92.入学祝い
太っ腹陛下回
移動が出来ると判断したレストとフォスターはすかさず行動に移った。エドとレイに声を掛け、素早くオルアをフォスターが確保したのだった。レストとフォスターはこの短時間でエドとレイの性質を見抜いていた。興味があることはとことん追求する二人なのだ、と。故に興味対象をとっとと引き離しにかかったのであった。
その後は光の指示に従い明日から通うことになる教室へと移動した。やはり四人が最後であったが、担当の教師が来るまでには少々の時間があったので少しホッとしたフォスターであった。エドとレイは言わずもがな。レストは何も悪いことをしていたのではないので、遅れた場合でも仕方なかっただろうな、という程度であった。間違ってはいない。
そして、担当教員が教室に来て詳細な連絡事項を確認し終えてお開きになった。明日の一限目はクラス内での役割決め等が当てられるそうである。
さて、一通り終えて帰ろうという時になり、四人を呼び止める者が在った。
「みー」
という可愛い声であった。
そして今、四人は学院に設備されている応接間に向かっている様だった。先導しているのはあの可愛い鳴き声の主である。青銀の毛並みに瞳は翠とピンクのオッドアイの仔猫。リュリュであった。
少し澄ました様子なその後ろ姿は超絶に可愛いものだった。後ろをついていく4人は和んだ。契約獣である二匹は興味深そうにリュリュを見ている。少しそわそわとしている様である。フィオルはゆっくりと尻尾を揺らめかし、オルアはフォスターの肩の上でちらちらとリュリュを見て落ち着かな気に体を動かしていた。
その様にリュリュの後をついていくこと暫く、応接間らしき部屋の扉の近くまできたのであった。その時扉が開き護衛騎士の服を着た少年がスッと出てきて挨拶をする。
「ようこそ。おまちしていました。こちらにどうぞ」
エルーであった。
エルーの案内で応接間に入ると陛下が上座に座り、待っていた。
「やぁ、皆入学おめでとう!座って!」
にこやかにレストたち四人に着席を勧めたのだった。レストたちが座る間にリュリュにご苦労様、と労いの言葉をかけていた。リュリュはご機嫌に二―と鳴いたのだった。
「今日は式典があったからここ以外で時間が取れなさそうだったから学院長にお願いして応接間を貸してもらったんだ」
「確かに何時もだったら無いもんなぁ」
陛下の言葉にエドが相槌を打つ。
「で、陛下忙しい時間の合間を縫ってでも時間を取った用事とは?」
レイが疑問を口にする。
「うん。入学祝いを渡そうと思ってね」
そう言うと陛下がエドとレイにはい、と片腕で抱える位の袋を渡した。何だろう?と陛下に目で問う二人に
「実験で使いたいって言っていた素材。欲しがってたでしょ?手に入れる伝手が今は無いって言っていたからさ」
「わぁ~陛下ありがとう!!」
「陛下また抜け出したのだろう?宰相閣下の胃が心配だ…。ですが、ありがとうございます。ありがたく頂戴します」
エドは単純に喜び、レイは苦言を呈しつつ礼を言ったのだった。喜んでくれて嬉しいよ、と言いつつレイの苦言については善処するよ~と言っていた。自重する気はないらしい。
「フォスターにはこれを。水の護符」
「私にもですか?」
「ふふ。オルアは私の弟と言っても良い存在だからね。弟の主だからね。受け取って」
「ありがとうございます」
恐縮しつつ受け取るフォスターであった。
「それは私の力で作っているからオルアとも相性が良いはずだよ」
にっこりと陛下はほほ笑んだのだった。結構陛下は弟莫迦なのかもしれない…。
「で、最後にレストだけど…。カルスタールに渡しておいたから♪」
悪戯っ子の顔で陛下は言った。その陛下の顔を見てレストは嫌な予感がするのであった。
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