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65.散歩と邂逅5

久しぶりのエルー君。陛下は相変わらずです。

 レストに気付いたエルーが大きく手を振ってレストを呼ばわる。


「レストー!」


 それでも駆け寄っては来ない。幼い外見だが宰相の奥方であるルワルアをエスコートしているらしい。エスコート対象である女性の側を離れることはマナー違反である。また、なりは小さいが今や騎士と言って過言ではないほどの腕前なのである。実際陛下直属の護衛騎士候補である。近衛兵とも少々たち位置が違い。余談ではあるが将来陛下が常に傍らに置くことになる。今でもそうではあるが。その様な腕前でもあるので護衛としても一緒に居るのであろう。

 実はエルーは未だ二年前と体格が変わらない。二年前まではレストが側に居たので成長速度が安定していた様だ。陛下もそうあったらしいが、成長する半精霊は成長速度が安定しない。数年成長しなかったり、いきなり5歳分成長するなど法則性が無いらしい。半精霊本人の最盛期まで成長するとその後は外見はそれ以降変わらないらしい。所詮突き詰めれば半精霊とて精霊の一種である。消滅は有り得るが死ぬことはない。故に老化などあろうはず無いのである。


「こんにちはルワルア様、エルー」

「ごきげんよう。レスト」

「こんにちはレスト兄」

「今日はエルーとデートですか?」

「うふふ~。そうなの♪」

「また、なんですね…陛下」

「また、なのよ。お仕置き中なのよ。陛下」

「陛下大丈夫かな~」


 心配そうなエルーにルワルアは澄まして言った。


「駄目よ、エルー。陛下を甘やかしては。エルーの忠告を無視したのですもの、非は陛下にあるのよ!もう」

「でも~」


 そんな二人の遣り取りを見てレストはくすくすと笑った。


「デートなのも本当だけど、義理弟おとうとの様子を見に行ったのよ」

「成程」


 現宰相閣下は2兄弟で弟である人はどうも王家の血が濃く出たタイプの人であるらしい。何でも研究肌であり、今は学術塔で研究をしている研究員の一人であるらしい。


「どうも最近とあるお嬢さんと暮らしているとか聞いたから」

「こちらもそれは“噂”で聞きましたよ」

「流石『神殿』ねぇ。女性に興味が無かったから嬉しくって!後はどんなお嬢さんか偵察にね」


 メインは偵察の方だったのだろう。良くない女性に引っ掛かったのではないかと心配したのだろう。ルワルアの様子から見て心配は無かった様だ。


「可愛いお嬢さんだったわよ。17歳と聞いたけれどもっと幼く見えたわね。並んでいるとちょっと犯罪っぽかったわぁ」


 因みに現宰相閣下は30を少し超えたくらいである。宰相閣下の弟は歳が離れているらしく20台前半である。

 ルワルアの話す幼く見える少女とは少し前に『神殿』で聞いた“噂”によると異世界人であるらしい。黒髪黒目の大人しげな少女。この世界で生まれ育ったわけではないので精霊の祝福は受けていない。だが、精霊たちにはとても好かれているらしい。好ましい存在である証明である。また、精霊に受け入れられたということはこの世界そのものに受け入れられたということに他ならない。


「楽しい時間を過ごしていらっしゃったようですね」

「そうね。楽しかったわね。エルー」

「うん。お姉ちゃんが作ったお菓子食べたの」

「それに義理弟エザルったら、甘い物が駄目なはずなのにあのが作った物は食べるのよ?可笑しいったら!確かに甘さ控えめだったですけれどね」

「うん。お姉ちゃんのこと大好きなんだよ!」


 レストは殺伐とした事柄から暫しの間抜け出し、微笑ましい二人の話を聞いているのだった。


お気に入り登録していただいている方有難うございます。

何時も読んで頂いている方も有難うございます。

今後もよろしくお願いします。

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