89.自己紹介
やっと紅い髪の子の名前が出てきました。
同世界観の漫画で描いている主人公たちが紅い髪の子とレイノルドです。
分かる方もいらっしゃるかもしれませんね。
さて、レストたち四人はというと待っていた。
主席である新入生代表者たちは一番前に座ることになる。この講堂は段状になっている。故に最下層部分に当たる場所にあるのだ。出入口は最上段に当たる部分と最下層に当たる部分にある。だが、最下層部分の出入口は今現在一般人には解放されていない。陛下の身の安全などが考慮されているからである。どういうことかというと簡単に言えば最後に出ることになる、ということである。急いで移動しようとしても労力を使うだけ使って無駄に終わるのは目に見えている。渋滞発生の原理と同じである。その様な訳で4人は大人しく待つことにしたのである。
「なぁ、ただ待つのもつまんないよな。自己紹介しようぜ」
ただ待つのも手持無沙汰であるため紅い髪の少年は自己紹介を提案した。
「うん?そうだな。そうするか」
そう言って同意したのはレイノルドである。だが、一応レストとフォスターの二人にも確認するように目配せをした。
それを確認したレストとフォスターも同意すると首を縦に振った。
「じゃあ、最初に言い出した俺から行くかなー。俺はエドガー・ワイズナー。四大公爵家ワイズナー家の嫡男な。一応筆頭公爵家らしいよ。うちは。んで、魔法馬鹿って言われてるけど不本意だ。ただ魔法が好きなだけなのに!!」
「はい、エド、ストップ。魔法の話になると長いからな。エドガーのことはエドと呼んでやってくれ」
紅い髪の少年――エドが白熱しかけた所でレイノルドがタンマをかけ、呼び方を引き継いで強制的に話を終わらせた。彼らの魔法にかける情熱が迸り過ぎないようにする為だ。流石にまだ気心も知れない状態でそれは駄目だろうとレイノルドは考えたのだ。レイノルド、彼はエドよりも周りがよく見えている。魔法のことに突入すると周りが見えなくなるからその前に止めたということは言えるのだが…。所詮似た者同士、同じ穴の貉なのである。
「俺はレイノルド・ガート。エドと同じで四大公爵家の内の一つ、ガート家の嫡男。魔法好き。因みに俺は魔法薬研究がメイン。他もやるけどな。レイと呼んでくれ」
「じゃあ次は私が。フォスター・フィス。平民ですね。代々神官職を担っています。私も神官を目指しています。まだ中等部に入ったばかりですけど、高等部では神官科に入ることになりますね。宜しくお願いします」
「最後は俺だな。レスト・ファガー。ファガー侯爵家の長男ってことになる。家は弟が継ぐ。俺も将来は神官を目指しているから高等部では神官科だな」
「お二人はどちらを目指しているのですか?」
フォスターがエドとレイの高等部で希望する科を尋ねる。
「俺たちは武官、騎士科だな」
「そうだな」
二人はうんうんと頷いている。
ふとレイがレストを見やる。それにレストは何だ?と云う様に見返した。
「レストは爵位は戴いているのか?」
「いや?そもそも爵位なんか俺には関係ないだろう?そもそも元々が貴族ではないしな」
「そうか。まだか」
「いや、ないだろう」
「その内養父君からいずれかの爵位を譲られると思うがな」
「なんでそう思う?」
心底不思議そうにレストは返す。
「噂で色々聞いているぞ。“精霊の寵児”殿。人柄は申し分無いしな。彼が懐くわけだ!侯爵殿も君のことは実子の様に思っている様だしな」
ニンマリと人の悪い笑みを浮かべてレイは云う。貴族社会で待っているよ、と云う様に。どうも面倒くさい貴族という身分を分かち合う友が増えることを歓迎しているらしい。やはり彼らも貴族という言葉から想像するような貴族像とは異なるらしい。何ともエトルア王国の純貴族というのはこういう輩が多いらしい。
レストはそんなレイからそっと目を逸らして溜息を吐いた。そんなレストを見てエドとフォスターはおかしそうに笑うのであった。
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