アル、ついに高校に通う
前回のあらすじー陽翔は、アルを高校に通わせるため、理事長の妹である母に相談すると、会うことに。母と会って事情を話した結果、理事長へ話を通してもらえることになった。そして、理事長がアルの入学条件として提示したのは、学力テスト…いわゆる入学試験だった。その結果、テストはすべて満点で合格した。もちろん、アルが天才なわけではなく、ただ魔法でカンニングをしただけだった。こうしてアルの入学が正式に決まったのだった。
学校へ向かう通学路を、俺とアルは歩いていた。
「ねぇ、陽翔」
「どうした?」
「そういえば聞いてなかったから聞くけど、学校ってどんなことを学ぶの?」
「基本は国語、数学、理科、社会、英語だよ」
「…?英語?」
アルは少し首を傾げながら言う。
「日本語とは違うの?」
「そうだ。この世界には日本語の他にもいろいろな言語が存在する。まあ今のアルはまず日本語からだけどな。って、入学試験で英語もあっただろ…」
そういえばこいつはカンニング…いや、魔法の力で全部解いたんだったな。
そんな話をしている間に俺とアルは学校の前に着いた。
「やっとついたな」
「わざわざ歩かなくてもテレポートすればいいのに」
「仮にできるにしても絶対にするなよ」
「はーい」
定期的に釘を打っておかないと、いつか本当にしそうなのが怖い。
そして、俺たちは話しながら靴箱に向かった。
「私は確か、まず理事長室に行けばいいのよね?」
「ああ、そうだ。そこにアルがこれから通うクラスの担任の先生がいるはずだ」
「なるほどね、ちなみに陽翔は何組なの?」
「俺は一組だよ」
「そう、分かったわ」
俺の学年は四クラスある。だから、アルと同じクラスになる確率は四分の一。できれば、事情を知っている俺が同じクラスになりたいが…そう上手くいくものだろうか。
「じゃあまたあとでね」
「おう」
そして俺とアルは別れ、俺は自分のクラスに行き、自分の席である1番後ろの窓際の席…いわゆる主人公席に座った。
そして、一人の男子生徒が陽翔に話しかけた。
「おはよう!陽翔!」
「はいはい、おはよう。翔」
こいつの名前は神代翔。俺の中学からの友達だ。
「なぁ、知ってるか陽翔?」
「知ってるって、何を?」
「転校生のことだよ転校生!噂によるとめちゃくちゃ可愛いらしいぞ!!!」
「…」
恐らくアルのことだろう。まだ別れて数分しか経ってないのにもう噂になるとは…恐るべし美少女転校生。
「そ、そうなんだなー、一体どんな子なんだろうなー」
「どうしたそんな固くなって?」
「き、気のせいだよー」
そんな話をしている間にチャイムが鳴った。
「いっけね、もうこんな時間か。また後でなー」
そう言いながら翔は席に戻り、先生が教室に入って来た。
「今日はホームルームを始める前にみんなに言わなきゃいけない話があります」
この時俺は思った。
もしかして…
「今日からこのクラスに転校生が来ます!」
やっぱりかぁぁぁ!!!まあ、どっちにしろ、同じクラスになりたかったし、結果オーライか?
