宗一郎の答え
夕方、私は城の外れにある中庭に行った。
宗一郎がいた。
予想していた。なんとなく、ここにいると。
石段に座って、空を見ていた。テオが隣で丸くなっていた。
「宗一郎さん」
「ああ」
私は隣に座った。
しばらく、二人で空を見た。夕方の空だった。橙と青が混ざっていた。
「考えてくれましたか」
「何を」
「この世界に残るかどうかを。終わったら考える、と言っていました」
宗一郎は少し間を置いた。
「考えた」
「答えは出ましたか」
また間を置いた。今日の中で一番長い間だった。
「出た」
私は宗一郎を見た。
「しばらく、いる」
「しばらく、というのは」
「しばらくだ」
「いつまでかはわかりませんか」
「わからない」
私はその返事を聞き、少し考えた。
「わかりました」
「それだけか」
「それだけです」
「いてほしいとは言わないのか」
「言いたいですが、言いません。あなたが決めることなので」
「……そうか」
宗一郎はテオを見た。テオが光った。
「ただ」
私は口を開く
「ただ?」
「いてくれると、助かります。いてほしいとは違います。あなたがいることで、私が前に進めるという意味です」
宗一郎は少し黙った。
「今日の決着を見ていた」
「はい」
「剣を下ろした時、何を考えていた」
私は思い出す。
「止める、ではなく、そこにいる、と思っていました。同じ血のつながりとして、ただそこにいる」
「なぜそう思えた」
「わかりません。でも」
私は手を見た。
「誰かがそこにいてくれることの意味を、この旅で覚えたからかもしれません」
宗一郎は何も言わなかった。
テオが甲高い声で何か言った。長かった。
「正直だ、と言っていますか」
宗一郎が少し間を置いた。
「腹が減ったと言っている」
「夕食にしましょう」
「ああ」
「みんなを呼びます」
「ああ」
私は立ち上がった。
空が紫から藍色に変わっていた。
「宗一郎さん」
「なんだ」
「ソラさんのこと、時々考えます」
「そうか」
「あの人が最後に笑った顔を、覚えておこうと思っています」
「ああ」
「それでいいですか」
宗一郎は少し考えた。
「それでいい」
私は頷いた。
城の灯りが見えてきた。
食堂の窓から、シオンの声が聞こえた。
何か叫んでいた。
レオンが何か言い返していた。
いつも通りの光景。
私は少しだけ歩く速さを上げた。
宗一郎が後に続き、テオが暗くなった道を光って照らしていた。




