23. 規律と規準 2
この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。
ジェスが手で顔の下半分を覆った。すでに先に線香を上げてくれた良い室友の顔だ。
十文字が私を見る。声が冷えていく。
「もう一度言え」
「嫌と言いました」
肩を後ろに押して、さっき救われた背架から小さなカチッという音を引き出す。
「この装具、さっきの授業中に肩甲骨を削りかけていた。今ようやく装具らしくなった。これを外して、どこまで続くか分からない列に並び直せというのは、手続きの見た目をきれいにするためだけ?」
十文字の顔色が整備区の壁より硬くなった。
「軍校は、便利かどうかを選ばせる場所じゃない」
「じゃあ、装備に先に殺されないことくらいは選ばせてください」
言い終わらないうちに、外からまた足音がした。
急いでも遅くもなく、でも一歩ごとが正確だ。
見なくても分かる。
二階堂・フレイヤが入口に現れた。黒いアームバンドが冷白色の照明の下で、一本の締まった縫い目みたいに見える。視線が十文字の顔を掠め、ハーヴィーとジェスを見て、最後に私で止まった。
「説明して」
この二文字が本当に好きなようだ。
短くて、省エネで、刃物をそのまま渡して「肉を切るか、自分を切るか」と聞いてくる感じ。
息を一つ吐く。
「教学区で支給された装具の支点がずれていて、授業中に報告したら教官に整備区で申請するよう言われました。正規窓口は満員で、半授業分ずっと噛まれ続けました。ハーヴィーが着用できる状態に調整してくれました。以上。武器を隠してもいないし、学院を爆破するつもりもないし、整備区を宿舎に持ち帰るつもりもありません」
ジェスが横で小声で付け足す。
「今のところは」
笑いそうになるのをこらえる。
二階堂がハーヴィーに目をやる。
「調整したのはお前か?」
「そうだ」
「未登録のスペーサーを使ったか?」
「廃棄部品から取った」
彼は言う。
「構造には影響ない。支点を修正しただけだ」
二階堂が近づいてきて、手を上げて右肩の接続部を直接つかみ、下に押した。それから腕を上げて、肩を回して、膝を曲げるように指示した。
言われた通りにする。
痛くない。
少なくとも、さっきみたいな「装具ごと人生ごと投げ捨てたい」という種類の痛みはない。
見終えてから、二秒ほど黙った。
嫌な予感がした。
案の定、次の言葉はこうだった。
「調整は有効。ただし手続き違反」
連邦は、期待を裏切らない。
「ハーヴィー・ノックス、無許可側槽作業、一件。ジェス・マッカロウ、整備区外学員の無断立入、一件。星野霜——」
一度止まって、私を見る。
「装備課後に正式手続きを経ずに装具の状態を変更。行動記録に備考一件」
十文字がすぐに記録を始める。
二階堂を見る。
「つまり、直し方は正しかったのに、人間は全員間違いになるんですか?」
「ここは結果だけを見る場所じゃない」
彼女は言う。
「分かってます」
うなずく。
「ここは、痛み方が手続き通りかどうかも見る場所でしょう」
十文字が勢いよく顔を上げた。
ジェスはもう唇を一本の線に結んで、全身の力で笑い死にを防いでいる。
二階堂はすぐには動じなかった。ただ私を見ている。その静けさは、怒鳴られるよりずっと腹立たしい。
「星野霜、お前は制度を『わざと自分に敵対しているもの』として解釈する癖がある」
「解釈じゃなくて、体感です」
「なら早急に一つ覚えておけ」
と言う。
「軍校では、一部の手続きは効率のためにあるのではなく、責任の所在を明確にするためにある。装具が今日の調整で問題を起こしたら、誰が責任を取る? ハーヴィーか? 教官か? それともお前か?」
見返して、すぐには答えない。
この問いは底意地が悪い。
悪いのは、完全に間違っているわけじゃないからだ。
ただ彼女の「正しさ」は、いつも誰かが先に壊れかけるまで我慢することの上に成り立っている。
最後にこう言った。
「手続きが損傷より遅いなら、責任という概念は、生きている人間を黙らせるための書類にしか見えません」
