23. 規律と規準 3
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
二日目の午前後半は、射撃課だった。
下院射撃場に入った瞬間、馴染みのある匂いがした。
金属、火薬の残滓、機械油、汗が染み込んだプラスチックグリップの淡い苦み、それに空調がどれだけ回しても抜けきらない焦げ臭さ。この匂いは正直だ。少なくとも、この学院で喋るものの大半よりは。名誉を語らないし、服従を説かない。ただ平等に、全員に告げる——手の中のものをきちんと握っていないと、お前か隣の誰かが教材になる、と。
実に結構。
ようやく、まともな世界に近い場所に来た。
射撃場は半開放式の構造で、上部に観測ガラスが一周している。壁面には区分表示パネルが嵌め込まれ、射撃レーンが奥まで延びている。判決を待つ黒い廊下が一列に並んでいるみたいだ。レーンの間隔は苛立つほど精密で、半歩ずれただけで定規を侮辱したことになる。
ジェスが隣に立って、識別リングの課程番号を確認している。
「今日は基礎射撃、センサー校正、命中データ登録、それに反応分流」
「つまり」
耳当てのケースを引き出して、一つ取り上げる。
「今日は数字で、きちんと躾けられながら恥をかく日ね」
「だいたいそう」
ジェスは耳当てを首に掛け、前の列に顎をしゃくった。
「それと、今日は静かな変なやつが見られる」
視線を向ける。
前列の左から三番目、女が銃機を確認していた。
灰色の訓練服、袖口が整然と折り返されている。短い髪は冷たい色合いの濃いグレーで、耳の後ろに沿って落ちていた。全体として、誰かが丁寧に折りたたんで仕舞っておいた一枚の紙みたいに薄い。姿勢はまっすぐだが、背筋を張っているのとは違う。世界から半分の場所も借りるつもりがない、という種類のまっすぐさだ。顔には表情がほとんどなく、まぶたがわずかに下がっていて、永遠に眠れていないようにも、そもそも起きているかどうかを気にしていないようにも見える。
でも手が、安定していた。
新入生らしくない安定だ。
分解、点検、装填、復元。一連の動きが速いのに目立たず、教範の一条一条を指の骨に刻み込んだみたいに、無駄がない。
「あの子?」
ジェスがうなずく。
「アカリ・フラック」
「自分から誰かを傷つけるタイプには見えない」
ジェスが横目で見てくる。
「自分から傷つけるんじゃなくて」
と言う。
「誰を傷つけるべきか教えられたら、正確に当てるタイプよ」
……ほう。
それは厄介だ。
狂人は怖くない。狂人はたいていうるさい。
怖いのは、静かで、正確で、自分を明け渡したみたいな人間だ。心の中に刃があるのか、それとも柄ごと誰かに渡してしまったのか、外からは分からない。
教官が前方の制御台に上がった。今日は別の人間で、女、顔が冷たく、靶紙に遺言を読み上げるみたいな声で喋る。
「基礎射撃は、武器の浪漫を体験させる場ではない。浪漫は戦場で統計的価値を持たない」
手を上げると、上方にデータパネルが点灯した。
「本日は標準制式訓練銃、固定センサー靶、分段反応信号を使用する。許可なく先行射撃、離位、靶道モードの自己変更を行ってはならない」
「してはならない」という言葉を聞くたびに、あくびが出そうになる。
連邦はここだけは一途だ。
どこに人を放り込もうと、先に「してはならない」一式で床を敷いてから、その上に押し出してくる。
「命中率、反応時間、安定度、呼吸修正、二次修正遅延、すべて個人データに直接記録される」
教官の目が列を掃く。
「互いをよく知る必要はない。ただ、データがお前たちを先に知る」
実に親切だ。
人間関係が育つ前に、ファイルが先に熟成される。
制式訓練銃が支給された。学院標準の型番で、グリップが硬めで重心が少し前よりだ。典型的な連邦スタイル——快適さは追求しない。大量生産して全員で妥協する効率を追求する。
抜いて、構えて、肩を押し込む。
悪くない。
昨日の背架よりは好感が持てる。
分組点呼が始まった。前列左三番目の番が来て、灰色の髪の女が応じた。
「アカリ・フラック」
声は平らで、軽かった。冷たい水が紙の上に一滴落ちたみたいな音。
一瞥する。彼女はこちらを見ない。視線はずっとレーンの先に止まっていて、空気の中から間違いのない指令が落ちてくるのを待っているみたいだ。
第一ラウンドは固定靶だ。
特に言うことはない。
構えて、銃を上げて、息を吸って、安定させて、引き金を引く。
下院の新入生は参差不斉だが、ここまで来た人間はそれなりに銃に触れている。第一ラウンドを抽象画にするほど愚かな者はいない。
私の成績は悪くなかった。悪くないどころか、良い部類だ。
九発が高得点圏内、一発が外輪にかすった。教官は褒めず、ただデータをパネルに取り込んだ。恥ずかしくない成績を、冷凍庫に押し込むみたいに。
