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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第二章 血の滴るショッピングモール (2/5)

ミキとアカリの殺し屋稼業を手伝うことになったエヴァン。


Dr.竜宮からの提供で、エヴァンはロボットの体を手に入れる。


一方のミキとアカリはショッピングモールで任務を遂行しようとするが……




登場人物


エヴァン・アトラス:主人公 通称『As エース』 

Dr.竜宮:科学庁のお荷物

ミキ・竜宮:エヴァンのクラスメイト

アカリ・竜胆:エヴァンのクラスメイト

 一方のアカリはその地図の実際の現場であるショッピングモールの中にいた。


 アカリの姿は、白人の女性になっていて、サコッシュを肩がけし、サングラスをしていた。


「ねえ、これ返って目立たない?」


 胸が強調される、露出多めな服を見たアカリの気だるげな声に、ミキが怒る。


「周り見てみな。そんな恰好ばっかりだろう? ここのモールは価格帯が高いんだ。そこらへんの貧乏人は来れないんだよ」


 アカリは納得した。


「次は裏手の階段を使いなよ。一時的にカメラの視覚はもらうから」


 アカリは頷くとタイミングを見計らって、階段に入った。階を上がると、レストランが多く並ぶ階に出る。そのまま店を探すフリをしてアカリはぐるっとレストラン周辺を回る。


「右奥の中華。『青島』にいる。そのまま向かいのレストラン、『バーグレッテ』の列に並びな」


 アカリは頷いた。ミキはモニターで『青島』の中の様子を覗く。


「SPは2人か、一緒に飯食ってる女はありゃ愛人だな……。年が離れすぎてる」


  ミキのモニターには太った男が若い女と食事をする映像が流れていた。


「こんな稼いでて相手が1人ならましな方じゃない?」


「違いない。まあこいつには十人くらいはいるけどな、女」


「依頼人、名前なんだっけ」


「リックウッド。ちゃんと覚えとけ。お前が代わりに殺しやるんだからな」


 アカリはぼうっと依頼人の顔を思い出す。


「目が死んでた……」


「奥さんとガキ事故で亡くしたんだから、無理ない」


 ミキは記事をモニターに出した。


『大規模工事中に、セキュリティロボたちが暴走。民間人に死傷者多数』


「ただの事故だったら、こうはならなかったけど、社長がバージョンアップ費用をケチってサポート対象外のソフトでAI制御かけてたってことが発覚したからね」


 ミキは依頼を受けた時のリックウッドの噛み締めるような声を思い出す。


「妻はロボットに潰されていた。必死で庇ったんだろう。娘は妻の腕の中で……」


 ミキはただそれに冷静に返す。


「社長が知っていたと言う確実な証拠はなかったはずじゃ?」


 リックウッドは拳を握りしめる。


「知らないはずない。一体ならまだしも、百体は越えてる、会社の方針としてやらないと不可能な話だ。ソフトのメーカー側は再三各社に通達を出していたが、社長はコストカットを優先して安全への配慮を怠ったんだ」


 違う記事にも、行き過ぎたコスト主義が今回の事件の引き金になっている部分は触れられていた。


「バージョンアップの内容がデータ蓄積用データベースの更新で、旧バージョンはもうデータ容量を超えていた……。それをそのまま使ってAI制御が上手く行かなくなったのが混乱を生み出した原因でしたね」


「そもそも、グレーゾーンのAIを搭載したロボットを現場で使いまくっていたのが危険だったんだ。社員にもかなり話を聞いたが最終的には社長の指示だったとオフレコでほとんどの人が認めた」


 リックウッドをミキは賢いと感じていた。しかし、それでも殺人に走るあたりよほど許せなかったのだろう。


「SPっぽいのが出て来たよ」


 アカリの声が、ミキを現実に引き戻した。ミキがモニターを見ると青島から、サングラスをかけたSPが一人当たりを確認するように出て来た。


「出てきそうだね。準備しな。SPは見てる感じあんたの剣を防げる武器はもっていない」


 アカリはうなずくと、体を伸ばして、手を揺らした。座ったまま下を向くと左腰の剣を構えた。しかし周りからは女性が自分の鞄をのぞき込んでいるようにしか見えない。


 SPが辺りを確認した直後、店から小太りの中年男性が女性を連れて出て来る。


 向かいに座っていたアカリは、強く踏み込んで一気に飛び出すと、居合切りで社長に切り込んだ。社長の首が胴体から離れて近くの女の横に転がる。あまりの踏み込みの速さに速さにSPたちは間に入ることもできなかった。


 一瞬の後、若い女の金切り声が上がる。SP達は我に返って、アカリに銃を撃とうとする。


 アカリは退かずに、あえて前に出てSPの銃を持つ右手を切り飛ばした。そして手を切ったSPを蹴り飛ばしてもう一人に押し付け、二人ともこけさせる。

 

 最後に仕上げと言わんばかりに血の付いた剣をビュンと一振りして、血を払う。近くにいた若い女に血がかかり、女は失神した。


 突然辺りに警報音が鳴り響く。


「早いね」


 無線でミキが冷静に告げた。


「引きな。後5分で警察も来る」


 アカリは頷くと、エスカレーター側に走ろうとした。その時、アカリは強い殺気を感じて後ずさる。その時向かいの店から斬撃が飛んでくる。


 アカリは引いていたため、間一髪でかわす。


「なんだ?」


「誰かいる……。強いよ」


 アカリは一度剣を鞘に戻すと、居合切りの構えをとる。 


 店の壁を蹴り飛ばして、中から白い長髪の男が現れた。


 ミキは驚愕する。


「嘘だろ……。何でここに……こんな大物がいやがる」


 男はゆっくりとアカリの前に立つ。いつもは切り掛かるアカリが、男の圧におされて、なにもできずにいた。


「あれに気づくとはね、死角だったはずだが……。君……強いね」


 ミキは呟く。


「剣聖ヴエロ……」


そのおよそ2時間ほど前、レストランの前で1人の女記者が今か今かと人を待っていた。


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