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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第2話 序章(2/4) 鬼人四十面相と女刑事

高層ホテル最上階。


当選を祝うパーティーの最中、一人の殺し屋が姿を現す。




――鬼人四十面相。




標的は政治家グラハム。


現場に居合わせた女刑事イルザは、“剣聖”ヴエロと共に暗殺阻止へと動く。




登場人物


イルザ:女刑事

アレックス:イルザの後輩

グラハム:政治家

鬼人四十面相:殺し屋

ヴエロ:剣聖

――ここは36階……。まったく金持ちはほんと高いところが好きね。


 表示では3つのエレベーターが客を乗せて17階を通過して降っているところが確認できた。


「これを待つのは時間がかかりすぎる……」


 そう言うと女刑事イルザはグラハムを引っ張って行き、非常階段の扉を開けた。


 イルザはあえて、上にグラハムを連れて行く。


「下に逃げるんじゃないのか?」


「階段で逃げたんじゃすぐ追いつかれる……。ここには屋上があるんでしょう?」


 グラハムはすぐに意図を察した。

 イルザは腕時計に、話しかける。


「ニエベス……。屋上に来なさい!」


 すると、地下駐車場に置いてある一台の車のウィンカーが点滅して、ひとりでに動き出した。


 パーティ会場では黒人に扮した鬼人四十面相と剣聖ヴエロが向き合っている。


「君と戦うのを楽しみにしていたんだよ……」


 剣聖ヴエロの言葉に黒人はあまり反応せず、間合いを図りながら横に歩く。


「今時日本刀とはね……」


 剣聖ヴエロはそう言うと、一気に間合いを詰めて剣で切りかかった。


 黒人はそれを真横にスライドして躱しながら、逆に剣聖ヴエロに踏み込んで剣を突き立てて行く。


しかしその突きも、剣聖ヴエロは体を傾けてかわす。


――突きの精度が以前より増している……。


 剣聖ヴエロは踏み込まずに一度後退して距離をとると、今度はその場で下から切り上げるように剣を振った。


剣聖の剣から飛んだ斬撃は高速で黒人のもとに襲い掛かる。


 黒人は斬撃を刀で弾きながら後ろに飛ぶと、着地した瞬間に、刀を鞘に戻して、居合の構えをとった。


剣聖ヴエロはそれをみてゆったりと剣を構える。


「また、居合かい……? いいだろう付き合ってあげよう」


 黒人は剣聖ヴエロめがけて踏み込みながら居合切りをする。


 剣聖ヴエロは抜いたままの剣で切り掛かり、二人は交差してすれ違った。


 一瞬の間を置いて黒人の肩口から血が噴き出る。


「結果はわかっていただろうに……」


振り返る剣聖ヴエロの口調には余裕があったが、次の瞬間、彼の腰口の辺りから血が吹き出た。


「これは……」


 イルザの部下、アレックスはそれをみながら驚く。


「鬼人が剣聖に傷をつけた……!」


 しかし傍目から見ると黒人の方が傷は深いように見えた。


黒人はそのまま肩を抑えながら、パーティ会場の窓側に逃げる。


剣聖ヴエロが自分の血をペロっと舐めると、彼の目の色が一気に赤に変わる。


「逃がさないよ……」


そういうと、剣聖ヴエロは剣を真横にブンと振った。すると今までと比べものにならない大きさの斬撃が、黒人めがけて飛んでいく。


 黒人は飛び上がりながら、ベリーロールで間一髪で交わしたが、斬撃が窓を破ったため、そのままビルから落ちていった。


 アレックスが様子を見ようと、窓側に近づく。

 すると、イルザの車が、ビルの屋上に向かって飛んで上がっていくのが見える。


「あれは、イルザさんの……」

 

 そしてよく見ると、その車に黒人がワイヤーを引っ掛けてくっついていた。


「まずい!」


アレックスは銃を撃ちながら、音声通信でイルザに連絡する。


「イルザさん! そっちに鬼人がいきます!」


 屋上にいたイルザには風が強すぎて音声が良く聞こえない。


「何? アレックス」


 瞬間、ニエベスが屋上まで上がって来て、着地する。

 イルザは車の横に黒人がついているのに気づくととっさに銃を構えて、グラハムを後ろに隠すと、黒人に呼びかける。


「それ以上近づかないで!」


 黒人は怪我をしている肩を抑えていたが、剣を落とすとそのまま手を挙げて見せる。


「それを蹴って」


 イルザは黒人の剣を指さす。黒人は鞘に入れた日本刀を蹴ってよこした。


それを拾おうとした瞬間、イルザは異変に気が付いた。


――なにか、丸いものが? 


 県の鞘の横にはストラップに着いた丸い玉がついていた。瞬間それが爆発して近くに白い煙が充満する。


「まずい!」


 イルザは瞬時に転んで煙を避ける。煙は屋上中に充満していたが、徐々に引き始める。


 視界が開けると、そこにはグラハムが二人いた。二人はそれぞれ歩き出そうとする。イルザはとっさに銃を構えた。


「動かないで!」


 イルザは舌打ちする。


「鬼人……」


 鬼人四十面相はその名の通り、その姿や顔を自在に変えることのできる神出鬼没の暗殺者として知られていた。


イルザ達、捜査官は鬼人を捕まえる目的で、このパーティ会場に潜入していたのだ。


『イルザさん! 鬼人は右肩を負傷しています!』


 ようやく繋がった無線からアレックスの声が聞こえてくる。


 イルザは銃を二人のグラハムに向けたまま指示を出した。


「二人とも右腕を高く上げてみて」


 言われて二人は恐る恐る、右手を上げる。


――二人の動きに違和感がない……なら。


「合言葉を言ってみて! 事前に決めたわよね?」


 これに一人は黙ったが、右にいたグラハムが反応する。


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