そして先生が、廊下の方を向き言った。
「入って来ていいわよ」
ガラガラ
ドアが開く。そして、みんなの前まで歩いた。
「軽く自己紹介をしてもらってもいい?」
「今日から転校してきました。アルクス・カエレスティスです。アルって呼んでください。これから、よろしくお願いします!」
アルがそう言って頭を下げる。
すると、教室中から小さなざわめきが起こった。
「え、めっちゃ可愛くない?」
「ハーフかな?」
「アルクスって外国人?」
「どこから来たんだろ」
……予想通り、かなり注目されている。
というか、この前まで異世界にいた奴が、今こうして俺のクラスで自己紹介しているという事実が未だに信じられない。
「じゃあアルさん、空いてる席に座ってもらうわね」
先生が教室を見渡す。
そして…
「桜木くんの隣が空いてるわね。そこに座ってもらえる?」
「…え?」
思わず俺の声が漏れる。
「あ、はい。分かりました」
アルはぎこちない返事をして俺の隣の席まで歩いて来た。
「陽翔の隣なの?」
「あ、ああ…そう…らしいな」
そして椅子を引き、俺の隣の席に座った。
「えっと、改めてよろしくね。陽翔」
「…よろしく」
小声で返す。
「それじゃあ、ホームルーム始めるわよ」
先生の声が言った。
「アルさんは分からないことがあったら、近くの人に聞いてね」
「はい!」
元気よく返事をするアル。
とりあえず、第一関門は突破した、そう思ったのだが…
「それじゃあ、次に…」
「先生!」
アルが突然手を挙げた。
「どうしたの?」
「このホームルームっていうのは、何をする時間なんですか?」
「…」
教室が静まり返る。俺は頭を抱えた。
…そうだった。こいつがこの世界の常識的なのを知るはずもない。
「えっと…ホームルームっていうのは、連絡事項を伝えたり、出欠を確認したりする時間ね」
「なるほど…!」
アルは納得したように頷いた。
こいつ、本当に大丈夫か?
「それじゃあ、出席を取るわよ」
先生が名簿を開き、一人ずつ名前を呼んでいく。
「アルクスさん」
「はい!」
…
「神代くん」
「はぁい!」
…
「桜木くん」
「はい」
…
「よし、全員いるわね」
先生は名簿を閉じる。
「それじゃあ、今日は特に連絡事項はないから、これでホームルームを終わります」
そうしてホームルームが終わり、アルと話をしようとしたら…
「なあ、ア…」
「アルさんは、どこから来たの?」
「好きな食べ物とかありますか?」
「か、彼氏とかいますか?」
凄い質問攻めにあっていた。よくある転校生にありきたりなやつだ。
「え、え、えっと…」
「助けて」と言わんばかりの目で、アルは俺を見てきた。
仕方ないな…
「みんな落ち着け、アルも困ってるだろ?」
「あ、ごめん」
「つい気になっちゃって…」
「そうだぞ。質問するなら一人ずつにしろよ」
「陽翔…」
アルがホッとしたような顔をする。
「ありがとう」
「別に。見てられなかっただけだよ」
「意外と優しいのね」
「うるさい」
そんなことを話していると、先生が俺の席に来て言った。
「桜木くん、ちょっといい?」
「はい?なんですか?」
「アルさんのことで少し話があるの」
「…」
嫌な予感…
「理事長から少ししか話を聞いていないけど、アルさんは桜木くんが入学させたのよね」
「まあ、そうですね」
「それならしばらくの間、桜木くんがこの学校のことを教えてあげてくれない?」
「俺が?」
「ええ。アルさんも桜木くんなら聞きやすいでしょうし」
「…」
少し考えてから、俺は言った
「はい、分かりました」
そして俺は席に戻った。その頃にはもう、質問は終わり、みんな自分の席に戻っていた。
「先生と何を話してたの?」
「アルの面倒をみてくれないかって話だよ」
「へぇ…じゃあ私のお願いなら何でも聞いてくれるってこと?」
これに頷くのは凄く嫌な予感がする。
「何でもは無理だけどな」
「じゃあ私、陽翔とこの学校を見て回りたい!」
なんだそんなことか。もっと無茶なお願いをされるかと思った。
「確かに、知らないと不便だしな。昼休みでいいか?」
「うん!」
「でもその前にちゃんと授業受けろよ?」
「はいはい、分かってますよーだ」
「ほんとか?」
こうして、アルの学校生活一日目が始まった。
次回の話も作っていますので、お楽しみに!良ければ感想よろしくお願いします!




