86.入学式と邂逅5
お待たせしました。
まだ修羅場中なので来月もとりあえず一回かもしれません。
二人は講堂の大きさに呆気に取られていたが、気を取り直すと入り口を潜ったのだった。
講堂の中は円形に造られており、階段状に席が設けられている。正面の通路を通り壇上の前へと二人が着いた時、空中に指示表示が現われた。新入生の証である造花から出ている様である。
その示す先を見たところ、どうも新入生が座る席の案内であるようだ。二人の指示の先は壇上の真正面に位置する一列の席の中にあった。二人は隣の席であるようだ。二人は指示に従って自分の席に近付いて行ったのだった。
二人が講堂に着いたときには既に新入生の大半は席に座っていたので空席は目立つ。二人の席(左側にレスト右側にフォスター)の左隣には既に着席している新入生の姿があった。
黒にも見える深い青の長髪を首の辺りで括っている。切れ長のダークブルーの瞳の顔の整った少年である。背をピンと伸ばして座る姿は優美である。その姿は高位貴族だと直ぐ分かる程である。
そんな彼にレストとフォスターは挨拶をするのだった。
「隣に失礼する。俺はレスト・ファガー。よろしく」
「フォスター・フィスです。宜しくお願いします」
「レイノルド・ガート。宜しく」
素っ気無いほどの挨拶である。が、確かに冷たい表情に見えなくもない。しかし、多分これは地顔である。特別冷ややかな表情を作っているわけでは無い様である。
しかも、何処かそわそわとした感じが窺えるのだ。たまに左隣の空席を見ていたりする。そして何より彼は“祝福持ち”であった。四属性の。彼の周りには高位精霊が四体いて、彼らも何かを待っているようなのである。こちらは心配げにしている。何かあるのだろうか…。その様な彼らだが、律儀にも“精霊の寵児”であるレストに礼をしてきた。それにレストも簡単に返すのであった。
そして、入学式が始まった。
挨拶が続く。
最後の挨拶はエトルア国国王ファルトリート・クラヴィアス・ル・エトルア陛下である。
低くもなく高くもない心地よい声である。透明感があり伸びが良く不思議と良く響く、それでも男性であると分かる声が挨拶を述べる。
そんな陛下を見てついレストは呟いてしまった。
「陛下がしっかり国王やってる…」
「確かに…」
とレストの呟きに対して返る言葉があった。
レストは左隣を向く。その相手もレストを見返していた。
二人はまじまじと見つめあった。
「あぁ、そうか“精霊の寵児”」
そう相手、レイノルドが言う。納得したと言う具合に。
「陛下もかなりの頻度で会ってるんだったな」
「知ってるのか?」
「まぁ、俺たちも同じような立場なんだ」
「頻繁に会うことがある?」
「そう、その通り」
「ねぇ、二人ともそういう話は後でにしようよ」
二人の会話にストップをかける声があった。フォスターである。この先良く見かける構図であるのは今は誰一人知らない。
「陛下の挨拶がそろそろ終わる…間に合わないか?」
レイノルドは苦渋の滲んだ声でそう呟きレイノルドの左隣の空席に目をやるのだった。
それにレストが反応する。
「どういうことだ?」
「陛下の挨拶が終わったら腕章の授与がある。学術学院の生徒である証となる学生証代わりのようなものだ。学年によって色が違う」
「あぁ」
「そうですね」
式の進行はそう進むことはレストもフォスターも知っている。それの何が問題あるのであろうか?
「実は俺の左隣の奴が主席なんだ」
代表で授与される主席がまだ来ていないのだった。
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