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53.奇跡の鍛冶師4

「精霊石・・・?」


 レストは首を傾げる。レストの加護精霊である風霊のフェシェイドは世界の事象などを面白おかしく語ってくれる。だが、そのフェシェイドの話の中にも精霊石という話は出てきたことが無い。一体どんなものなのだろうとレストは首を傾げた。

 そんなレストにアースルトは精霊石について話す。


「精霊石は実はその辺にごろごろ転がってるんだ」

「は?」

「精霊石って言うのは『本来は在りえない石』なんだ」

「でも、その辺に沢山ある?」

「そう。『精霊の戯れ』によるものだ。だから『本来は在りえない石』なんだ。副産物的な物だしな。そういう訳でそこまで希少性も無いし大きな物も存在しない」

「でも、武器にするには大きさが足りないと言うこと?」

「その通り。精霊たちにとっては当たり前に出来る物だからいちいち『精霊石』については言及しないからレストも知らなかったんだろう」


 だが、それでも目の前に在る『奇跡の鍛冶師』は『精霊石』で武器を作ることが可能なのだ。


「精霊石で作った武器は持ち主の意に従ってその形や能力が変わるんだ。持ち主によってその変化は様々だし限界もあるのだけど」

「そうなのか・・・。でも、そもそも精霊石って何なんだ?」

「精霊石は世界と直接繋がる物と言って過言じゃない物だ。精霊力の塊みたいなものだな。普通、人間は直接世界と繋がることは出来ない。人間に扱える情報量を軽く凌駕する世界と繋がったら、まず、人間は発狂するだろうからな。それでも世界と少しでも繋がれる、繋がり易い者たちが『祝福持ち』なのだけどな」

「精霊石は普通の人間にも世界との繋がりを可能にするってことなのか」

「御名答。全ての変化は世界がもたらす物だ。世界に働きかけることが出来れば、物は変化する。まぁ、精霊石が世界と繋がりを可能にするといっても精霊石そのもののみに限ってのことだ」

「そういうものなのか・・・」

「精霊石は一種の記憶媒体であり限定されたインデックスでもある。物を変化させるには世界からどの様に変化させるかの変化の方法の情報にアクセスしないといけないんだ。変化によってアクセス方法は様々だ。

例えば凹みを作ろうとするならば、叩くというアクセス方法になる訳だ。そのアクセス方法を精霊石は省略することが出来るということだな。精霊石に前もってどの様に変化させるかの情報を入れておけば、持ち主の意思を通して変化が可能になる」

「成程。その精霊石に情報を入れる行為が可能なのがアースルトのみということなのか」

「それはそうなんだが、それ以前に材料を直接作り出せるのが俺のみだと言ったほうが良い。精霊石の大きさが自然に出来た精霊石では足りないといっただろう?」


 苦笑しながらアースルトが言った。確かにその問題があったな、とレストは頷いた。だが、作るとはどういうことだろうか?と疑問が浮かんだ。


「作る?」

「あぁ、精霊石は純粋精霊力の塊なんだが、属性が無いというか寧ろ四属性が偏らずに相殺しあっている、と言った方が正しいな。だから、精霊石を作るにはまず、四属性が必要なんだ。後は精霊であること、だな。それに当て嵌まるのが俺だけだからな」


 そう言いながらアースルトは何かを抱えて差し出すように手を前に持ち上げた。目を半眼に開き、集中。

 すると、アースルトを中心に力を帯びた風が発生しだした。それに伴いアースルトの瞳が輝き出し、アースルトの身体を縦横無尽に走っている文様が明滅を始める。幻想的な光景が広がった。文様の光りがアースルトの肌から抜け出すように浮かび上がりアースルトの周りを回り渦巻く。それはやがてアースルトの差し出された手の上に集まり大きな力の塊が出来上がっていった。

 段々と力の塊は大きくなっていき、明滅も強まっていく。力を伴う風が強い風力をもたらし髪や服の裾が舞い上がる。

 やがて閃光が弾けた。余りの眩しさにレストとミルシェは目を閉じた。光りが収束して、一瞬で消えた。それと同時に風も収まった。それらを確認したレストが目を開けた。


 そして、レストはアースルトの手の上に浮く大きな石を見たのだった。


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