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17.挨拶=一大イベント?2

 爆弾発言を受けて、流石のレストも精神的にダメージを受けた。が、それはまぁ仕方がないと割り切った。どんなに心配しても王への謁見は今日であることは変わりないであろうし、別にそう緊張することも無いのだ。確かこの国の国王は水の精霊王の息子であるということとほぼ精霊と言っていいほど精霊に近い存在であると言うことだったな、とレストは考える。この事はレストにとって救いだ。レスト人間と相対するより精霊と相対するほうがよっぽど楽なことであるからだ。レストにとって精霊とは最も身近な存在であるのだ。レストは人間社会の身分と言うものが分からない訳ではないが理解しがたい部分もある。それはその人物の身の丈に合わないと思うことが多々あるからだ。精霊たちはそれぞれの役割がはっきりしている。存在しているだけ役割を果たしていると言って過言ではない。故にその存在の仕方が精霊の地位その物だと言っても良いのだ。そのような事情があるのでレストにとってこのエトルア王国の国王と言う存在に謁見するのはただ人の人間の王と謁見するより楽なのだ。何と言ってもレストは世界の王たる精霊王たちとでさえタメ口をきいても許される存在なのだから。


 爆弾発言の後、悶々とすることも無く上記のように割り切ったレストは庭に散策に出ていた。ファガー侯爵家の邸宅は大きい。その大きさに見合う庭がある。その庭にレストは出ていた。ファガー家も古来より精霊と関係が深い関わりがある家である。それ故に精霊が寄り付き易いのかもしれない。特に風の精霊がこの屋敷には多く取り巻いている。その精霊たちはレストの姿を見ると喜び勇んでレストの側にやってくる。下位精霊たちはキャッキャとはしゃぎ回りレストの周りをくるくると回って踊っている。中位の精霊はレストに挨拶をして戻っていく。その様を見てフルーレは幻想的な光景を見ているようにウットリとしている。フルーレにとってそれは正しく幻想的なものだったのだ。この光景を他にも見るものが居たのならば、フルーレと全く同じことを思ったに違いない。

 まだ今日生まれたばかりの太陽の光は黄みを帯び、レストのパールホワイトの髪を照らしてキラキラと輝いている。その光に戯れるように風の精霊たちがレストの髪を揺らす。地の精霊はレストの周りをくるりと軽快に回り続けている。火の精霊は太陽の光に混じりレストの周りを楽しそうに囲んでいる。水の精霊は風の精霊と共に踊っている。レストの周りはレストに戯れる精霊たちに囲まれ、一枚の名画の様でさえあるのだ。

 そんな風にレストの周りに精霊が多くいるという事は精霊が動くと言うことである。『祝福持ち』はその様な精霊の気配を感じることが出来る。偶々だがレストたちがいた位置はエアリードの部屋の真下に位置していた。エアリードは『祝福持ち』である。遵って必然的に気配を感じるという事である。更に距離も近く、力の強い高位の精霊たちですらレストの側に寄ってくるのである。気付かない筈は無かった。まぁ、一言で言うと精霊の気配で起きたのである。

「ん・・・。ファルシューファじゃない高位精霊たちの気配がします・・・」

 コシコシと目を擦りつつエアリードは起き上がった。気配のする方向――窓に向かい窓を開け放つ。そして、精霊たちの気配がする方向、真下に目を向けた。そこには思い掛けない光景が広がっていたのだった。『祝福持ち』であるものですら未だに見たことのない光景。それは四精霊たちが一同に庭に溢れんばかりに集まっているのだ。

 自然界にはそれぞれを司る精霊たちが存在するので、四精霊が一同に会する事は間々あることである。珍しいことでは無いのだ。しかし、それは寄り集まっている訳ではない。あくまで自身が司る場所に精霊が存在しているのである。例えば、火山にも四精霊はそれぞれ存在する。だが、分布しているのだ。火口付近には火の精霊が多い。山自体は地の精霊の管轄である。また、火口付近には水の精霊も少数は存在している。風の精霊は空気がある所ならば何処にでもいる、というふうである。

 一同に会するといっても限度があり、エアリードの目の前の光景はほぼ有り得ないことであった。だが、その中心に居る存在に気が付いた。昨日兄に成った人である。レストだ。エアリードは一気に覚醒した。エアリードの中ではレストの存在は特別であり、崇拝に似た感情まで持っている。昨日会ったばかりの人だった。だが、一目見るなり勘が、本能が訴えていたのだ。この人は自分とは格を逸する人なのだ、と。『祝福持ち』故の感覚。精霊に近い感覚で思ったのだった。その様なことで、今エアリードの気は逸っている。すぐに会いたいと心が訴えていた。心のままに行動することにし、侍従を呼ぶために呼び鈴を手に取った。



 レストが精霊たちと戯れていると、可愛い呼び声がしたので振り返った。振り返った先には昨日から弟になったエアリードがこちらに駆けてくるのが見えた。頬を上気させて走ってくる姿はとても可愛い。その後に付いて来る、少々年上の少年はエアリードの侍従である。エアリードがレストの前で立ち止まる。そして、レストに朝の挨拶をした。

「兄上、おはようございます」

「おう。おはよう、エア」

 エアリードは嬉しそうににっこりと笑った。レストはもう少し近くにおいで、と招き寄せる。そして、エアリードを抱きしめて撫でてやった。エアリードは戸惑いつつもとても嬉しげだ。そんな二人の周りを精霊たちははしゃぎながら回り続ける。それを見ていたフルーレとエアリードの侍従の少年は微笑ましそうにしている。(侍従の少年には精霊は視えてはいない)因みにフルーレはウットリもしていた。だが、ウットリしていたのはフルーレだけではなかった。別の窓からはしっかりとアインダートが見ていたのだった。仕事に掛かろうと廊下を歩いていた時に目に付いたのだった。アインダートにとっての癒しがそこにあった。朝から好い物を視た!眼福、眼福!!と鼻歌を歌いそうな勢いで仕事に向かったのであった。



 平和そうな一日の幕開けだが、これはまた騒がしい一日の幕開けなのだった。

お気に入り登録していただいている方有難うございます。

何時も読んで頂いている方も有難うございます。

今後もよろしくお願いします。


記述ミスしてくださった方にお礼を・・・。

気付かずにすみませんでした。

ミスに気付いた方は指摘の程宜しくお願い致します。

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