83.入学式と邂逅2
契約獣の二匹が…
朝食は賑やかに過ぎていった。
因みにエアリードは学術学院初等部に在籍している。入学式は去年行われたのである。だが、自分の入学式より兄であるレストの入学式の方が重要な様でテンションが高い。まぁ、去年はエアリードの入学式にレストも出席したのでテンションは高かったろうが大好きな兄が見に来てくれることが嬉しいという程のテンションだろう。今のようにファンがアイドルに対して上げるテンションほどではないと思われる。
そんなエアリードにレストは苦笑気味だ。だが、可愛いものは可愛い何時に無く興奮気味に「いってらっしゃい兄上!」と言って見送りに出てくれた弟の頭を撫でて家を出たのであった。
そのことに対してフォスターが
「レストも対外ブラコンですよねぇ」
と苦笑気味に呟いたのはそれに同意するように「キュー」と鳴いたオルアだけが聞いていたのだった。
ファガー家の屋敷から出て二人は歩く。
貴族でも歩くのか?と思うかもしれないが、馬車などは極力出さないのは暗黙の了解と言うものである。大体権力を誇示とか無いわ~と言うのが大方の大貴族の思いである。国の成り立ちが成り立ちなだけに、である。
レストやフォスター以外にも学院の制服を着た学生たちがちらほらと見える。大体は供の者が一人付き添っているかどうかという体である。大体の生徒は初等部からの持ち上がり組みである。最早付き添いが必要というものでは無いのだ。
貴族街から学院は距離があるので早めに出たのである。他の学生の面々もまた同様だろう。今日は入学式と授業や中等部の簡単な説明があるだけなので早くも無い時間である。周りの店店が開店準備をしている時間である。
中央通を少し逸れ、学生街に入って行く。学生街の通りは学院の西側に平行してあるのだ。そこにも様々な店があり、学生たちが賑わせているのである。
その通りをレストとフォスターは通っていく。やがて学院の正門に着いた。二人は正門を潜って学院に初めて足を踏み入れたのだった。この正門は見上げるほど高く大きい。この門は人の手ではなく魔法による自動閉開により閉開させているのだ。また、セキュリティ機能も兼ね揃えており、自動的に人物チェックが行われている。大体は門からしか入られないように結界も敷かれているので出入り口はほぼ門限定と言えるのだ。抜け穴はあるのだが…。まさかそれが起こるとは誰も思っていなかったのだが――。
それはさておき、その様なチェック機能があるのでレストたちは引っ掛かったのだ。レストたちが、ではなく契約獣たちが、である。警告信号が飛んだのであろう。警備員と思しき人物たちが二人レストたちに近付いてきたのだった。
「失礼、入学生ですね。警報があったので」
「成程、契約獣ですね。まだ、中途の入学生は登録されていないから自衛システムに引っ掛かったようですね」
警備員の二人がオルアとフィオルを見てそう告げる。
「正式に登録は後ほどお願いします。とりあえず今は簡易的に登録しておきます」
そういって契約紙を取り出す。
この契約紙は簡易と言っても正式な手続きが済めば本契約に移行できるものである。学院内で契約獣の固体識別をするために自衛システムに組み込まれているものの一つである。契約獣以外の者や侵入対策などの一環である。魔獣などは様々な能力を備えている。その様な者が暴れたりすると大変なことになる。そのための対策なのだ。もし、登録した契約獣が制御を失ったりした場合などは<眠り>などの術式がその固体に対して発動するよう組み込まれているのだ。
「では、契約獣の印をここに」
そう言って警備員が示した場所に目をやるが印とは何だろう?とレストとフォスターが首を傾げる。
「あぁ、初めてですか。ここに契約獣の足なり手なりを置いて頂けばいいです」
そしてオルアとフィオルの手形と足型が押されたのだった。
警備員たちは引き上げていきレストとフォスターはやっと学院内を進むことが出来たのであった。
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