75.散歩と邂逅15
今回はもふもふの正体です。
紅いけど××なんです、という回…
レストは紅い仔犬に見えるものにそっと手を伸ばす。仔犬は警戒心など無い様に…どころか触れてもらえるのを待つ様にレストを見返している。開いた穴の縁に乗り出すように前足がある。レストは前足の付け根に手を差し入れると穴に当たらないように慎重に抱き上げた。
そして上に持ち上げ、矯めつ眇めつ角度を変えて確かめる。怪我はしていない。そして仔犬のようなものは何者かを慎重に確かめるのであった。その間、仔犬のようなものは嫌がる素振りもなく大人しくされるがままになっていた。
暫くしてレストは
「ふーん」
と納得したように頷いたのだった。そんな風に一人納得するレストにフォスターは声を掛ける。
「どうかしたのですか?」
「うん?色々と」
「つまり?」
「つまり、こいつの事と今回の事件のこととか、かな」
「え?分かったんですか」
「色々ヒントはあったからな」
未だ仔犬のようなものを持ち上げてレストは言う。時たま仔犬のようなものを揺する様にしてやると仔犬のようなものはわふわふと喜んだ。尻尾の揺れる様が激しい。とても楽しいようである。
「ん、まず大変なことは置いておいて、でも関係あるこいつのことから」
こいつと言った時にフォスター側に仔犬のようなものを見せるように抱きかえる。そして仔犬のようなものはなんだろうと言うように首を傾げるのであった。それを見たフォスターは
「かわいい」
と言って悶えている。そんなフォスターを見て苦笑しつつレストは
「で、いいか?」
とフォスターに言って腕に抱いている存在について説明を始める。
「まず、こいつの正体はずばり黒犬だ」
「え?あの魔獣の?でも黒くないですよね?この仔」
「あぁ、こいつ希少種だ。魔獣は必ずその種に与えられた祝福を持っているだろ?」
「そうですね。だからこそ彼らは『魔獣』と呼ばれて他の動物たちとは別格とされていますから」
「黒犬は火属性の『祝福持ち』の種族だろ?」
「はい」
「こいつニ属性持ち」
そう言ってレストはフォスターの顔の前に紅い黒犬の仔を寄せる。フォスターと紅い黒犬の仔は見詰めあい、紅い黒犬の仔はレストの言葉が分かっている様に(まぁ、『祝福持ち』なのだから分かるのだろう)わふんと誇らしげに一声鳴いたのだった。
フォスターは思わず紅い黒犬の仔の頭を撫でた。紅い黒犬の仔の毛はツヤツヤで柔らかく最高の撫で心地であった。フォスターは撫で続けた。紅い黒犬の仔は気持ちよいらしく目を細めてうっとりしている。
「もういいか?」
レストは微笑ましい情景だが、このままでは話が進まないと一人と一匹に声を掛けた。そのレストの言葉にフォスターは慌てて紅い黒犬の仔から手を離す。紅い黒犬の仔は名残惜しげにしたが、大人しくレストに従うのであった。
「で、こいつ他に風属性持っているみたいだな。どちらも上位精霊みたいだな」
「ん…あぁ、確かにその様ですね」
それを見た二人はついつい笑ってしまった。どうも紅い黒犬の仔についている精霊たちはとても紅い黒犬の仔を可愛く思っているらしい。頭やら背の部分やらを撫で撫でしているのだった。
「まぁ、外見も相まって希少種中の希少種だろ。で、リュリュやお前のオルアとかが捕まってるだろう?此処からは事件の本題だ。これって多分――」
そこで一息区切ってレストは言う。
「希少種の密猟、密売だと思うんだよな」
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