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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第16話 序章 マッド・ドラゴン(5/5)

妹を救うため、エースは病室の中で戦い続けていた。


自由も、未来も奪われたその身体で——それでも、諦めるわけにはいかない。


そんな彼のもとに現れるのは、


科学庁の落ちこぼれ、そして命を狙う刺客たち。


彼らがもたらすのは、救いか。


それとも、さらなる絶望か。


登場人物


エヴァン・アトラス:主人公 通称『As エース』 

バルギーム:科学庁長官

Dr.竜宮:科学庁のお荷物

ミキ・竜宮:エヴァンのクラスメイト

アカリ・竜胆:エヴァンのクラスメイト

「どうしてシトラス・カンパニーが……」


「マザーの後継機の導入さ、犯罪検知を促進するためのね。事故だけではなく、犯罪検知までいけば、もう国を支配しているのとほぼ変わらなくなる。世間を味方につけるためにはセンセーショナルな事件がどうしても必要だったのさ」


 竜宮はエヴァンを指差した。


「三つの団体の狙いがかち合ったということですか……。なかなか信じがたいですが……」


「そうかな? 思い当たる節はあるんじゃない?」


 エヴァンはふとブルーを思い出す。


「ストッパー……」


「そう、僕らも、あれをシトラスが組織的に隠しているのを見て、核心を持った」


「隠していた……。やはりそうなのですか?」


 ミキはやれやれと言わんばかりにホログラムを切り替える。


 すると、事故現場の映像が立体になって現れる。ちょうどエヴァンに車が突っ込む直前だった。


 映像の中のエヴァンは空中に視線を向けて止まっている。その先には誰もいない。


「これだと、誰もいないけど……」


 ミキは手元のパッドを調整した。


 すると光の角度が変わったように、ガーディアン・ブルーの姿が現れる。


「これは……」


「リフレクションチェンジね、仕事の質としちゃ正直微妙だけど、まあ人一人消すだけならこれでも通用するわ」


「確か光の反射を利用して、見た目を変える技術では?」


「そうそう、だからこの映像は後からかえられたんじゃなくて、そもそもいないように写ってるのが正解。技術が二流だから角度によっては見えてて、あんたはそれを見たってわけ。あの事故でほとんどの人間が死ぬ予定だったんだろうから、ケチったのかもね」


「どうやって復元を……」


「まあそこは一応この手のプロだからね」


 ミキがアカリの顔を指差すと、すぐに顔が黒人の顔になった。


「これはそう言うことか……」


 竜宮は向き直った。


「君には力が必要だ。強大な社会と戦う力がね。僕は、それを君に貸す代わりにデータを取るのと、娘達を守るのに協力して欲しい」


 エヴァンはアカリを見た。


「そもそもなぜ殺しを?」


 ミキはアカリに命令する。


「見せてやんな」


「ええ、やだよ」


 ミキは、強引に服を脱がせると後ろをむかせた。


 エヴァンは思わず目を伏せたが、徐々に目を開けるとアカリが背中をこちらに向けていた。


「これは入れ墨?」


 アカリの背中には、2本の剣が交差している模様と、その横に漢字で数字が書いてあった。


「五十八……」


 ミキが不敵に笑う。


「漢字も読めるんだね、さすがエース」


「これは?」


「百人斬りの呪い、だそうだ。彼女の家は先祖代々、殺し屋の家系でね、彼女はその呪いと引き換えに、卓越した運動能力を授かっている」


「百人斬り?」


「二十歳までに百人殺さない場合はそこで死ぬ呪いだよ。彼女の家系は全員背中に模様が出る」


 エヴァンは耳を疑った。


「信じ難いですね……」


 Dr.竜宮は微笑んだ。


「君は非科学的なものを信じない性質だったね……。まあいい、ただ実際にこの刺青は彼女が人を殺せば減る。模様が勝手に変わるんだ」


「そんな……。待ってください。今数字が五十八ということはすでにそれだけ殺していると?」


「それに足る腕はあっただろう?」


 エヴァンは自分を助けた時の只者ではない動きを思い出した。


「つまりは、彼女が百人殺すまでの手伝いをして欲しいとそういうことですか?」


 Dr.竜宮は頷いた。


「アカリ君は凄腕だが、この子ら二人の戦い方はかなり危なっかしい。

目をつけられ、いずれ殺される。私はね、ミキを殺されるわけにはいかないんだ」


 言われたミキはうざったいと言わんばかりに顔を歪める。


「心配しすぎだよ。あたしらそう簡単にやられないって」


 Dr.竜宮はため息をついた。


「この子は頭はいいんだが、社会を知らなすぎる。しかし、それがわかる瞬間は死ぬ時だ。

私は親として、別の防御策を考えなくてはならない」


「そのために手伝いを……とそういうわけですか」


「もちろん君自身にもメリットはあるはずだ。体を動かしたいだろう?」


  エヴァンは一瞬顔を逸らした。一度断ったとはいえ、その欲求は抗えるものではない。


 人間にとって、最も耐えられないのは、あったものを失うことだ。


元々なければ耐えられるが、ある所から失うと心は常に欠落した部分を探し求める。エヴァンはそれを肌で実感していた。


「実験に手伝ならまだしも……殺しは……」


 エヴァンの態度にミキは呆れたように言う。


「だから言ったろう? こんな苦労知らずのエリートのあまちゃんが殺しなんかするはずないって」


 竜宮はため息をつく。


「とりあえず、今日と明日は泊まっていきなさい。今後の事は明日また話し合おう」


 そう言うと、Dr.竜宮はアカリに合図を出した。


 アカリは頷いて、エヴァンをひょいと持ち上げると、別室に連れて行く。


エヴァンが入った部屋の横には先ほど見たロボットが置かれている。


アカリはエヴァンをベッドに寝かせると部屋を出ようとした。エヴァンはそれに呼びかける。


「今日はありがとう。命を救われた」


 と言った。アカリは立ち止まる。


「別に、おじさんに言われただけ」


「それでも助かった。いつか、必ず恩を返す」 


 アカリはしっかりと、エヴァンを見据える。


「返すなら、手伝って」


 エヴァンは何も告げなくなる。それを見て、アカリは笑った。


「冗談」


 そういうと、アカリは部屋を出て行く。エヴァンはそれをただ見つめるしかできなかった。


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