21.挨拶=一大イベント?6
ファガー家の主であるカルスタールは転移魔法の施された転移室にいた。そこにはカルスタール以外にカルスタールの息子たち、レストとエアリード、執事のルシルード、カルスタールの侍従のアインダート、エアリードの侍従のフェンド、レストの侍女のフルーレが居た。王城に上がるためである。
そもそも何故転移室なのか、と言うと王都の形状にある。王城は王都の北側三分の二部分にある。更に北には北門と王城の間に上流民区と呼ばれる所謂お金持ちの住宅街となっている。そして王城の北東にあるのが貴族街となっている。王城より南側には繁華街や学校、工房、教会などがある。因みに王城の西側は倉庫街や商会街である。
ファガー家は当たり前だが貴族街にある。ぶっちゃけ近いは近いが徒歩で行くには遠い。馬車で行くには近いのである。普通の貴族ならば近かろうが馬車で行くのだが。そこでファガー家では転移魔法で行く事にしている。王城の方にも転移魔法用の部屋は用意されていて、登城の際に事前に申請書を出しておけば許可が下りるのである。この頃は転移魔法が登用されてから魔力量が多い貴族たちは挙って転移魔法にて登場するようになったのである。だが、魔力量が多いものは限られていて、大抵は五大貴族たちが使用するのが精々ではあるのだが。これは五大貴族が総じて魔力量が多いからである。今現在使用されている転移魔法陣の魔力食いは有名な所である。前述にもあるが(※誕生日プレゼントへの道のり1参照)開発者が魔力消費量を減らした転移魔法陣を鋭意製作中である。
時計を見る。十時五十分になった。執事のルシルードとレストの侍女のフルーレ以外は魔法陣の上に立っている。立っている面子は登城する組みである。中心にはカルスタールが立っている。中心に立つのは魔法陣を発動させる者だ。カルスタールは目を伏せて魔法陣に魔力を送る。魔法陣が微かに光りだす。すると、視える者にはするりと下位精霊が滲み出すように出現しているのが分かるだろう。召還が行われているのである。
次々と下位精霊が召還される。まずは風霊たちが次に地霊たちが微かに水霊や火霊が混じっている。だが、この館にはレストに惹き寄せられた精霊たちが多く居た。周りからも精霊たちが集まりだしていく。 魔法陣が構築している通りに精霊たちが式を構築していく。だが、魔力消費量が莫大だと言う事はお分かりの方も居るだろうが、効率が悪いということである。まぁ、そういうことなのだ。
召還された精霊たちが魔法陣に沿ってくるりくるりと踊る。楽しそうにきゃらきゃらと笑いながら・・・。
(およびだ~)
(およびだね~)
(きたよ!)
(みち、みち)
(つくるの?)
(つくるんだよ?)
(じゃぁ、まずは~)
(くるくる、いくいく)
(そだね~)
(いち かくてい)
(かくてい~)
(いち かくていするの?)
(するんだよ~!!)
きゃっきゃっと戯れている・・・。
(そか~)
(うん、うん。てすてす。き~こ~え~ま~す~か~?)
(きこえてるよ~)
(おしろ?)
(そうよ~)
(しるし、しるしっ♪)
(つけた~)
(お~け~です)
(みちもかんせ~い)
(みちひらきま~す)
(はいってだいじょうぶよ?)
(レストあそぼ~)←?
この様な精霊たちの働きで出来た転移の道が開く。精霊たちの遣り取りを聞くと不安な感じだが、出来た道は案外確りしたものなのである。本当に不思議なのだが・・・。レストはシェスカからこの館に来たときに転移魔法陣を使用したが、余裕が無かったため詳しい事は視ていないし、覚えてもいなかった。始めてみた転移魔法の実態に脱力感を感じたレストであった。何とも緊張感の無さは精霊たちならではだろう。転移魔法陣の実態にちょっぴり切ないレストだった。
レストの切なさを余所に魔法陣は発動する。五人の姿が消える寸前にルシルードが主人たちに見送りの挨拶の声を掛けた。それに主人が「行って来る」と応じて姿を消した。姿を消す瞬間、主に同行している息子であるカルスタールの侍従のアインダートが精霊たちを視て癒し故の表情を浮かべていたのを見た。ルシルード呆れの溜息を禁じえなかった。分からないでもない切なさと我が息子の不甲斐なさを同時に嘆くのだった。ファガー家の執事もまた苦労の人なのであった。
こうしてレストは王城に無事登城することとなったのであった。
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