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19.挨拶=一大イベント?4

 レストはエアリードと共にフェンドに先導されて食堂に来ていた。フルーレはレストの後ろに控えている。着いた食堂にはこの館の主の姿はまだ無かった。レストはフルーレに、エアリードはフェンドに椅子を引かれて席に着いた。そこに給仕の青年がフィンガーボウルを置き、控えているフルーレとフェンドに耳打ちをして下がっていった。

「レスト様、カルスタール様は奥様を迎えに行かれたので少々遅れるそうです」

 給仕の青年がフルーレたちに耳打ちをした内容らしい。レストはふと、そういえば自分の母になる人には会っていないなと、フィンガーボウルの中で戯れる水精霊と風精霊の姿を視ながら思った。因みにフィンガーボウルの水は水面が波立っている。

 足音が近付いてきているのが聞こえる。どうやらカルスタールと奥方が着いたようだ。カルスタールが奥方をエスコートして食堂に入ってくる。奥方のお腹が大きい。妊婦であるらしい。奥方の席までエスコートし、家長の席へとカルスタールが着いた。

「おはよう、レスト、エアリード」

「おはよう、父さん」

「おはようございます。父上」

「おはよう。エアリード」

「おはようございます。母上。体調は良いでしょうか?」

「えぇ、大丈夫よ。おはよう、レスト。初めまして、ね。私はミーア・ファガー。貴方の母になるわ。こちらにいらっしゃいな。」

 レストはミーアに呼ばれ、近くに寄る。するとミーアが抱き締めて来た。ふわりと良い香りが香る。

「私たちの息子になってくれてありがとう。エアリードのことを頼むわね」

「・・・。母さんと呼んでも?」

「えぇ!!勿論!嬉しいわ」

 笑顔が素敵な人だとレストは思った。ファガー家はいい人ばかりが集まっているらしい。そして、この人も『祝福持ち』なのだなとミーアの側にいる高位精霊を視て思った。精霊はニッコリと笑って頭を下げた。ミーアに似合いの精霊である。因みにミーアは金髪翠眼のふんわりとした雰囲気の美女である。

「もうすぐまた、妹か弟が生まれるの。この子もよろしくね。レスト」

 その言葉にレストはニッコリと笑い、頷き返したのだった。


 レストとミーアが挨拶を終えるとカルスタールが昨日、何故ミーアがパーティーに出席しなかったかをレストに説明した。ミーアは臨月、産み月に差し掛かっており無茶をさせないようにとの配慮の元、欠席をさせていたらしい。この話を聞いた後、いきなり

「ごめんね」

カルスタールに謝られた。どうも、今日の謁見の件らしい。昨日の夜にいきなり王宮側から使者があったらしい。レストとエアリードの子供組みは途中からパーティーを離脱した。寝る時間が近かった為だ。レストは早々に就寝した。疲れて寝ているところを一々起こすのも可哀想だということでレストには知らされていなかったと言う事である。エアリードが知っていたのは偶々である。元々、本日謁見予定日であったし、興奮の為すぐに寝られなかったのでレストも謁見があるので同行する旨を知らされていたのだった。


「さて、少し遅くなってしまったけど朝食を食べようか。では挨拶を」


「至高の方々、世界たる精霊に感謝を」

 カルスタールが食事の挨拶をすると他の家族がそれに倣い後に続く。レストもそれに倣った。

「「「至高の方々、世界たる精霊に感謝を」」」


 挨拶が終わると食事が始まった。




 一方、その頃王宮では謁見準備が行われていた。本来の謁見ではこのような準備はしない。何故か王が指示している。妙にソワソワしながらの指示である。何処となく遠足の前日からソワソワしながら準備を進めている子供と重なる姿である。そんな国王陛下を見ている者がいた。この国の宰相殿だ。

 宰相殿は溜息を禁じ得なかった。何やら陛下が「サプライズが・・・・」と呟いて喜々としている様子を見て又も溜息、である。実は昨日から準備は進められているのである。国王陛下の横には国母である水の精霊王の姿もある。この準備にはしっかり彼の精霊王も一枚噛んでいるのである。宰相殿は国王陛下のストッパーであるが、こうなった国王陛下は止められないとは経験上知っている。もし、止めようとしてもそのストレスが自分に返って来るだけで止めることなど出来ないのだ。故に無駄な事はしない。

 宰相殿は苦労性である。宰相殿の溜息は毎日尽きない。そんな宰相殿の部下たちや官吏たちはそんな宰相殿を哀れみの目で見るのだ。そっと涙を拭く者すらいる始末。宰相殿の頭痛の種は尽きない。宰相殿は遠い目をする。そんな宰相殿の胃腸の心配をする官吏一同であった。

 そんな中、薬を補充しようかな、と考える宰相殿であった。

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