82.入学式と邂逅1
学院編に入ります。
入学式です。
清々しい朝であった。
ファガー家当主カルスタールの侍従である彼、アインダートはレストがこの館に来てからの日課である早朝の中庭観察をしていた。アインダート曰く一日過ごすための特別な儀式らしい。まぁ、癒し補給時間なのであるが。この時間は貴重だと言う。カルスタールに振り回される一日を乗り切るためには…。哀れ、合掌。
そして、そんなアインダートの目の先にはレストとフォスター、それに二人の契約獣の幼竜オルア、赤毛の黒犬フィオル。レストの侍従である元“風の牙” ファルデル、加護精霊の高位精霊3体に下位精霊たち多数という取り合わせである。
レストとフォスターは日課である朝錬をしている。レストは毎回武器を変えているがフォスターは杖術が主である。今日はレストも杖術をしているらしい。二人で試合をしているらしい。朝からなかなかハードである。
オルアとフィオルは二体でじゃれあっているようだ。草の上でごろごろ転がりあいながら上になったり下になったりと楽しそうである。
精霊たちはそんな周りを楽しげに回っているのである。
そんな光景を眺めているとレストの侍女であるフルーレがお茶を持ってきた。彼女が現われたら朝錬はお開きである。着替えて朝食ということになる。この終わりがアインダートの主の起床時間にぴったりなのであった。名残惜しげにしながらも満足げなアインダートは自分の主の目を覚ましに足取りも軽く赴くのであった。
カンカンと木の棒が組み合う音がする。
そこにおっとりとした言葉が差し込まれる。
「おはようございます。レスト様、フォスターさん、ファルデルさん。どうぞ、お手を止めてお茶をお飲みくださいね。それから何時ものようにお部屋の方にぬるま湯とタオルを用意してありますので汗を落としてからお着替えくださいね」
にっこりと笑ってフルーレはお茶を促すのであった。ちなみにオルアとフィオルの分もしっかり準備をされている。水であるが。だが、流石に水の精霊王の加護が強い地なだけあり、水がおいしいのだ。二匹はそんなおいしい水が大好きであった。ぶんぶん尻尾を振りつつ乾いた喉を潤すのであった。
お茶を飲み終わったところで二人は部屋に戻る。因みにフォスターの部屋は客室ではなくレストの部屋の隣である。ファガー家当主のカルスタールがフォスターの祖父と遣り取りをした結果であった。カルスタール自身もフォスターのことを気に入っている証拠とも言える部屋配置である。
二人は汗を拭き取り新しい服に着替える。今日からお世話になる制服であった。学術学院の制服である。全体が臙脂色ベースで作られている。学年などは腕章によって見分ける様になっていて、左上腕に着用することになっている。
レストは部屋から出てフォスターを待つ。暫くしてフォスターも部屋から出てきた。
「お待たせしてしまいましたか?」
「いや、俺もついさっき」
「レストは似合いますね」
「ん。そうか?…フォスターは着られている感じが…」
「…分かってます。暫くすれば私も着られなくなるはずです!!」
「そうかもな」
くっくっと意地悪く笑うレストにフォスターは膨れる。そんなフォスターに謝りつつ食堂に向うのだった。
食堂にはカルスタールにミーア、エアリード、ミレイヤが揃っていた。
「遅くなりまして、お早うございます。父さん、母さん、エアにミレイ」
「お早うございます。遅くなりまして申し訳ありません」
「お早う、二人とも。制服姿とは感慨深いな。さぁ、座りなさい」
「うふふ、お早う、二人とも。良く似合っているわよ」
「兄上もフォス兄様もお早うございます」
「にいたまたちかっこいいでしゅ」
「さぁさぁ、皆様早くお食べください。入学式に遅れてしまいますよ」
そんなルシルードの言葉に従い食事前の祈りをして食事を取るのであった。
そう、今日はレストとフォスターが学術学院中等部の入学式という晴れの日であった。
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