表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
哲学と私 あるいは、チンポジ博士の講義  作者: チンポジ博士


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
86/104

信頼とは。

 信頼とは何か。


 その問いを出すと、博士は紙ナプキンに短く書いた。


 未来の行動を、ある程度任せること。


「信じることではないんですか」


「近いが違う」


「違うんですか」


「違う」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 信じる。

 信用する。

 信頼する。


「分ける」


「また分ける」


「何度でも分ける」


 博士は言った。


「信じる、は内側に近い」


「はい」


「信用する、は過去の実績に近い」


「はい」


「信頼する、は未来を任せることに近い」


「なるほど」


 博士はコーヒーを飲んだ。


「この人は約束を守ってきた」


「はい」


「だから、次も任せる」


「信頼ですね」


「そうだ」


「では、実績がなければ信頼できない?」


「しにくい」


「できないわけではない?」


「最初の信頼は、少し賭けになる」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 信頼には、未来への賭けが混ざる。


「怖いですね」


「怖い」


「裏切られることもある」


「ある」


「では信頼しない方が安全では?」


「安全ではある」


「では?」


「何も始まらない」


 博士は即答した。


「強いですね」


「強くてよい」


 博士は続けた。


「社会は、完全確認だけでは回らない」


「はい」


「店で注文する」


「はい」


「料理が出てくると信頼している」


「はい」


「電車に乗る」


「はい」


「目的地へ向かうと信頼している」


「はい」


「会社で仕事を任せる」


「はい」


「やってくれると信頼している」


「はい」


「全部、完全には確認していない」


「確かに」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 信頼は、確認コストを下げる。


「かなり実務ですね」


「信頼はかなり実務だ」


「信頼って感情では?」


「感情もある」


「でも実務」


「そうだ」


 博士は続けた。


「ここでカントを借りよう」


「人を手段としてのみ扱うな」


「そうだ。信頼とは、相手をただの道具ではなく、約束できる相手として扱うことでもある」


「はい」


「ミルは?」


「自由ですか」


「信頼には、任せる自由がいる」


「はい」


「全部管理したら?」


「信頼ではないですね」


「そうだ」


「アリストテレスは?」


「共同体ですね」


「そうだ。信頼がなければ共同体は回らない」


「はい」


「ニーチェは?」


「その信頼は本物か。依存ではないか、と疑う」


「刺しますね」


「必要だ」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 信頼。

 依存。

 丸投げ。


「混ぜるな」


「かなり混ざりますね」


「混ざる」


 博士は言った。


「信頼している」


「はい」


「だから全部任せる」


「危ないですね」


「そうだ」


「信頼している」


「はい」


「だから確認しない」


「危ない」


「信頼している」


「はい」


「だから裏切るな」


「それは圧ですね」


「そうだ」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 信頼は、監視ゼロではない。

 信頼は、責任ゼロでもない。


「強いですね」


「強くてよい」


「信頼しているのに確認するんですか」


「する」


「失礼では?」


「場合による」


「出ましたね」


「出す」


 博士は続けた。


「確認は、信頼の敵ではない」


「違うんですか」


「違う」


「では?」


「信頼を壊さないための運用だ」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 任せる。

 確認する。

 責任を持つ。


「全部いる」


「全部いる」


 博士はうなずいた。


「信頼とは、相手を疑わないことではない」


「違うんですか」


「違う」


「では?」


「疑いをゼロにしなくても、任せることだ」


「大人ですね」


「かなり大人だ」


 博士は今日の答えをまとめた。


 信頼とは、未来の行動をある程度任せることである。

 信じること、信用すること、信頼することは少し違う。

 信用は過去の実績に近い。

 信頼は未来を任せることに近い。

 信頼には、未来への賭けが混ざる。

 信頼は確認コストを下げる。

 だが、信頼は監視ゼロではない。

 信頼は責任ゼロでもない。

 信頼、依存、丸投げを混ぜるな。

 確認は信頼の敵ではない。

 信頼を壊さないための運用である。


「博士」


「何かね」


「チンポジで言うなら?」


 博士は少しだけ考えた。


「自分のチンポジは自分にしか分からない」


「はい」


「だから他人に完全には任せられない」


「はい」


「だが、パンツを作る人を信頼することはある」


「アリストテレス回ですね」


「そうだ」


「椅子を作る人も」


「はい」


「服を作る人も」


「はい」


「医者も」


「はい」


「任せるしかない場面がある」


「そうだ」


 博士は紙ナプキンに書いた。


 全部は任せるな。

 だが、何も任せないな。


「難しいですね」


「信頼は難しい」


「では、信頼とは?」


 博士は最後に一文を書いた。


 信頼とは、他人のベスポジを完全には知らないまま、それでも一部を任せる技術である。


「綺麗ですね」


「私は哲学者だからな」


「名前以外は」


「その評価を信頼してよいかね」


「確認してください」


「信頼を壊さない運用だな」


 博士は笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
※この作品は深掘りしたいなら全文を生成AIへ入力してください。
[宣伝][完結済]股間に聖剣があった ――分かり合えないと分かり合う哲学
チンポジ哲学が生まれる話です。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