77.散歩と邂逅17
今回は別視点が主ですね。
彼は苦労人です。主にレストの所為で…
そろそろと二人は進むかと思いきや二人はひょいひょいと進んでいた。進む道はコンテナの上である。二人が目指しているのは大型コンテナが積み上げられている場所である。小さいコンテナは地の精霊たちが対処している。穴を開けまわっているのだ。そして運び出してもらっている。
レストとフォスターは大型のコンテナを開けて中の者たちを出そうとしているのだ。コンテナの中は更に強固な檻で中に居るものを閉じ込めているらしいのだ。強固とは物理的にも、そして魔術的にもという意味である。
目指すコンテナは最も大型の強い固体の閉じ込められているコンテナである。因みに案内役は紅いガルムの仔である。レストの頭の上からクゥクゥと誘導しているのであった。
一方、二人が悪巧み顔でもって行動に移っている時、フェイ兄ことフェイルドもまた行動に移ろうとしていた。
そもそも、フェイルドは神官見習いとしての修行の一環として今回の件の捜査に参加しているのである。まぁ、潜り込みやすい年代であったのも一つの要因ではあるのだが。
今回の一件は王都に存在するギャング集団の一つが密猟・密売組織と通じて希少種の売買に手を貸しているという風神殿からの情報があったからだ。エトルア国に悪意ある者は入ってこられないという陛下の結界はハッキリしているが、また曖昧な物には意味は無い。さらに内部からの手引きがある場合は元々内包しているものなので対象外である。故に今回の件の様なことは多々起こることがある。希少種が絡んだ件となると管轄は神殿に移るので王国自体は動くことはない。神殿から要請があった場合はその如何はないのだが。
今回の件に絡んでいるギャング集団は年若い者が中心となっているためフェイルドが潜入捜査に抜擢されたのであった。フェイルドは証拠を固め中心人物たちの見当をつけて神官たちの突入のための段取りを整えるために内部に潜り込んだのである。
その段取りだが、今日この時に完璧に成されたのであった。故に時を待ち合図をする段に至ったのだ。だが、そんなフェイルドは嫌な予感に襲われていた。何回か経験しているものだ。
(またか~~~!!!)
心の中でついつい叫んでしまうフェイルド。この覚えのある予感は段取りが滅茶苦茶にされる予感である。そして、それでもあっさりと解決してしまうという理不尽。
(でも、今回は俺自身のミスもある)
下を向くとフェイルドの腕の中には小さな檻。その中には水竜の幼生が入っているのであった。
「ごめんな。もう少し辛抱してくれ。お前の主人に怪我はさせていないから」
フェイルドはそう言ってすまなそうに水竜の幼生に視線を合わせる。だが、水竜の幼生は分かっているというようにキュイキュイと鳴くのだった。
「今回は半精霊も保護しなきゃだしなぁ。やっぱり普通の魔術師だけじゃ希少種は捕らえられないからな…。やっぱり利用されてる半精霊が居たんだよな」
フェイルドは溜息を吐く。
全く犯罪者と言うやつは面倒なことをしてくれる。フェイルドはやはり神殿関係者なのである。精霊を利用する者に対しては冷徹になるのだ。フェイルドの目は暗く怒りに満ちている。
そんなフェイルドの怒りを宥めるように水竜の幼生がキュウと心配そうに鳴いた。
「大丈夫だ。お前は優しいな」
安心させるようにフェイルドは笑いかけた。
「さてそろそろかな。今日は大御所がもう来ているはずだし、合図を出すか。一網打尽にしてやる」
フェイルドはそう呟くと獰猛な笑みを浮かべた―――
と、その時だった。
突然の爆発音。
大きな地響き。
怒声と逃げ惑う悪人たち。
大きな影。
そして―――
影の上には小さな人影が二つ。
フェイルドの覚えのある予感は的中したのであった。
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