76.散歩と邂逅16
今回は事件内容説明の回です。
フォスターの黒い部分の片鱗が垣間見える回でもあるという…;
「ところで、フォスターの契約獣は大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ」
レストの心配を余所にフォスターはあっさりと心配ないと言って見せたのだった。それはフォスターの契約獣への信頼がそう言わせているということが分かる強い言葉であった。
「あの仔は傷など付けられないでしょう。彼らにとって大事な大事な商品でしょうから」
「結構冷静だな。フォスターは」
レストが意外そうに言ったところ、フォスターがくすりと笑って
「あの仔は私に似てますからね」
と返したのだった。
レストはその言葉に考える。似ているといったフォスターの言葉、それ即ち――
「見かけに反して図太いということか?」
「嫌ですね。肝が据わっていると言って下さい」
ニッコリとフォスターは笑って返す。レストはこの時流石だ、と思った。神殿の手練たちであった人たちに育てられたのは伊達じゃないと思ったのだ。純粋培養ではあろうが、ちょっぴり黒い部分も育っているらしい。怒っているのだ。相当に。まぁ、それも仕方ないだろうとは思うのだ。何せ契約獣はフォスターの加護精霊なのだ。正しくオルアはフォスターの半身であるのだから。
「あの仔の事は大丈夫です。いざとなったら反対に攻勢に出れますよ。大体あの仔が黙ったままと言うことは有り得ませんから」
「フォスターが其処まで言うのなら大丈夫そうだな」
契約獣の件は大丈夫そうだとレストは胸を撫で亜ロスのであった。そして再び口を開く。
「でも、この件は多分神殿関係の分野だな…。十中八九神殿がらみの事件だ」
「神殿ですか?」
「あぁ、確信は今至ったんだけどな」
「確信することが?」
「あぁ、元々忠告されてたのさ。神殿関係者にな。しかもその人自身が潜入捜査してるのもばっちり目撃した」
「潜入捜査…あれ?レストは此処にどうやって入ってきたの?」
「ん?紛れ込んだ」
「紛れ込んだって…」
「案外分からないものさ」
そう言って綺麗にレストは笑う。フォスターは何か誤魔化されている様で首を傾げたが詳しくは突っ込まないことにした。話がずれてしまったからである。
「ごめんなさい。続きお願いします」
「で、其処に来てこの魔獣の希少種密猟・密売のための倉庫だろ?だからここで神殿が出て来るんだ」
「神殿が動くことは精霊関係ですよね?」
「そう。魔獣は精霊関係に属する事項なんだよ。魔獣とは精霊の加護を受けた生き物のことだから。魔獣はそもそも知能があり、人と意思疎通も出来る者だ。普通の動物とは違う存在だ。精霊に近い存在さ。彼らの立ち位置は半精霊に近いものがある。自然ととても近い」
「成程、確かにその面は強いですね。東の島国では龍は精霊の化身とも呼ばれていますしね。当たらずとも遠からずなのですね」
「その通り。それにこの件は半精霊が確実に絡んでる。多分その半精霊の保護も対象になってるんだと思う」
そこで言葉を区切ったレストにフォスターは尋ねる。
「それで、どうしますか?」
フォスターが悪戯顔でレストに尋ねてくるのにレストも同じ顔で言うのだった。
「それはアレだろう?彼らを出すしかないと思うんだよな」
「そうですよねぇ」
あはは、うふふと二人は笑いあったのだった。その時の顔は子供がしてはいけない笑みだったとフェシェイドは後に語ったのだった。それはそれはあくどい笑みだった、と。
方針が決まった二人は早速行動に移ったのだった。
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