23. 規律と規準 4
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
自分の射撃位置の後ろに立ち、手は規則通り脇に揃えたまま、視線だけが静かに前を向いていた。射撃データを一件補足しているみたいな口調だ。
教官が眉をひそめる。
「アカリ・フラック、許可なく発言するな」
「はい」
彼女はうなずいて、素直に口を閉じた。
……それが余計に変だった。
一言差し込んで、すぐに引っ込む。その落差に、少し面食らった。彼女が口を開くとは思っていなかった。まして、私のために言葉を出す方法が「誰かを助ける」ではなく「センサーの誤差を修正する」みたいな感触だったことに。
教官は結局、さっきの言葉を撤回しなかった。
「位置規律、警告一件。帰位」
靶位に戻ると、ジェスが後ろから口の形だけで言った。
——あんた、本当に才能があるわね。
返す気力もない。
今は、隣の灰色の髪の方が気になっていた。
課間の短い休憩に入ると、私はアカリの隣に歩み寄った。彼女は弾倉を外して、給弾口を再確認していた。動きはやはりきれいだ。
「さっき、なんで口を出したの?」
アカリが顔を上げた。
近くで見ると、目が純粋なグレーではないと気づいた。薄い煙色の青で、霧がかかったガラスみたいに、淡く透けている。
二秒ほど見てから、答えた。
「あなたの判断は正しかった」
「私が正しかったのは分かってる」
と言う。
「なんでそれを言ったのか、聞いてる」
少し沈黙した。
「正しかったから」
……なるほど。
このタイプは、天真爛漫か、それとも会話が成り立ちにくいかのどちらかだ。
首を傾ける。
「いつもこんな答え方するの?」
「たいていは足りる」
笑いそうになった。
おかしいからじゃない。正直すぎて手抜きに近いこの喋り方に、妙な切れ味があるからだ。わざと塞いでいるわけじゃない。ただ、余分に喋ることに意味を感じていないだけ。
手の中の銃を見る。
「さっきの反応靶、毎回ほとんど口令が落ちた最初の拍に合わせていた。どうやってるの?」
アカリが弾倉を戻す。カチッという音。
「待つ」
「それだけ?」
「うん」
見つめる。
「何を待つの?」
「命令を」
その三文字が落ちたとき、何の劇的な感じもなかった。
でも首の後ろが、静かにぴりっとした。
この答えが馬鹿げているからじゃない。
彼女がその言葉を口にするときの、あまりにも自然な感じが、引っかかったのだ。
呼吸する人がいる。瞬きする人がいる。彼女は、命令を待つ。
見つめる。
「命令が間違っていたら?」
彼女が止まった。
初めて。
ほんの一瞬、ほんのかすかに。周りの誰も気づかないくらい短かったが、私には見えた。指が銃身の上で半秒止まって、滑らかに動いていた歯車に、ごく細かい砂粒が一つ挟まったみたいだった。
それから、言った。
「間違いになる」
目を細める。
「その答え、最悪ね」
彼女はうなずいた。
「分かってる」
「分かってて、それ?」
アカリは銃を架に戻した。視線は私ではなく、まだ片付けられていない前方の靶紙に落ちている。
「間違っているのは命令で、実行じゃない」
声は平らだ。
「実行する側まで自分で変え始めたら、最終的にはもっと乱れる」
どこかの見栄えの悪いマニュアルから抜け落ちてきたみたいな言葉だ。
でも彼女の言い方は、暗唱しているのとは違った。
どちらかといえば——何か高い代償を払って、手に入れた結論みたいだった。
それ以上、追いかけたくなくなった。
人の傷というのは、深く隠しているとは限らない。
傷そのものを手順の中に組み込んでしまう人間がいる。そういう人を外から見ると、ただ「おとなしい」「安定している」「部隊に入れやすい、歩く照準器」に見える。
でもそういうものが割れたとき、たいてい小さな話では済まない。
休憩が終わって、教官が最終ラウンドを追加した。
移動靶だ。
