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69.散歩と邂逅9

今回は経緯説明です。

 フォスターはことの経緯を語る。


 フォスターはレストと同じ歳で12歳であるという。

 フォスターの故郷はレストも良く話を聞く村であった。その村は小さく、若い者は居ない。唯一の存在がフォスターであった。

 村は王都の北に位置している。北西と言うのが正しい所である。レストの出身地であるシェスカの反対位置辺りである。そこの村自体が『精霊の森』の門番と言われている。正しく『精霊の森』と隣り合わせに存在し、『水の精霊王の神殿』と呼ばれている小さな神殿を有している村である。実のところ有しているのは神殿側であり村が有されている側なのだ。

 神殿が建ったが為にその小さな小さな村は出来上がった。その村は水の精霊王と『精霊の森』に棲む精霊たちと半精霊たちのために在ると言って過言では無い村なのだ。故に水神殿の中では本神殿を除き、最も重要とされる神殿の一つなのである。例えどんなに規模が小さかろうとも。

 『精霊の森』の門番である神殿には重要であるが為にベテランの神官が派遣されている。前線から引いた引退組みがそこに赴任するのだ。だが、神殿の戦力にならない者たちではない。確かに神官としての腕を買われた者たちが赴任するのだ。

 その『精霊の森』の門番である神殿の神殿長がフォスターの祖父であるという。そもそもフォスターはその村に生まれたわけではなく、父も母も別の神殿にて神官をしていたらしい。事故でその両親を亡くしたフォスターは祖父である『精霊の森』の門番である神殿の神殿長に引き取られたのだ。

 引き取られたフォスターは憂いも無く村の皆に大切に育てられたらしい、とレストはフォスターが語る言葉の端々に感じるのだった。フォスターが物心着く前に引き取られたのもあるのかフォスターの言葉は12歳とは思えぬほど丁寧な物言いである。レストは関心仕切りである。

 フォスターはそんなベテラン神官たちを師に勉学を行い、『精霊の森』の者たちと供に育ってきたのだという。それは森の動物たち精霊たち、果ては引き篭もりの半精霊たちにも学んできたということだ。半精霊たちは気難しいが彼らは一つのことにかなり執着するところがある。それは長い時間を掛けて研究を積んでいくのだ。故にその一つのことについての専門家とも言える。その様な者たちとも親しくしていたことからフォスターはその辺りも一緒に研究していたこともあるという。かなり優秀であろう。また、フォスター自身も『祝福持ち』であることからその辺りも関係しているということだ。

 そんなこんなで12歳となったことを切欠に『学院』に入学することをフォスターの祖父が取り計らってくれたらしい。

 王都立学術塔学院、通称『学院』は幼等部~高等部までが存在する。学術塔の付属学院となっている。幼等部~初等部は基本学力を磨く場である。この部分は王都の子供たちがほぼ全て通うことになる。中等部となると専門性の高い基本学力を学ぶ場になる。ここからは希望者のみが通うことになり、試験を合格しなければならない。例外事項もあり、学力が相当であると思われる地方の子供には特例事項として領主や神官などの紹介状を出してもらい通うことが出来るようになるのだ。フォスターはこの特例事項に当て嵌まる例であった。

 その様な事情でフォスターは『学院』入学の準備期間も考え一人旅をしてきたらしい。一人では心配されたのではないかとレストがフォスターに質問したが


「それは村の皆もお祖父様も心配して下さったけどね。森の皆もね。でも、彼らも一人旅は出来る知識があるのだから次は実践をしなければと快く送り出してくれたよ」


 と答えられたのだった。確りとした教育方針である。甘やかしは本人の為にならない。経験は大切であるということだった。

 そして、約1ヶ月をかけて王都に到着したのが今日だということだった。初めての王都である。村の人々に色々な注意事項は教えられていた。だが、初めてであったし、人の多さに驚嘆していた。浮き足立って様々な物に目が奪われていた。何時の間にか倉庫街に紛れ込んでいたのだ。たまたま、運び込まれた荷物とその業者に紛れて入ってしまったものらしい。しかもフォスターは背も小さく紛れても見えなかったのだろう。押し流されるように入り込んでしまったという。

 気付くのかなり奥の方まで来てしまっていた。倉庫街の出口に向かおうとしているところに男たちがいた。倉庫街でも人があまり来ない場所なのか、その男たち以外は居ない。そして、人が居ないことを用心深く確認をし、コンテナを一人の男が開け、もう一人の男が中を確認していたという。

 フォスターは中身を見たわけではなかった。だが、その男たちの遣り取りに不穏な感じを受けたという。そっとその場を離れ様とした所後ろのコンテナに背が当たり、音を立ててしまったのだ。

 その後はレストが知っての通り男たちに追いかけられるはめになった。そして、レストに助け出され今に至る。

 レストは考える。

 多分フォスターが見た現場は何かの裏取引の現場だってのであろう。それが、フェイルドの忠告と繋がっていることであること。リュリュの失踪等に見られる失踪事件とも関連があること。

 とツラツラ考えていたレストにフォスターは何故かきらきらした目で聞いてきた。


「あのっ!さっきの壁はどうなっているのですか?!」


 どうも学術的探究心が疼いたらしかった…。


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何時も読んで頂いている方も有難うございます。

今後もよろしくお願いします。

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