アカリの番が来たとき、ちらりと見るだけのつもりだった。
その一瞥が、戻ってこなかった。
彼女が射撃位置に立つ姿は、あまりにきれいだった。
美しいのではなく、きれいだ。
足の置き方、肩のライン、手首の角度、呼吸の間隔——すべてがちょうどいい。余分な力を使わない。余分に瞬きをしない。余分に考えない。身体の中にあらかじめ流し込まれた手順書があって、銃を構えてから撃つまでの一切が、その手順を実行しているだけに見える。
一発目。
中心近くに命中。
二発目。
さらに締まった。
三発、四発、五発——
十発打ち終わると、スクリーン上の散布図が、同じ小さな硬貨の上に釘で留められたみたいに揃っていた。不快なほど整然としている。
射撃場全体が、一瞬静まった。
教官がデータパネルを見て、初めて声に少しだけ生気が混じった。
「安定度、優秀。反応修正遅延、極めて低い」
ジェスが小声で言う。
「ほらね」
答えない。
アカリが銃を下ろす手を見ていたからだ。
興奮が一切ない。得意げな様子もない。息を吐く気配すらない。良い成績を出した人間の顔ではなく、どちらかといえば——
清掃作業を、予定通り終えた人間の顔だ。
それが、少し不快だった。
射撃が下手すぎる人間は危険だ。
でも射撃が上手すぎて、自分が今何をしたかをまったく感じていないような人間も、やはり危険だ。
第二ラウンドは反応靶だ。
レーンのランプがランダムに点灯し、指令音の後でなければ撃てない。先行射撃は失格、遅延しすぎても減点。
こういうのは、前にもやったことがある。
違うのは、以前は観測室のガラスの向こうにいた人たちが記録していたのが成績ではなく、「次のより死ににくい場所に押し込む価値があるかどうか」だったことだけだ。
「構え」
教官が言う。
全員が銃を上げる。
「灯号に注意、口令に注意。口令なしに射撃してはならない」
前方のレーンを見据える。
最初の赤いランプが点く。音はない。
二つ目が点く。やはり音はない。
三つ目——
「射撃」
撃つ。
口令に合わせて引き金を引き、命中。
次のラウンドはランプの乱れ方が速くなった。私の反応は問題ない。遅くもない。でも、隣に自分より速い人間がいるのに気づいた。引き金が速いのではなく、正しい位置に全身を送り込むのが速い。
アカリだ。
彼女は毎回、口令が来る半秒前には動くべき場所を決めている。でも先行射撃は一度もしない。ただ静かに待って、口令が落ちた瞬間、紙を切るように弾道を送り出す。
きれいすぎる。
きれいすぎて、反応時間を精密に校正された訓練機材みたいだ。
第三ラウンドの前に、教官が制限を加えた。
「次から偽信号を混ぜる。ランプが点いても撃てない場合がある。口令とランプが同期したときだけ有効。繰り返す、口令とランプが同期したときだけ有効」
何人かが、低く舌打ちした。
実に結構。少し「人が死ねる」感じになってきた。
最初の偽信号ラウンドは単純だ。
ランプ点灯、撃たない。
点灯、停止。
再点灯、射撃。
これは問題なかった。
二ラウンド目から速くなった。
三ラウンド目で、左側のレーンに二つ同時に点灯した。一つは囮だ。口令が落ちる半秒前、隣の新入生の手がわずかに揺れて、銃口が隣の射撃位置に向きかけた。本能的に半歩横にずれ、銃口も合わせて修正した。
「星野霜、位置を保て!」
教官の声が飛んでくる。
奥歯が、かすかに動いた。
また来た。
前方のランプが再点灯して、口令が落ちて、有効靶を撃ち抜いた。でも、ずれた半歩はやはり記録された。
射撃終了後、教官が直接指名した。
「十七番靶位、出列」
銃を安全架に戻して、前に出る。
今日で三回目か、四回目か。
どうでもいい。数字は、もう私を侮辱する効果を失いつつある。
教官が私を見て、冷たく平らな声で言う。
「反応測定中に自己判断で離位してはならないと言った」
「隣が銃口を流しかけていた」
「だから?」
見返す。
だから?
だから、隣の手の震えが自分の顔を事故報告書に変えるのを、立ったまま待ちたくなかった。
でもそういう答えは、たいてい好まれない。
「回避した」
「ここは訓練場だ。戦場の本能を自由に発揮する場所ではない」
と教官は言う。
「全員が自分の判断で移位し始めたら、射撃場の秩序が崩壊する」
なるほど。
実に美しい言葉だ。
棺桶の内側に印刷しておきたいくらい美しい。
言い返す前に、別の方向から声が来た。
「彼女の判断は正しかった」
大きくない。でも、場全体に届く声。
振り向く。
アカリだった。
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「あまりかな?」★一つか二つを押してね!