今度はランプを待つのではなく、規定時間内にスライドする軌跡を捉え、システムが指定した順序で撃ち抜く。難度は高くないが、焦らせやすい。
「順序に注意、リズムに注意。自分の本能をシステムより上に置くな」
教官が言う。
心の中で思う。面白い。この場所は本能にも、整列させる。
移動靶が起動した。
一、二、三と命中、順序も問題ない。四番目の靶がスライドしたとき、システムが一瞬だけちらついて、半秒未満の遅延が発生した。前列の何人かが、その僅かなカクつきでリズムを乱したのが分かった。
アカリは乱れなかった。
眉一本動かさず、元のタイミングを保ったまま、残りの靶を一つずつ送り込んだ。システムを一度も疑ったことがないみたいな正確さで。
私はその瞬間、少し苛立った。
彼女と差があるからじゃない。
実際に戦場に出たとき、システムがカクつき、命令が半拍遅れ、隣の手が震え、床が滑る——そういうことは、謝ってくれない。
そして彼女の、命令に自分を預けるあの安定した構えを見ていると、どうしても知りたくなる。
彼女が命令を信じているのか。
それとも、もう自分で判断することを手放したのか。
課程終了、データが転送された。上方の表示パネルに前段の順位が表示される。
アカリは、誰も驚かない位置に名前があった。
私だって悪くなかった。ただ彼女より少し見栄えが悪いだけ——彼女が手術刀なら、私は手術室で消火斧を拾ってきた感じだ。
ジェスが後ろから順位表を眺めて、肩にぶつかってきた。
「どうだった?」
「何が?」
「静かな変なやつよ」
アカリの方向に顎をしゃくる。
「あんたの目、さっきまで新しい銃を研究するみたいな感じだったわよ」
アカリが耳当てを元の場所に戻して、袖口を引き平らにするのを見つめる。最初から最後まで、無駄な動きが一つもない。
「素直すぎる人間は苦手」
ジェスが一声笑った。
「ああ、じゃあこれからもっと苦手になるわね」
「なんで?」
「素直なだけじゃないから」
ジェスが言う。
「背中を預けたくなるけど、預けた後で急に不安になる。あの子、自分のために生きるつもりがない人間に、命を渡してしまったんじゃないかって」
横目で見る。
「意外と正確な描写ね」
彼女は髪を払って、得意そうな顔をした。
「これが私の飯の種よ」
外に向かいかけたところで、場の端から短い電子音が鳴った。教官がデータパッドを見下ろして、眉をひそめ、無造作に二人の名前を呼んだ。
「星野霜。アカリ・フラック。残れ」
……実に結構。
また私だ。
おまけに、静かな照準器まで付いてくる。
ジェスが振り返って、口の形だけではっきり言った。
——頑張って。
手を振り返す。顔は、補講を言い渡された遺族みたいな表情をしていたと思う。
人が捌けてから、教官はデータパッドをこちらに向けた。
さっきの反応靶と移動靶の記録曲線が表示されている。
私の曲線は起伏が大きく、修正は速い。位置規律の欄に、目障りな黄色のフラグが一つついていた。
アカリの曲線は定規で引いたみたいに平らで、腹立たしいほどきれいだ。
「二人のデータ、面白い」
教官が言った。
心の中で、健全とは言えない予感が一つ浮かんだ。
連邦という場所では、「面白い」と言われたとき、たいていその「面白さ」は良い意味じゃない。
教官が画面を指で叩く。
「星野、反応が速く、修正も速い。ただし規定の枠の中に留まるのが嫌いだ。アカリ、安定性が極めて高く、服従度が高く、遅延がほぼない。ただし自発的な修正傾向が欠けている」
アカリをちらりと見る。
表情は動いていない。他人の剖検報告を聞いているみたいな顔だ。
教官はデータパッドを閉じた。
「来週から、混合練習でお前たちを同じ組に入れる。自分の判断が過ぎる人間と、命令に依存しすぎる人間を並べたとき、互いの欠点がちょうど中和されるかどうか、見てみたい」
笑いをこらえるのが、かろうじてだった。
中和?
