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81.散歩と邂逅21

苦労人はずっと苦労人です。合掌

 フェイルドは目の前の光景に盛大に呆れた溜息を吐いた。盛大にやったな…と。

 檻の中の水竜の幼生が小さな人影の片割れを見てクキュウッと鳴いた。


「あぁ、そうだな。ちょっと待ってくれ。今開ける」


 そうフェイルドは言いながら檻を開け放ったのだった。

 そして水竜の幼生は小さな人影に向おうとし…逡巡の後フェイルドの方に向きかえり、フェイルドの額をポンッと小さな手で触れてから人影に向ったのだった。それは激励だった。


「ありがとう」


 フェイルドは水竜の幼生に向かい小さく呟くと通信用のピアスを一撫でする。すると通信相手から間髪入れずに質問が飛んできた。


『フェイルド!一体何があった!?此方まで響いてきたぞ!!』

「あぁ…段取りって何でしょうねぇ」


 フェイルドはたそがれる。何故自分の時は何時もこうなんだ、と。彼は知らない。それがこの先一生ついて回ることなど今は誰も知らない。彼の苦労は終わりが無いのだ。合掌。


「何時ものアレです…」


 溜息混じりに報告する。


「因みに親玉は引っ張り出せましたので突入の方宜しくお願いします。戦力エルフが抑えましたので」

『了解した。お前も苦労するな』


 苦笑いをしつつ労いの言葉を残して通信が切れた。後はフェイルドの出番は無い。フェイルドの目の先では水竜の幼生とその主が感動の再会を繰り広げている。


「まぁ、いいか」


 目の前の光景を見てフェイルドは口元を綻ばせてそう呟くのだった。



 一方水竜の幼生――オルアは主の下に向かいその首筋にかじり付いた。ひしっと音が出そうな勢いであった。

 そんなオルアをよしよしと言う様に優しく撫でながらフォスターが優しく言う。


「お帰りオルア。頑張ったね」


 その言葉にオルアは益々しがみ付き一所懸命フォスターの首筋に頭をすりすりと摺り寄せた。和む光景であった。実際レストと龍種は和んだ。周りは煩かったが。

 なんせ、回りは捕り物で忙しいのだ。保護に忙しいのだ。和んでいるのはレストたちだけである。悪人たちと神殿の者たちが入り乱れて激しい音を立てているのである。普通なら和めない。だが、レストたちにとては今回の事件はすっかり終わっていたのだった。事後処理はあるかな~程度である。

 そんなレストたちを捕り物を取り仕切る神官が苦笑いをして見上げていた。


「本当にフェイルドは苦労するな」


 そんなことを呟きつつ。

 周りの捕り物は一段落したようだ。一先ず撤収の合図を出すことにする。


「皆御苦労!!後日保護した魔獣たちの対応をすることにする。今は撤収するぞ!!撤収!」


 こうして事件は収束を見せたのであった。



 後日、神殿の方で魔獣たちを還す際、紅いガルムがレストから離れずそのまま契約獣になったり。龍種たちが遊びに来たり、レストが遊びに行ったり。フォスターがファガー家にお世話になることになったり。リュリュがエルと一緒に陛下の為に働きたいと一緒に行動しだしたとか。保護された半精霊エルフの子がエルフの里長の所に託されたとか、色々あったのだった。


 そうして日々は流れ、やがてレストとフォスターが学院に入学する日が来るのであった。

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何時も読んで頂いている方も有難うございます。

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