78.散歩と邂逅18
今回は龍です。説明です。
正しくは次回に出てきます。
騒ぎが起こる前に遡る。
レストたちは他のコンテナより二周り程大きいコンテナの前に居るのだった。
「おぉ、かなりでかいな…」
「そうですねー」
二人は首が痛くなるほど見上げる大きさのコンテナを前に感嘆の声をあげたのだった。因みに紅いガルムの仔は此処が定位置と言わんばかりにレストの頭に引っ付いて一緒に見上げている。
そして
「キュンッ」
と案内できたでしょ、と言うように誇らしげに短く鳴いた。
レストはそんなガルムの仔を褒めるように撫でてやるのだった。ガルムの仔は嬉しそうにキュンキュン鳴く。
一通り撫で終るとレストは早速作業に入った。フォスターもそれに続く。
まずは確認作業である。コンテナの中がどうなっているのか、どの様な生き物が入れられているのか等々である。精霊たちに手伝ってもらい確認していく。結果、こんなであった。
1.コンテナの中に更に鉄格子の檻が入っている。
2.檻には細工がされていて眠りの魔術が仕込まれている。
3.檻の中には龍が居た。
「龍種?竜種じゃなくて龍種ですか?」
「え?有り得るか?だって龍種だぞ。魔術師レベルじゃどう転んでも捕らえるのは無理だろう…。肉体持ってるから眠りの魔術は掛かるだろうけど掛けるまでの過程…檻に入れるまでが無理」
レストたちは無い無い有り得ない、とばかりに確認結果の龍の捕縛自体に疑問を呈する。
そもそも龍や竜という種は最も精霊に近い者と言われているのである。それは生まれ方、存在が精霊に準ずるからである。
生物たちは生まれた時に精霊の祝福でもって属性を持つのである。生まれた時から持っていることは無いのだ。
だが、龍や竜は違う。生まれた時から属性を持つ。精霊の生まれ方と同じなのだ。精霊と違って彼らは肉体を持つ。故に純粋な精霊と違って精霊性が精霊より低い。世界との繋がりが精霊よりは低いのである。だが、半精霊たちよりは格段に世界との繋がりは高い。
龍と竜の違いは自然発生か意図的に生まれるかの違いである。前者は龍、後者が竜となる。
前者は自然と属性の精霊力が凝り固まって卵となり生まれる。後者は精霊王によって精霊力を凝り固まらせて創られるのである。
よって、龍や竜が人の手によって捕縛される可能性は低いのだ。肉体を持つものの高位精霊と同等の力を持ち、強固な自己意識を有している個体なのだ。自意識が無い時の半精霊を捕まえるのことが簡単であっても自意識のある時の半精霊は捕まえられないのと同じなのである。いや、それよりも難しいであろう。
そんな龍種が捕まっているという事が異常である。
(やはり半精霊が関わっているのか…)
レストは自分なりの仮説からそう考えるが、確証は無い。レストとフォスターは考えても答えが分かることなど無いので、手っ取り早く本来の仕事に取り掛かることにした二人。
会話が成り立たない者では無いので出そう、と結論付けたのだった。そして答えを聞こう、と。
地の精霊に手伝ってもらい木のコンテナに穴を開ける。この時レストは“風の障壁”の大きさをコンテナが入る範囲に設定しなおした。どうしても音が立ってしまうからである。穴と言ってもそこまで大きくは無い。レストたちの上半身が見えるくらいだろうか。
穴を開けた後は檻に付与されている魔術式を消去することに取り掛かる。消去した後にこの龍種がいきなり暴れ出すことも考え、術式を消去したときに龍種の目に入る位置にフェシェイドを置いておくことにした。この龍種は風属性の龍種でフェシェイドの知り合いらしい。龍種の意識が戻ったらこれまでの経緯を聞きだそうと思っている。レストの考えが正しければ、この件は半精霊も絡んでいると思われるのでその辺りも話してもらえるだろう。
レストとフォスターは魔術式を消去し、目の前の龍種が目を覚ますのを待つのだった。
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