可愛らしい言い方だ。
異なる型番の危険物を同じ場所に置いて、自動的に合格品になることを期待する。連邦の夢想は、いつも技術的に洗練されている。
教官が私たちを見る。
「異議は?」
先に口を開く。
「あります」
眉が上がる。
「言え」
「中和に失敗したら?」
教官は私を見て、乾いた冷たさで答えた。
「より精度の高い観察データが手に入る」
実に結構。
これは非常に連邦らしい一言だ。
人間はどうでもいい。データが重要だ。
お前たちは学生ではなく、歩く実験対照群だ。
うなずく。
「分かりました」
アカリも言う。
「分かりました」
彼女のその「分かりました」は限りなく平らで、なぜか私には少しだけ居心地が悪く聞こえた。感情があるからじゃない。感情がなさすぎるからだ。
射撃場を出るとき、私と彼女は少しのあいだ並んで歩いた。
誰も喋らない。
場外の通路から風が吹き込んで、耳の際が冷えた。灰色の壁、灰色の床、灰色の制服。この廊下全体が、大型の鉛筆箱の内張りみたいだ。
分岐点に差しかかる手前で、口を開いた。
「来週の組み分け、何か考えてる?」
アカリは前を向いたまま。
「言われた通りにする」
短く笑う。
「あんた、本当に手間がかからないのね」
彼女はうなずいた。
「その方が疲れない」
ほう。
今度は、人間の言葉に近い。
少し立ち止まって、また聞く。
「さっきの——間違っているのは命令で、実行じゃない——ずっとそう思ってたの?」
アカリも止まった。
横を向いて、私を見る。目は相変わらず薄い煙色の青で、風のない水面みたいに静かだ。
「ずっとじゃない」
と言う。
「じゃあ、いつから?」
すぐには答えなかった。
ほんの一秒。
「停止」と呼ぶには短すぎるが、どこかにひびが入っていると分かるには十分な、その長さ。
それから言った。
「自分で判断したことが、一度あってから」
それ以上、聞かなかった。
声のトーンが変わらなかったからだ。
そしてまさにそれが、泣くよりも聞き苦しかった。
彼女は宿舎区の方へ向き直った。背中はまっすぐで、薄くて、静かだ。
その背中を二秒ほど見てから、ゆっくりと息を吐いた。
今日の成果は以下のとおり。
一、射撃課を正式に受講し、この学院がデータで人間を分類するのを好むことを確認。
二、アカリ・フラックと正式に知り合った。射撃は外科手術のようで、喋り方はシステムの通知音を切ったみたいな人間。
三、三種類目の不快感が生まれた。嫌いでも軽蔑でもない。この人間がどれだけ使えるかは分かるのに、彼女が自分をどれだけ残しているかが分からない、という不安。
四、また制度に指摘された。規定の枠の外で呼吸するな、と。
五、来週から、アカリと同じ組になる。これはたぶん、噛みつくのが好きな野良猫と、自分で鞘から出るかどうかを決めない刃物を同じ箱に入れて、協力できるかどうか見るのに近い。
実に教育的だ。
宿舎区に向かって歩きながら、遠くに下院訓練場の向こう側で重装モジュールを運んでいる人影が見えた。金属がぶつかる音が、一定の間隔で重く伝わってくる。
軍校の日々が、少しずつ「部品を拾い集める」作業に似てきた。
ジェスは、縫い目がどこにあるかを知っている人間だ。
ハーヴィーは、壊れたものを使える状態に直す人間だ。
アカリは、安定しすぎていて、正確すぎて、命令そのものから延長して出てきた影みたいな人間だ。
彼女が良い仲間になるかどうかは、まだ分からない。
でも、一つだけ確かなことがある。
本当に危険なのは、狂いやすいものじゃない。
本当に危険なのは、静かで、正確で、自分のために判断することをあまりしないものだ。
なぜなら、戦場はそういう人間が好きだからだ。
戦場は彼女たちを、実に見事に使い潰す。
見事すぎて、危うく忘れそうになる。
彼女たちも、人間だということを。
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「普通かなぁ?」★三つを押してね!
「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




