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機械仕掛けのドラグーン ~遺伝子操作の最高傑作は、機械の体で復讐する~  作者: 纏笛


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第13話 第一章 マッド・ドラゴン(2/5)

妹を救うため、エースは病室の中で戦い続けていた。


自由も、未来も奪われたその身体で——それでも、諦めるわけにはいかない。


そんな彼のもとに現れるのは、

科学庁の落ちこぼれ、そして命を狙う刺客たち。


彼らがもたらすのは、救いか。

それとも、さらなる絶望か。


登場人物

エヴァン・クリスティアン・アトラス:『As エース』 遺伝子操作によって作られた完璧な人間

バルギーム:科学庁長官

Dr.竜宮:科学庁のお荷物

ミキ・竜宮:エヴァンのクラスメイト

アカリ・竜胆:エヴァンのクラスメイト

 事故から一か月後、エヴァンは、まだ入院していたが、近いうちに退院できるよう、両親と手続きを始めていた。

 

 あれからブルーノは時折来たがミアは尋ねてくることはなかった。


 そんな折、一人の男がエヴァンを訪ねて来る。


「君がエヴァン君かい?」


 男は先日科学技術庁を解雇された竜宮だった。


「あなたは?」


「僕は竜宮という……。いちおう娘が同じクラスらしいが」


「竜宮……。ミキ・竜宮のお父さんですか?」


 竜宮は笑顔になるが、すぐに真剣な表情になる。


「そうだね……。娘に聞いたよ。大変だったね……。首から下が動かないとは……。エースからそうなるのは心中余りあるね」


「それで……何の御用でしょう」


 竜宮はボサボサの髪をかいた。


「いや……。実は、君に一つ提案があってね……」


「提案? ですか?」


「そう、具体的に言えば僕の新しい発明の実験体になって欲しいんだ」


「新しい発明?」


 竜宮の眼鏡の奥の目が光った。 


「そう、ガーディアンは知っているかな?」


「ええ。まあ」


「あれにはいくつか欠点がある。その一つが、人間があのスーツを使って直接現場に向かう必要があるという点だ」


「それのどこが欠点だと?」


「より危険な現場や、そもそも人間自体が適応しづらい場所にガーディアンは不向きだ」


「というとあなたが開発したシステムと言うのは……」


「人が操縦する分についてはかまわないが、遠隔で操縦するようにしたい……それをかなえるものだよ」


「ですが、操縦と言っても、僕は……」


 竜宮はニヤッとした。


「体を直接動かす必要はない。操作中は対象者の脳とロボット側を直接リンクさせる」


「そんなことが……」


「まあ、完全な実用には もちろんいくつか段階を踏む必要があるがね……。正直君以上の適任はいないんだ。科学庁にも相談したが、断られてしまってね……途方に暮れたところに娘が君の話をしたというわけだ。子供を作っておいてよかった……。無駄なことばかりだと思ったが、彼女にはいつも学ばされる」


 後半の言い回しが少し気になったが、エヴァンにとっては願ってもないような話だった。


「ロボットを通じて体が動かせると、そういうことですか」


「そうだ……。実体は本人の操縦技術にもよるが、そこは君ならすぐ慣れるだろう」


「デメリットはないんですか?」


 竜宮は少し斜め上を向いた。


「それを知るための実験さ」


 エヴァンは少し考えた。


「非常にありがたい申し出だとは思うのですが……」


 竜宮は大げさに驚いて見せる。


「断る気かい? どうして!」


「僕は妹を助けるために一分一秒も無駄には出来ないんです」


 竜宮は、ベッド脇に置かれている本をチラッと見た。


「紙の本が好きなんだね……。僕と同じだ。ただ医療は常に進化しているから、そっち関係を読むならオンラインで最新のドキュメントを読んだ方がいい」


 エヴァンは愛想笑いをした。竜宮は眼鏡を触ると、エヴァンのパッドにデータを転送した。


「いつでも連絡をくれ。君以上の適任はおそらくいない。素質的にも、境遇的にもね」


 竜宮は微笑んだ。


 帰りがけ、竜宮はエヴァンの病室を見回して、呟いた。


「ここは悪い気がたまっているね」


「悪い気……。ですか?」


「そう、あまりよろしくない……。ここには長居しない方が賢明かもしれないよ」


 エヴァンは科学者の竜宮が気などと言うのが少しおかしく感じた。


「気を信じているんですね」


 竜宮はエヴァンの気持ちを察したように言う。


「オカルトにきこえるかい? だが学んでみると気というものは面白いよ。すべては流れの中にある」


 エヴァンは今の会話で何となく竜宮の提案に乗らなくてよかったと思った。


 竜宮が帰った後、エヴァンは彼が忘れ物をしていることに気づいた。それは小型のレンズに見えたが、エヴァンはそこまで行けないので詳細はわからず、放置するしかない。


――わざわざこのためだけに連絡するのも……。


 エヴァンはそう思い、特に連絡はすることなく、勉強を再開する。


 その夜、勉強を終えてエヴァンが就寝していると、どこからか足音が聞こえた。


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