44.侍従探しと捕獲という確保
提案、というのは要するにレストの侍従問題を解決するためのものである事が一つ。『精霊の紅花』の半精霊たちを保護するものであることが一つといった具合のものだ。
レストの侍従問題は『風の牙』に決まっている。レストとフェシェイドの中では、という注釈は付くのだが。その他の『精霊の紅花』の半精霊たちはレストに帰属するレストのための部下という位置にしようとフェシェイドは考えていた。
問題は『精霊の紅花』は世界中で活動していた暗殺集団である、という所だ。国際問題が絡んでくるのは必須である。だが、『精霊の紅花』を構成しているのは半精霊であり、精霊に帰属する者たちである。精霊に関する問題を取り扱うのは神殿である。そうなると処遇を決めるのは神殿となってくる。
だが、神殿と言えども人間が中心となっていることには変わりない。神殿で処遇を決めるとなると精霊ばかりを優先出来なくなるのだ。
その点、レストに預ける形になれば文句は出ない。それは国でも神殿でも、である。『精霊の寵児』というのはとても特殊な立ち位置であり、それが許されている唯一の者なのだ。さらに『精霊の寵児』でも特殊な『精霊と供に歩む者』とされるレストは尚更なのだ。その事からフェシェイドはそこを攻めていこうと決めていた。
とりあえず、レストが『精霊の紅花』の半精霊たちの自我を取り戻し終えたのは午後の3時を回った時だった。一息つき、まず陛下に報告した。因みにお使いはフェシェイドである。国同士のものは国でやってもらわないといけない、ということでその辺りの面倒くさいことを陛下に押し付けた形だ。まぁ、それが一国の主の仕事でもある。頑張ってもらうしかない。あぁ、やっぱりそう来たのか~。面倒臭いけど・・・。とは陛下の言だ。
そして、フェシェイドが帰って来てから、『精霊の道』で『精霊の紅花』の半精霊たちと供にエトルア国の王都内に在る水の中央神殿に赴いた。その時には既に四神殿の神官長たちが揃っていた。事の顛末と処遇に対する会議の為である。
レストたちは会議室に移り、神官長たちは早速処遇をどうするか検討し始めた。
だが、レストは一言
「俺が責任持つので俺が預かりたい」
と行き成り切り出した。
「それは、確かに『精霊の寵児』ならば大丈夫だろうが・・・」
「レスト君ならば大丈夫でしょうね」
「そうだな。我々が決めるより反発も無いだろうしな。精霊たちにも人の世からも」
「そこの兼ね合いが難しいから、一番無難だな」
あっさりと認められた。
レストは少し脱力した。軽い・・・。重要なことを決めているはずなのに余りにも軽かった。「それで良いのか、神殿!!」と心の中で突っ込んだレストは悪くない。世の神殿に対する見方が覆りそうなノリであることは間違いないだろう。(まぁ、そうだろうな。そんなものだよな)とはフェシェイドの言である。
(もし、承諾しなかったらこっちが捕獲したんだからこっちに寄越せっていうつもりだったけどな)
フェシェイドの言に対しての神官長たちは、と言うと。
「面倒くさいのは御免だな。我々は魔物を狩るのが仕事だし」
とは火神殿の神官長。
「精霊たちを助けたのだから精霊たちが納得する形なのだし良いのではないでしょうか」
とは水神殿の神官長。
「精霊たちの望んだ結末だろうからそれで良いだろう。情報が集まらなかったのはそういうことだろうし」
とは風神殿の神官長。
「どうせ我々は精霊が第一だからな。仕方ない。世俗の方が面倒くさい」
とは地神殿の神官長。
神殿自体は人と精霊の仲を取り持つ役割をしているので、どうしても人間社会に存在するためメインが人間であるという形を取っている。だが、蓋を開けてみれば所詮精霊第一の神官たちだったりするのだ。故に世俗に対するものは結構冷たいと言うか、関心が無いと言うか面倒くさいの一言で終わったりする。故に今回の仕儀はあっさり決まった。半精霊たちが貴族社会の食い物にされたことにも神官長たちは頭にきていたのだ。はっきり言って食い物にしていた貴族たちには合掌と言っておくべきかもしれない。この後に待つのは神官長たちの報復である。社会的というよりも世界的に抹殺されるだろう。精霊たちを愛する彼らの怒りは深い。
そんなことは知らずに『精霊の紅花』の半精霊たちは喜び、レストは捕獲と言う侍従の確保に成功したのだった。『精霊の紅花』の首領をしていた者は『精霊の森』に棲むことにしたいとレストの側を辞した。他に数人首領について行くこととなった。レストに帰属していることには変わりはない。レスト自身にも無理強いする気は無いので彼らを見送った。
そして、レストは半精霊たちを伴って帰路に着いたのだった。
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