通路が静まった。遠くで機械アームが動く音だけが残る。
二階堂は二秒ほど私を見て——追加の処分を下さなかった。
十文字に向き直る。
「今回は追加処分なし。記録は保留」
十文字が眉をひそめた。私にそんな優遇を与える理由が分からない顔だ。
でも、反論はしなかった。
二階堂がまた私を見る。
「今日の課後に補登録と再測定を行い、手続きを完了させること。そのあいだは調整後の装具を着用してよい。次に手続きを迂回した場合は、直接外す」
言い終えると、身を翻した。黒いアームバンドの背中が、規則を書き連ねた判決文みたいに、きれいに通路を出ていく。
十文字が私を一睨みして、部下を連れて続いた。去り際に、実に気が利いた一言を置いていく。
「星野霜、お前は本当に自分で面倒を引き寄せる才能がある」
その背中を見送りながら、ゆっくり返す。
「どういたしまして。これが私の基礎スキルなので」
風紀が遠ざかると、ジェスがついに笑い声を上げた。ドア枠に寄りかかって、全身で震えている。
「あんた、本当に……私がこれだけ生きてきて、委員長と班長を同時にあそこまで追い詰めて、なおかつ自分の装具を守り切った人間を初めて見た」
ハーヴィーは笑わなかった。ただ、さっきの部品を布の下から出して黙々と整理していく。動きは変わらず、安定している。
「その口、いつかお前を殺すぞ」
彼は言った。
肩を動かして、ようやくまともになった背架の感触を確かめながら、横目で見る。
「それでも修理してくれたじゃない」
ハーヴィーはナットを箱に戻しながら、抑揚のない声で言う。
「合わない装備で現場に出る人間は、たいてい自分が先に死ぬか、隣の人間が先に死ぬかどちらかだ」
顔を上げて、私を見る。目に余計なものは何もない。
「返工は嫌いだ」
実に結構。
これは、これはこれで個性のある優しさだ。
腐るほど実用的な。
私は、それが好きだ。
ジェスが隣で私の肩を叩く。
「おめでとう。二人目の使える人材、確保」
「二人目?」
彼女を見る。
「私が一人目でしょ」
当然でしょ、という顔で言う。
「私がいなかったら、あんた今頃窓口の前で並びながら、装具に噛まれた守法の塩辛になってた」
……くそ。
合ってる。
ジェスを見て、それからハーヴィーの、部品の山から自然に生えてきたみたいな灰色の作業服とゴーグルを見る。
今日の成果は以下のとおり。
一、装備課を正式に受講し、連邦の標準サイズが私に個人的な恨みを持っていることを確認。
二、整備区で、規則との正面衝突を三回目達成。
三、ハーヴィー・ノックスと正式に知り合った。ものを修理し、本当のことを言い、やり直しを嫌う、灰色地帯の人材。
四、風紀はどこにでもいる。カビと官僚主義と同じ生命力を持っている。
五、この軍校の本当の生存方法は、規則を守ることではなく、「どこで規則が隙間風を通しているかを知っている人間」を先に見つけることだと、確信し始めた。
ハーヴィーが古い部品リストを一枚、私の手に叩きつけた。
「課後に来い。サイズを測り直す」
見下ろす。
「正式に案件として受けてくれるの?」
「違う」
彼は言う。
「次に来たとき、お前に作業台を引っくり返されたくないだけだ」
ジェスが横で舌打ちした。
「口が硬いわりに、ちゃんと受けてるじゃない」
ハーヴィーは彼女を無視して、次の半死半生の装具に向き直った。「邪魔するな」とだけ書いてある背中だけを残して。
私はそのリストを折りたたんでポケットに入れた。
紙は薄かった。
でも、指先にはしっかり残った。
それなのに妙に、識別リングよりもずっと「生き延びるための何か」に近く見えた。
この学校では、規則は人を均一に削るためにある。
装備は、人を機能に押し込めるためにある。
そしてハーヴィーみたいな人間は、その「機能」と「生き延びること」のあいだに、こっそりスペーサーを一枚差し込んでくれる種類の人間だ。
きれいじゃないかもしれない。
合法じゃないかもしれない。
でも、使える。
私はずっと、使えるものが好きだ。
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