93.入学祝い2
御想像の通りです。
カルスタールは相変わらずです…(汗
「陛下?その入学祝いの内容は…?」
レストは妙に重い言葉を紡ぎ出した。どうしても嫌な予感がして言葉が重くなるのである。
「ん?内緒。帰ってからカルスタールから渡されるはずだから、それまで楽しみにしていてよ!」
弾んだ声で陛下は答えた。ますます嫌な予感が募るレストであった。
「さて、今日の予定も押しているし、戻らねばね」
そう言って陛下が背後に立っているエルーに視線を向けた。
「そうですね。へいか」
そう言ってにこりと頷くエルーはリュリュを呼ぼうとした。そして、「あ、かわいい」と呟いたのだった。
そう言ったエルーの視線を陛下とレストは追った。そして、確かに、と納得したのであった。視線の先には丸く固まってじゃれあっている三匹がいたのだった。思いの外、リュリュはオルアとフィオルと相性が良かったようだ。楽しそうにじゃれている。
何時の間にかフィオルはレストの頭の上から降りていたらしい。だが、レストは嫌な予感に気を取られて気付かなかったらしい。まぁ、楽しそうだから良いのだが…。
「う~ん。遊ばせてあげたいけど時間が押しているからお預けだな~」
と陛下はちょっとばかり申し訳なくなった。リュリュはまだまだ子供で遊びたい盛りなのだ。その点フィオルとオルアも同じなのでますます可哀想だな~、と思ったようである。
「楽しんでいる所申し訳ないけど帰ろうか、リュリュ」
その言葉を掛けられたリュリュはパッと起き上がり、了解と云う様に「にゃ」と鳴いてフィオルとオルアに確り挨拶をしていから素早く陛下の元へ向かったのだった。
「ごめんね。リュリュ」
陛下がそう謝ると、大丈夫と云う様に「なぅ」と鳴いた。
「オルアおいで」
陛下はオルアに呼びかけ、オルアもその呼びかけに応えてぱたぱたと飛んで近づいていった。そして近づいてきたオルアを抱いて少し話した様であった。その言葉にオルアはうん、と頷いている。その辺りはやはり兄弟と言って良いのだろう。まさしくその様は兄に言い聞かされている弟の図であった。分かってる、任せてっ!と云う様に「くあっ」と鳴いていた。
陛下やエドやレイと別れの挨拶を済ませ帰路についたレストとフォスターは学院の正門の前にレストの侍従のファルデルが待機していた。
「入学おめでとう御座います。レスト様、フォスター様」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「今日は屋敷内で盛大にお祝いして下さるそうですよ。旦那様がおっしゃっていらっしゃいました」
「確かに盛大にしてくれそうな家族だよな。うちは」
苦笑しながら言うレストだが、嬉しそうなことが窺える声音であった。
その夜、ファガー邸内は大いに賑わっていた。
レストの入学祝いのため主人家族や使用人に至るまで御馳走が振る舞われたのだ。使用人たちも順に休みを取り大いに楽しんでいた。
そんな中、カルスタールがレストの入学祝いを発表したのだった。そう、発表である。宴もたけなわ、と云う時にである。
「皆、聞いてくれ。今日という晴れの日に更なる良い報告をするよ」
カルスタールの一言で今まで賑やかであった場が静まった。カルスタールは勿体ぶった様にこほんと一拍置くと
「今日からレストは子爵を拝命した!一応私が持っている多数の爵位の内から譲る形で陛下に許可を戴いているよ。というわけでレストは今日からレトルナー子爵です!」
その言葉の後は拍手と祝辞の嵐であった。
が、レストは脱力していたのだった。
(あ~これか~これだったんだな…。あの嫌な予感は)
祝いムードの所、祝われている本人だけは項垂れ葬式ムードだったのだった―――。合掌。
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