79.散歩と邂逅19
今回は龍です。
目を覚ましました。結構ノリが良いかも?
魔術式を消去し待つこと暫し目の前の龍種が目を覚ます――
その龍種の瞳には確かな知性と理性を窺わせる色が宿っていた。龍種は二人を思慮深く見据える。ゆっくりと頭を擡げた。そしてその口からは不思議に落ち着いた静かな声が響いたのであった。
(幼き人の子らが我の目を覚ましたか)
「貴方を襲った者と違うと分かるのか?」
レストが龍種の声に反応して言うと
(分からぬ訳はないであろう。そなたは我らの王の珠玉であり我らの敬うべき方であろうし、そこな隣の者も我らの同胞の主であろう?水の王の力が見えよる)
「流石は龍種だな…。ところでこの様になった経緯は?龍種なら普通の人間に捕らえられる事はないはず」
(そうよの。我が油断したというのはあろうの。同胞の幼子に呼ばれたのよ。それに応えたらこの様よ)
「幼子?」
(うむ。そなた等が半精霊と呼ぶ者たちよの。しかも安定していない様子であったのでな、保護をしようと思っての。そこを捕らわれたのよ)
あぁ、やはりなぁ…と思うレスト。こうも半精霊が犯罪者たちに扱われやすいとは…。レスト自身が狙われたあの事件が頭を過ぎる。これは早々に対応を考えねば…と考えつつレストは目の前の龍種に提案をする。
「ここはエトルア国の王都にある倉庫なんだけど今ここには貴方以外にも希少種たちが囚われているんだ。開放に手を貸してくれないか?」
(エトルアかの?水の王の息子殿が治める国であろう?彼の君が対応しないのか?)
「あぁ、そういえば龍種はほぼ東の島国で生まれるのでしたっけ?」
フォスターが龍種の言葉に相槌を打つ。
(その通り。我らは彼の場所を“社”と呼んでおるがの。我ら龍種はあそこでしか生まれはせんからの)
「だから大陸の色々なあり方を知ってらっしゃらないんですね。確かそちらでは王家が神事も司っていらっしゃるんですよね」
(うむ)
レストは龍種とフォスターの会話から大体のことを読み取ったのだった。
「成程。神殿が無いのか」
「その通りです。彼の国は国自体が神殿に近い存在のようですからね」
「へぇ。そうか。こっちでは神殿が精霊関係を取り扱う組織としてあるんだ。精霊が関わる事件や事象に関しては神殿が動く形になる。陛下はあくまで人間の王だから人間たちのみの場合に動くことになる。
だから今回の件は神殿が動いてたんだ。俺の知り合いにこの件で動いていた神官見習いの人がいる。本来なら俺は関わるはずは無かったんだけどフォスターが捕まったからたまたまとう所もあるかな。まぁ、陛下の愛猫の件があったからどうだったか分からないけど。
そもそも、多分もうそろそろこの件も神殿が解決しそうな所まで来てそうだったし」
(む、そういうものであるのか。こちらでは)
「そうなんだ。だけどもう捕まってた小さい希少種たちは精霊たちに救出してもらってるし、大きな希少種たちも解放したいから。でも彼らには人語が話せないものいるだろうから手伝ってもらいたいんだ」
(ほう。そういうことなら否やは無いの。幼子も保護してやりたいしの)
「意趣返しもしてやりたい」←これが一番
「そうですよねー」
(それもそうだの。礼を返してやらんとの)
「あうっ」
最後に今まで大人しくしていたガルムの仔が憤懣やるかたないと言った具合に勢いよく元気に鳴いたのだった。
方針は決まったとばかりに二人と二匹は顔を合わせるとにやりと悪い笑みを交わしたのだった。
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