見ましたね」


 イルザは苦笑いする。


「中央部の管理官はイージー問題だよ。曲者で有名だしね」


『誰が曲者だと?』


 ロボから人間の声がする。


「あなたのことですよ。スミス管理官」


「全く呆れる。誰かと思えば最近鬼人を取り逃した捜査局の小娘が何の用だ」


 男の声は低く、冷たい響きだった。


「その鬼人の件で、管理局の持ってるデータを拝見したいんです」


「鬼人とうちに関係なんてない。つまらんことを言うなら帰れ。うちは忙しいんだ」


 アレックスはイラついてますね、と言わんばかりにロボを親指で指差す。


「正確には鬼人の共犯者の調査です。それこそ、先日の私が奴を逃した時のレーザーの動画は見ました?」


 ロボから笑い声が聞こえる。


「あれは傑作だったな。ガーディアンの手の中で無惨に政治家が死ぬ様はなかなか見応えあったよ」


 イルザはロボの奥のスミスに届くように視線を向ける。


「あれのレーザーの発射には大量のエネルギーが使われたはず、その発生観測を管理局ならしているでしょう」


 スミスは急に不機嫌になった。


「なるほど、目的はわかった。しかし、私も気になって見てみたが、めぼしいものはなかったぞ」


 アレックスは首を傾げる。


「んなはず……。あそこまでの兵器でエネルギー観測ができないなんて」


「データを見せてもらえますか? 我々は実際の現場がどこかを把握しています。そこのデータに違和感がないかを確認できるはず」


 スミスはしばらく黙ってから、


「ついてこい」


 と言った。ロボに連れられるままにイルザ達はエレベーターに乗り込む。


「管理局の中なんて、なかなか来れないんでテンションあがりますね」


 アレックスは能天気にガラス張りのエレベーターの外を見ていた。


「捜査局員を中に入れるのは3ヶ月ぶりだ」


 スミスの声がエレベーターの中で響く。


「3ヶ月というと、エヴァンの……高速での事件ですね」


 これにスミスは反応する。


「そうだ……。確か、お前の親戚だったな小娘」


 アレックスは肩をすくめる。


「そんな記録まで管理してるんですか? 悪いことはできないなぁ」


  管理局は町のインフラデータに加えて、人のデータも管理しており、捜査局の依頼に応じて、そのデータを連携するなど、切っても切れない関係だった。


「着いたぞ」


 ロボに案内されるまま、イルザ達は高層階の部屋に入る。部屋には大量のモニターとそれを解析作業しているロボット達で溢れていた。そして、その真ん中に陣取る子どものような背丈しかない男こそアルバート・スミスその人だった。


「来たか、早くその場所とやらを教えろ」


 アレックスは初めて見るスミスに興味を隠しきれない。


「あなたが、アルバート・スミス? 都市全域を束ねていると噂の?」


「おい。この礼儀知らずを叩き出せ」


 イルザは苦笑いで止める。


「すいません。生意気な部下で、使えるので同席させてください」


「ふん。生意気に加えてバカと見えるが。俺が束ねている? 違うね。束ねているのはもうマザーさ。俺はただこいつらの管理をしてるに過ぎない。 管理が死んでも簡単に変えが効くようになってるもんだシステムってのは」


 どこか自虐が入っていて、気にしている部分なのだろうなとイルザは察知した。


「アレックス。場所のデータを共有して」


 アレックスが小型ロボを出して、廃ビルのデータを共有すると、アルバートはモニター前で作業しているロボ達に指示を出し始める。


「なるほど、近郊の廃ビルか、まあ納得だが、検査区域内だ。なぜ電力管理が引っ掛からん……。おいFDX1、ここのデータを出せ。日付を指定する」


 いわれたロボが日付を打ち込むと、各モニターにその日の解析結果が表示される。


「電磁場発生値も基準値範囲内だ。特におかしいところはない。」


 折れ線グラフで、その日の値が時間経過ごとに表示されていた。


「確かに、全値が基準値以内……」


 アレックスも隣で見ていたがふと、モニターの一つを指差して言う。


「あれ、おかしくないですか?」


 アジトで、エヴァンは竜宮にいくつか質問をしていた。


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